ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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キンプリはなぜ画期的なのか?

この記事には、一ファンとしての筆者の解釈が入り混じっており、中立性や信ぴょう性は保証できない。この記事は報道ではなく、キングオブプリズム製作委員会および関連団体とも一切関係がない。したがって、この「画期的」もファンから見て画期的という意味であって、ファンの実感もファンが他のファンを見ての意見である。

 

 

マイナー女児向けアニメが油田と化した

2016年、女児向けアニメ界に革命が起きた。大手広告会社がバックについていないマイナージャンルが異例の大ヒットを勝ち取ったのだ。おそらく、ファンの実感としては、タカラトミーの女児向けアイドルIPが強くなったのはプリパラ以降だったはずだ。その上、「女児向けアニメ」プリティーリズムの男性キャラとなれば、当然、プリティーリズム全体のファン以下*1の人数のファンしかいない。その上、今回は、プリパラと競合しないようにするというのが作品化の条件だったため、プリティーリズムのメインの層であった女児は除外されている。公式が想定していたファンの数はたったの1700人である。エイベックス・ピクチャーズの西浩子プロデューサー曰く、「1700人が10回観る*2」ことで、利益を上げようとしていたのだ。そのような状況で映画を公開すれば、十中八九失敗する。それまで後継IPのプリパラですら実現していなかった新作映画を、前作のプリティーリズムが公開することはまさに無謀であった。

 

ところが、現在公開3か月目を迎え、まさに4か月目を迎えようとしている。興行収入は3億円を突破し*3、展示イベントも企画されている*4。公開開始当初のネット上では「KING OF OIL(石油王)が投資しなければ続編が作られない」との声もあったが、今やキンプリは油田と化してしまった。一体何が起こったというのだ?これはまさに、ソーシャルネットワークが起こした奇跡なのだ。

 

新規女性ファンの獲得

1700人のファンが10回観る」だけでは、キンプリの大ヒットは成し得なかった。勝因は新規ファンの獲得である。最初は公式レビューという形で漫画が載っていたが*5、だんだん鑑賞者からの感想漫画が増えていった。ここで「マジ○チ映画」という印象が一気に強まった。そして、アイドルから脚本家まで様々な人が観るようになった。今では、特集のニコ生が放送されるまでになった。こうしたオピニオンリーダーを獲得したことで、キンプリの拡散性はかなり増加したと考えられる。3月下旬にはついにDVD/Blu-rayの発売が決定し*6、関連するイベントが開かれるまでに成長することができた。

 

関連作品への導き

新規ファンが増えれば、当然、プリティーリズムを知るために、関連作品を観ることになる。全くシリーズを知らずにキンプリを観た人の中には、プリパラのスピンオフだと思っている人も少なくないようだ。そういう初心者のために、ファンが積極的に、プリティーリズムを観るように呼びかけている。シリーズの中でも、プリティーリズム・レインボーライブ(RL、アニメ第3作目)が直接的な前作に当たるのだが、1作目のオーロラドリーム(AD)2作目のディアマイフューチャー(DMF)も観てほしいというファンも多いようだ。実は、12年目を観ていないと演出の意図や意味を理解できないシーンもある。何も知らずに「マジキチ」とだけ表現していると、ファンとしては残念な部分もあるのだろう。

 

それに、キンプリだけリピートされては、ビジネスに持続可能性がない。シリーズを愛してくれる新規客を育てる必要がある。そこで、3月には、急遽『劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』(以下、プリズムツアーズ)ニコニコ動画*7等で配信されることとなった。劇場版プリパラの公開記念と称しているが、実質的にキンプリの公開記念である。プリズムツアーズは、プリパラの名を冠しつつも、監督がプリティーリズムの菱田正和である。内容もプリパラ内のアトラクション「プリズムツアーズ」で遊んでいた主人公・らぁら達が、システムのトラブルをきっかけに、プリティーリズムの世界に迷い込むという話である。実質的にプリティーリズムの総集編映画であり、プリパラライブもほぼ総集編と同じであると思っていい。同時に配信された『劇場版プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン』(以下、ベストテン)*8はまさにプリティーリズムの総集編映画である。プリパラの告知前だったので、プリパラの要素は全くもって、ない。事前にらぁらの出演が告知されていたが、実は一瞬なので落胆しないように注意してほしい。

 

 

プリズムツアーズ ルート4がすごい!

さて、なぜ実質的にキンプリの公開記念なのだろうか?プリティーリズムは女の子の作品のはずである。

 

実は、プリズムツアーズでは、ルート分岐の制度をとっており、途中の数分間でルートが4つに分かれる。そのうちのルート4では、男子をフィーチャーした総集編が用意されているのだ。

 

 

総集編なのに新曲が用意されている!?

他のルートの女子のステージが全て総集編だったのに対し、男子のルートでは、なんと新曲が入っている。スタッフのわがままで実現したそうだが、明らかにやりすぎであることがわかる。ちなみに、CGで登場するHiro×Kojiの「pride」は、以前、イベント用に作ったものだそうだ。話を戻すが、新曲・Flavorには、CGが用意されていない。総集編映画の予算を無理矢理捻り出して、作ったからである。振り付け師に頼む金もなかったそうで、ダンス未経験の監督が振りを付けた。それでも、ルート4には、他の3倍の集客があったそうで、それだけ男子の人気が根強いことがうかがい知れる。*9

 

 

ファンが幅広い

元々は女児向けアニメであったものが大人の女性向けになったこともあり、ファンの層が幅広い。女児向けアニメの一般的な対象層は女児*10とその親であるが、娘を持たない成人男性にもマニアはいる。それに加え、プリティーリズム・レインボーライブの時点で、キャラクターのひとり・速水ヒロがヤンホモとして注目を浴びており*11、既にプリティーリズムを観始めた女性もいたと考えられる。単純に、話題になっていたのでキンプリを観て、ハマってしまったという人もいるようである。

 

ここで疑問に思うのは、プリティーリズムのファンだった成人男性がなぜ男性アイドルのアニメを観るのかである。男性ファンの中にはもちろん、女の子のキャラクターだけが好きな人もいる。しかし、菱田監督をはじめとするスタッフのファンも存在するのだ。(その他にも理由はあるが、複雑化するので、省略する。)現に、スタッフしか登壇しないイベントも人気である。スタッフしか出ないにもかかわらず、チケットが転売に出されてしまったケースまであるほどの人気だ。菱田監督が好きなので、菱田監督が作る作品も好きだというある種のABXモデルが成立していると言い換えることもできる。いずれにしても、既存のファンと影響力を持つ作家や著名人、新規のファンの努力と献身によって、キンプリが3億円を超える大ヒットになったことには変わりはない。

 

 

テンポがよく、無駄がない

実は、キンプリにも新作映画の予算がない。プリズムツアーズと同じで、ない予算を振り絞って新作映画を作ったのだ*12。総集編の予算を使って、プリズムキングカップの導入をしているのだが、DMFを想起させる人数の新キャラを用意している。つまり、MARs*13Over the Rainbowをオーバーラップさせ、役割の説明を省略しているのだ。しかも、プリズムショーを知らない主人公*14を設定することで、初めてでもキンプリに入れるようになっている。

 

他の9人も無駄ではないのです~。主人公・一条シンの秘密を握る謎の少年・如月ルヰ。主人公に熱を通す鷹梁ミナト。話を動かす財布*15・十王院カケル。主人公に反発する太刀花ユキノジョウ。それに、テレビアニメ本編では触れられなかった、カヅキを取り巻くストリート勢にも触れられている。カヅキに憧れる後輩・香賀美タイガ。カヅキに反発するライバル・大和アレクサンダー。ストリート系の他にも、コウジのガールフレンド・涼野いとの弟で、コウジの未来の義弟である涼野ユウ。ピンク色の髪をした男の娘の西園寺レオ*16。管理人に関しては、声優ファンへのファンサービスであり、既存ファンに対しては願ってもいなかった、意表をつくファンサービスである。

 

作画の面でも工夫が見られる。例えば、エーデルローズに入寮したシンに寮の案内をするシーンでは、廊下の描写や歩行シーンがまるでない。他にも、あえて静止画(やほとんど動かない絵)を使うことで情景をありありと描くようなシーンがある。見栄えのあるシーンはほぼCGに任せている。ただし、無限ハグなど、手書きの方が映えるシーンもあるので、そこは手書きにするようにしている。決して手を抜いているわけではなく、あまり違和感や不快感を覚えるようなカットはない。

 

作品のテンポに関しては、ダレがなく、かなり良くなっている。もちろん予算の都合上、やるべき最低限のことしかできないため、時間稼ぎや不要と思われる無駄なシーンがない。その上で、既存のファンへのファンサービスを詰め込んでおり、時間と空間の作り方が徹底されている。確かに入浴シーンは無駄なサービスカットでしかないが、シンやユキノジョウ、レオのキャラクターを説明する上では、残しても間違いではない(風呂という装置を活かしたおかげで女性向けのサービスができ、女性客を増やすことができたとも考えられるので、結果オーライだ)。画面上で23日ぐらいしか経っていないにもかかわらずいつの間にか、シンが華京院中等部の制服を着ていることからもわかる通り、劇中の出来事をかなり省略している。ぜひ、テレビシリーズなどで、省略されたストーリーを見せてほしいものだ。

 

 

ライブは一体感!

このように、キンプリは、スタッフの工夫と努力によって無から有を作り出した映画だった。DVDBlu-rayの発売が目前に迫っている。一般の家庭の設備では、劇場の臨場感や応援上映の一体感は楽しめない。ぜひ今のうちに、劇場でキンプリを見て欲しい。

 


 


 

*1:「より少ない」とは言っていない。

*2:ASCII.jp:社長に「1000人が10回観たくなる作品です」と訴えた――『キンプリ』西Pに訊く (1/5)|渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 より。本文では1000人が10回観る映画だと訴えたということだが、2014年の「プリティーリズム・レインボーライブ プリズム☆ボーイズコレクション」(CD)の予約数が1700人であることから、1700人の期待に応えたいとも話しているので、こちらの数字を使用した。

*3:キンプリ:興収3億円突破 勢い止まらず - MANTANWEB(まんたんウェブ)

*4:「4月29日(金・祝)&30日(土)サンシャイン池袋にて、プリズムの煌きを届けるファン感謝祭開催決定!」

*5:『響け!ユーフォニアム』アサダニッキさんがキンプリに魅了される! | アニメイトTV

*6:販売店・販売サイトごとに特典が異なる。各自で確認されたい。GOODS/DVD&CD | 「KING OF PRISM by PrettyRhythm」公式サイト

*7:劇場版プリパラ みーんなあつまれ!プリズム☆ツアーズ - ニコニコチャンネル:アニメ

*8:プリズムツアーズと同様に、有料配信されている。劇場版プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン - ニコニコチャンネル:アニメ

*9:全て文章化されたソースはなし。ファンによる菱田監督のコメントの書き取りなどを参照されたい。

*10:前述の通り、女児はこの作品のターゲット外である。

*11:ただし、蓮城寺べるという少女を気にかける描写があり、同性愛者とは断定できない。

*12:ただし、総集編パートが10分ほどある。

*13:AD本編で結成された主人公・あいら(Aira)と友達のりずむ(Rizumu)、みおん(Mion)3人のユニット。アイドル要素が強い一方で、結成までに様々な困難があった。DMFでは、主人公たちが目指す憧れのユニットとなっている。

*14:1作目のあいら以外の2人の主人公はプリズムショーを知っている。そもそも、プリズムショーが普及しているRL世界でプリズムショーを知らないのは、テレビを知らないようなもので異質。

*15:同様のキャラクターにADDMFの城之内セレナとDMFのチェギョンがいる。財力を使って話を動かすのだが、育ちの良さが目に見えてわかるキャラになっている。

*16:明らかにプリパラのレオナ・ウエストを意識したキャラクターだ。

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