ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『アイカツ!』の「デザイナー」とは何か?

『アイカツ!』シリーズが終了し、あるひとつの大きな存在が消えた。それはデザイナーだ。『アイカツスターズ!』では、衣装を自分で「ドレスメイク」することができ、デザイナーという職業が存在しない。デザイナーなんて脇役だと思うかもしれない。個々人のデザイナーが出る回なんてそれぞれ10話あるかないかかもしれない。だが、アイカツという行為においては重要だ。ドレスがなければ、アイドルはステージに立てないし、プレミアムドレスがなければ、アイドルは評価されない。デザイナーがいなければ、目指すべきアイドルが分からない。つまり、デザイナーはアイドルにとって、仕事上の重要なパートナーだ。

 

デザイナーは成長を表現する装置

デザイナーはアイドルの成長を見せるための装置だ。瀬名翼(ドリーミークラウン)と大空あかりはファンの間では瀬名あかと呼ばれ、NLカップリングとして持て囃された。なるほど最初はまるで(控えめな)ラブコメのようだった。だが、あかりは瀬名のことを瀬名さんと呼び続けるし、瀬名もあかりをあかりとは呼ばなかった*1。たしかに理解してくれてはいるが、関係が進展していなかった。あくまでスタッフさんだ。ウェディングドレスを作る約束は、結婚する兆しかと思われたし、瀬名が体調を崩す展開はまさにラブコメのテンプレ展開だったと思う。だが、肌は触れていなかった。肌が触れた瞬間に心が揺れ動き、それを拒絶するような描写はなかった。なんでも自分でやろうとするあかりを病床ながらも気遣う……あかりが大人になっていくのを表現する装置でしかなかった。デザイナーとの交流の中で、アイドルは成長していくのだ。

 

デザイナーは試練

デザイナーはアイドルに試練を与える。夢小路魔夜(ロリゴシック)は、怖い屋敷の中を通り抜けないと会えないという分かりやすい試練だ。今でも藤堂ユリカや氷上スミレに自分の部屋のドアを解放してはいない。もちろん、ヴィヴィッドキスのKAYOKOのようにお友達感覚でアイドルと接するデザイナーもいる。だが、試練があることに変わりはない。彼女はアイドルの頑張りに応じて、より重要な役割をアイドルに与えていくようである。それによって、アイドルの側もさらに力をつけることができる。このように、試練はアイドルを成長させる。試練をクリアしたアイドルを認めたデザイナーは、その信頼できるパートナーにプレミアムドレスを託す。プレミアムドレスはデザイナーが自分の魂を捧げたドレスであり、それを着こなすだけの器がある人でないと、渡すことができないのだ。

 

アイドルはデザイナーの世界観に入り込む

アイドルはデザイナーの世界観を理解し、表現する。オーロラファンタジーが分かりやすい例だ。北大路さくらと姫里マリアが着ているオーロラファンタジーのドレスは、絵本作家でもあるグリーングラスによって作られ、ドレスも絵本と同じ世界観にある。さくらとマリアは2人ともグリーングラスの絵本が大好きだ。さくらはグリーングラスに手紙を送るほどのファンだが、オーロラファンタジーのドレスが好きな自分、オーロラファンタジーのドレスを着る自分に自信を持てなかった。そんなさくらは、内に秘めたオーロラファンタジーへの愛と先輩達の尽力によって、直接グリーングラスに会い、プレミアムドレスを手にすることができた。そして、先輩達とともにプレミアムドレスを着てスペシャルオーディションに出場した。一方のマリアは、グリーングラスの世界観を生活で実践するほどのグリーングラスのファンである。彼女の信条であるおもてなしの心も、グリーングラスの絵本からきたものだ。プレミアムドレスを受け取る回では、グリーングラスがギリギリまでドレスの構想を練ってくれていると信じ、自分のアイディアを伝えるために、ヘリを出した。マリアはグリーングラスを信仰していると言っていいレベルであり、アイドルとして究極の存在なのかもしれない。


デザイナーとアイドルは大切な仕事上のパートナーだった。アイドルの努力や試練の達成を認めたデザイナーは、アイドルにプレミアムドレスを与える。プレミアムドレスを貰ったアイドルは、その世界観をライブやファッションショーで表現する。アイドルのブランドやデザイナーに対する貢献を評し、デザイナーは新たな仕事やプレミアムドレスをアイドルに与える。そして、アイドルはさらに成長する。

最後に、『アイカツスターズ!』はデザイナーという大きな存在を失うことになるが、世界観や努力は忘れないで欲しい。

*1:ちなみに、前の職場での大事なお客様である星宮いちごは星宮さん呼び。

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