ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。(2017/7/13 Update: 2つあった関連記事欄を1つに収束。)

スポンサーリンク




『獣旋バトル モンスーノ』有害生物とどう向き合うのか

ポケモン映画からモンスーノへ

ポケモン映画から始まって、ペット遺棄問題に辿り着いたわけだが、今度はモンスーノへ向かう。『獣旋バトル モンスーノ』は2012年10月〜2013年9月までテレビ東京で放送されていた日米合作アニメである。主人公が行方不明の父親を捜す過程で謎の巨大生命体「モンスーノ」に出会い、仲間とともに、父親を捜し、また、モンスーノを取り巻く悪を倒すため、冒険に出るというストーリーになっている。


この物語の大きな論点のひとつが、モンスーノとどう共存していくかだ。モンスーノは、実は、原始の時代から人間と交流してきた、かけがえのない存在だ。モンスーノの力は我々に未来への「ヴィジョン」を教えてくれる。もちろん、巨大生命体なので、文字通り力を発揮することもあるし、移動にも役立つ。しかし、同時に、モンスーノは地球に破滅を招く存在でもあった。そのモンスーノを取り巻く悪というのは、力だけに目を向け悪用しようとする人々、害だけに目を向け絶滅させようとする人、モンスーノを人間の支配から解放しようとする人々だ。主人公チェイス・スーノは、悩み抜いた末、モンスーノと人間が共存する未来を選んだ。どんな生物も、人間との絆がある限り、人間には生かす責任があるのだ。

 

前提記事

www.ajo-biani.com

popncandyrocket1ban.hatenablog.com

 

モンスーノとの絆

どんなに害をもたらす生物でも、それを愛する人がいる限り、無闇に滅ぼしてはいけない。その生物の死は、その人の運命を変えてしまう。モンスーノと打ち解けつつあったチェイスは、ある事件をきっかけに、徐々にモンスーノに恐怖することになる。それは、研究設備が破壊されたことで、異常な電磁波が生じ、モンスーノが暴走状態になる「シャドウエフェクト」が起こった頃だったと思う。あの頃からチェイスは不穏なヴィジョンを見るようになったのだろう。そして、一番の相棒である「ロック」が街を破壊するヴィジョンを見たとき、チェイスのモンスーノへの恐怖は明確になった。チェイスはロックと一緒に敵と戦った際、ロックに恐怖した。ロックはチェイスの元を立ち去り、偶然か必然か、ワイルドコアと呼ばれる天然の力に取り込まれ、半野生化してしまう*1。ロックは後述するモンスーノ解放運動家の「ジョーカー」の仲間となり、ジョーカーの友達になった野生モンスーノとして、ジョーカーを助ける。しかし、チェイスと再び相見えても、チェイスを主人とは認識しなかった。だが、チェイスは一旦、ロックを説得して、モンスーノコアに帰した。


しかし、その後もロックとの絆は修復しなかった。モンスーノと人間の絆を元に戻すための本を探しに寺院の図書館に行くのだが、そこには図書館荒らし・ベクター卿の一味がいた。ベクター卿はチェイスとロックの絆を初期化し、ロックを自分のものにしようとするが、そうはいかなかった。仲間たちの助けでチェイスは救出された。ただ、ベクター卿は最後の手段として、図書館を爆破する。爆破まであと少しという時なのに、ロックはそこを動かなかった。チェイスもまた、そこを動かなかった。チェイスはロックと自分が運命共同体であることを認識し、ロックと仲直りを果たしたのだった。


実際のところ、ロックはチェイスの遺伝子を組み込んでいる「家族」である*2。ロックが死ねば、チェイスは家族を失うことになる。ロックが死ねば、運命が変わってしまう。ロックは、物ではない。ロックは愛しい存在なのだ。このように、愛する生き物を失うことは、何事にも代えがたい苦痛なのである。

 

モンスーノの破壊力

どんなに愛らしい生き物でも、環境に害をもたらす限りは、被害を抑制する必要がある。モンスーノを構成する成分である「モンスーノエナジー」は、大地に染み込むことで、惑星を爆発させ、破壊する可能性が指摘されている。これに対して、チェイスの父ジェレディ・スーノ博士は、モンスーノエナジーを破壊する「MEシールド」を開発し、世界各地にMEシールドを発生させるための装置を取り付けていた。しかし、モンスーノと人間の伝統的な絆を大切にする僧侶の少年・ノアはそれに大きく反対していた。チェイスもまた、モンスーノと人間の絆を信じていた。そして、決断の時、MEシールドのスイッチはチェイスの手に委ねられた。チェイスは当然、MEシールドの発動を拒絶し、スイッチを水の底に投げ捨てた。


それから考えられた方法が、「モンスーノ周波数」を使ってモンスーノエナジーの地球への影響を抑える方法だ。これにはたくさんのモンスーノの情報が必要で、物語の後半は周波数集めに費やされる。これで、モンスーノと人間の共存は達成されるはずだった。しかし、大きく分けて2つの問題が立ちふさがることになる。1つは新兵器「ワイルドコア爆弾」の登場だ。ワイルドコア爆弾は、モンスーノの力を使って街ひとつを破壊する爆弾だ。これはモンスーノの命さえも奪う強力なものだ。もう1つは、モンスーノエナジーに故郷の星を破壊された宇宙人・ドルーグの登場だ。ドルーグはモンスーノの存在そのものを憎んでおり、モンスーノを滅ぼすことを企んでいる。チェイス達はそのことを知らないのだが、ゆくゆくは問題になっていく。いずれの場合も、モンスーノの危険性が強調されている。


これは現実世界のペットにも言えることだと思う。野生化した外来種が在来種を駆逐する。それを防ぐため、外来種を捕獲したり、銃殺したりする。(野生化したペットが作物を荒らす場合も同じであろう。)でも、その外来種の生き物には罪はないし、その種の生き物を全て日本から消せばなんとかなる話かといえば、そうでもない。人間がすべきことは、飼っている生き物を責任を持って育てて、一世限りで終わらせることだ。

 

モンスーノの自由

どんなに賢い動物であっても、管理することは必要だ。野に放たれた犬猫が繁殖したら、餌となる動物が過剰に死に、生態系が崩れる。糞尿で衛生状態が悪化し、感染症の原因になる。逆に、餌の取り方や他の生物との接し方が分からず、自然の中で生きられずに、死んでしまう可能性がある。モンスーノの場合は、モンスーノ愛護団体の「デザートウルフ」がモンスーノコアを砕き、地面に埋め、野生に帰す活動をしている。この運動も、モンスーノを有害化させているにすぎない。前述の通り、モンスーノが大地に浸透すれば、やがてモンスーノエナジーが地球の核に浸透し、大爆発を起こす。彼らは愛の名の下に破壊活動を行っているのだ。


リーダーのジョーカーは、自身がモンスーノコアの中に所有している「メテオストライカー」を、自由だと主張している。彼はモンスーノも兄弟だと考えている。にもかかわらず、他のスピンバトラー(モンスーノの所持者)に対しては、上記のような仕打ちをしているのだ。生き物と飼い主の間にある絆を否定することは許しがたく、しかも、生き物を自然に帰す行為がかえって自然を破壊している。本当に生き物を自由にしたいのであれば、動物に最大限を認められるよう、管理すべきだ。

 

モンスーノと共存するために

このように、人間とモンスーノは固い運命の絆で結ばれていた。モンスーノは古代より人と共に生きてきた。それは人に利益ばかりをもたらす益獣というわけではなく、地球に破滅をもたらす存在でもあった。しかし、人間と特に深い絆で結ばれたモンスーノは、その人間と運命を共にするかけがえのない存在でもある。力を畏れることをやめ、歩み寄ることも必要だ。そこで考案されたのが、地球とモンスーノが共存できる「ビッグボード」と呼ばれるシステムだった。モンスーノの周波数を集めることで、モンスーノを無害化する波「ハーモニーウェーブ」を作り出す。それが人間チェイス・スーノの行き着いた答えだった。もちろん、それにはモンスーノに怨みを持つ人、モンスーノを解放したい人にとっては不都合な答えかもしれない。でも、最も破壊から遠い選択肢を取るとすれば、それしかなかった。人類は、モンスーノと共に責任を持って時を刻むという選択肢を選んだのだ。

 

当たり前のことだが、どんな生き物にも命は宿っている。我々は命を無駄にせぬよう励まなければならない。絆を守りぬかなければならない。そして、我々はペットという癒しグッズから効果を受けているわけではない。つまり、ペットとは、双方向の、永遠の、無償の愛を育まなければならないのだ。

*1:本来、一定時間モンスーノコアと呼ばれるアイテムに帰らなかったモンスーノは消滅してしまう。

*2:劇中では、このことを指して、ロックはリンチピン(linchpin)と呼称される。

スポンサーリンク


プライバシーポリシーと当サイトの利用するサービスについて