ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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アイドルアニメ:社会に希望を持てるアニメ、自分に自信を持てるアニメ

アイドルアニメが輝くためのヒントをくれる

相模原の障がい者施設で発生した大量殺人事件でご家族やご友人を亡くされた方には、哀悼の意を申し上げたい。一方で、犯人が自分や障がい者が報われない社会に不満を持っていた可能性も指摘されている。連日発生している過激な思想に感化されたダーイッシュによるテロ事件においても、犯人が社会から孤立していたり、自己肯定感を得られなかったりするという問題が背景にある。もちろん、そうした不満が起きないように社会を変えていくことも大切だが、一方で、私たち一人ひとりも、自分に自信を持ち、社会に希望を持てるようにならなければならないと思う。

 

自分に希望が持てるものの代表格が、アイドルアニメだ。筆者は女性を恋愛対象にしているので、女性アイドルが活躍するものを主に観ているが、どれにも言えることは、アイドル自身が輝こうとしていることだ。有名事務所に入って、コネでデビューして、プッシュされるのではなく、自分で一からやっていくことに焦点を当てているものが多い。誰かに可愛いと言われて、よくわからないけれどオーディションに応募するのではなく、自分がアイドルになって輝きたいから、アイドルになるのだ。『ラブライブ!サンシャイン!!』の第1話のタイトルだって、「輝きたい」だった。つまり、アイドルアニメは、自分から輝くことを啓蒙するアニメなのだ。

 

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自分に自信を持てない子

『アイカツ!』冴草きいとプロデュース

アイドルアニメは自分から輝きたい子を是とする。とはいえ、アイドルアニメであっても、自分に自信を持てない子を扱っている場合がある。例えば、『アイカツ!』の冴草きいは、あるキャンペーン商品のことが好きだという気持ちを表現することをためらっていた。きいはアイドル学校「ドリームアカデミー」の「プロデューサーコース」の生徒*1で、本来、アイドルではなかった。しかし、他のコースでもアイドルを兼任している生徒はいる。

 

大好きな「ポンポンクレープ」のオーディションの情報を得たきいだったが、自分がプロデュースする音城セイラを含め、メインキャラクターの多くは出場しないようだ。一方でセイラは、きいがポンポンクレープを好きなことを知っていたので、きいがオーディションに出るよう仕向けた。他のアイドルに聞いたり、きいのデータを(名前を伏せて)きいに分析してもらったりして、適性の確認もしていた。しかし、きい自身は自分に自信を持っておらず、実は、小学生の頃から孤独感に苛まれていた。きいは、故郷の母親が魔法をかけて自分をプロデュースしてくれたおかげで前向きになれたそうだ。でも、今は自信が持てない。セイラはデザイナーコースの生徒にお願いして、きいの母が送ってくれたアクセサリーをアイカツカードにしてきいに渡した。きいに魔法をかけてプロデュースした。きいは自分に自信を持ってステージに駆け出したのだった。自信を持てない自分がどうやって自信を持つかも、アイドルアニメにおいては重要なのだ。

 

『プリティーリズム・オーロラドリーム』春音あいらと輝き

『プリティーリズム・オーロラドリーム』の主人公・春音あいらも、いつも自分は二の次という子だったが、アイドルやプリズムショーというフィギュアスケートのようなスポーツをやっていく中で、スタァとして輝く力を得た。

 

あいらは運動が苦手だが、洋服が好きで、アパレルショップに来ると時間を忘れてはしゃいでしまうという女の子だ。ある日、彼女の輝きに目をつけた芸能事務所マネージャーにスカウトされて、プリズムショーのリンクに立つことになった。しかし、いきなりやれと言われても、踊れないし、スケート靴で転んでしまい、立ち上がれない。「服の声を聞け」と言われてようやく、プリズムジャンプと呼ばれる技を繰り出す。大会に出たときも、衣装*2を盗難されたのに、友達に予備の衣装をあげて自分は私服でリンクに立ったり、花嫁をイメージした衣装を用意しなさいという条件なのに、花嫁を応援するコーデを用意したりしていた。あいらは良く言えば人を応援することができる子だが、悪く言えば、自分を犠牲にしている子だ。

 

一方で、彼女が持つアイドルアニメの文法における輝きは、洋服が好きなことである。彼女が得意としているのは、服を即興でコーデしたり、作り替えたりするプリティーリメイクだ。センスがない父に、買ってきた服を着ろと言われた際は、服を切り裂いてプリティーリメイクした。あいらが一番ポジティブになれる、自信が持てることがファッションだ。あいらのプリティーリメイクは後々活きてくることになる。苦手をなくすのではなく、得意を伸ばすことをフィーチャーするのもアイドルアニメの醍醐味なのだ。

 

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わがまま≠自尊心

一方で、自分を押し出して、わがままを言うのが自尊心かといえば、それは違う。不平不満を言っても自分には何も返ってこないし、下手をすれば何かを失う。わがままな子はアイドルをすることによって変わっていく。そんな様子を見て、我々も気づかされることがあるはずだ。

 

『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』自分が一番!上葉みあ

オーロラドリームの続編である『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』では、自分が一番だと言い張る主人公・上葉みあが登場した。いつも自分が一番でなければ気が済まず、トップスタァの春音あいらを倒そうとしていた。しかし次第に、輝くことと勝つことは異なるということを認識し、みあは真に輝くことを目標とし始める。

 

上葉みあは、3年前の大会であいらが優勝したとき、観客席にいた。3年後、訳も分からず、あいらのショーに乱入した。しかし、プリズムショーができるわけでもなく、他人に迷惑をかけるだけだった。そんなみあが優れていたのが、みんなを引っ張るリーダーシップだ。みあは、みんなのキャプテンとなり、引っ張っている印象がある。友達が自信喪失になったら、言葉をかけて励ますし、人気取りのためにプリズムショーをやりたいという子がいたら、それは違うと一刀両断した。最初はただのわがままだったみあも、いつの間にか自分の考えによって周りを引っ張っていた。

 

『アイドルマスター・シンデレラガールズ』アイドル辞める!本田未央

『アイドルマスター・シンデレラガールズ』の本田未央も、わがままな発言をしてしまった。自分たちがバックダンサーとして参加した先輩のライブにはたくさん客が来たのに、自分たちのライブに客があまりこなかったことに怒って、アイドルを辞めると言い出した。未央はすごいライブをやると言って友達を呼んだのに、面目が潰れてしまったのだった。アイドルアニメでお客さんが入らないのを描写する理由は、きっと、自分の成長を多くの人に認めてもらったという描写を後でするためだ。アイドルが成長すれば、客だってたくさん入る。

 

もちろん、現実世界のアイドルだって、最初は無名で、客が入らなくても当たり前だ。アイドルアニメでは、プロモーション活動にかかわらず、努力をすれば返ってくるという単純な描写が多いが、客を増やす過程に自分を磨いて輝くという営みが内在していることは、現実もアニメも同じである。『ラブライブ!』のμ’sだって、すっからかんのステージからラブライブ優勝の伝説のアイドルに成り上がった。あなたが応援しているかもしれないあのアイドルだって、最初は全然お客さんがいなかったはずだ。でも、みんな成長する。彼女たちに憧れてアイドルになる人がいる。その子達もまた、輝く。そうした輝きの連鎖、アイドルの牽引力こそが、わがままだった子が行きつくべき道なのかもしれない。

 

アイドルじゃなくても輝ける

このように、アイドルアニメは輝くことを我々に教えるアニメだった。輝けと言われても、私はアイドルじゃないしと思うかもしれない。でも、輝くために大事なことは、アイドルであることではなく、ポジティブな感情を抱くことなのではないだろうか?学校や仕事が辛い、あるいは、外に出るのが辛い、そういう人が元気や勇気を出すために、アイドルアニメがあるのだ。たしかに、アニメが描くアイドルの世界は優しすぎるかもしれない。でも、あのキャラクターが頑張っているのだから自分も頑張ろうとか、自分も自分をプロデュースしてみようとか、思わせてくれることもある。前回の『ラブライブ!サンシャイン!!』だってそうだった。自分は向いてないと思うからやらないのではなく、自分がやりたいからやることが大切なのだと教えてくれた。皆さんもアイドルアニメを観て、自分に自信を持ってほしい。

*1:ドリームアカデミーは2年目に出てきたライバル校である。主人公が所属し、セルフプロデュースが前提である「スターライト学園」と異なり、アイドルにプロデューサーがついていた。体育会系のスターライト学園の生徒と異なり、データベースやシミュレーションを活かして、論理的に結果を導く。

*2:ハート型の宝石・プリズムストーンに封印されている服のこと。プリズムワールドに入ることで、服に着替えることができる。

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