ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

スポンサーリンク

『バトルスピリッツダブルドライブ』茂上駿太VS恐怖 新たな十二神皇を手にすることはできるのか?

『バトルスピリッツダブルドライブ』第20話「勇者の試練」

第20話では、茂上駿太が午の十二神皇奪還に向けて、新たな十二神皇を手に入れるために、セキコ仙人の挑戦を受けた。岩に突き刺さっているカードを引き抜くだけの簡単な試練だが、抜けなかった。それどころか、周りに張られた「結界」を通り抜けることすらできなかった。駿太はこの試練を乗り越えることができるのか?


この回では、駿太がバトスピのバトラーとして決意を新たにした。駿太は1話時点で、日本の全国チャンピオンで、スピリッツワールドの勇者であった。しかし、駿太はこれまでに、その両方の地位を実質的に失っている。異世界から来た勇者を認めないタツミと、駿太の勝利を認めない全国大会ファイナリストの大牙和巳に敗北してしまったのだ。ただ敗北しただけではない。タツミの「辰の十二神皇ウロヴォリアス」はステップごとに相手のコアを除去する「呪縛」の効果で、何もできずに負けてしまう恐怖を味わった。この戦いでタツミが奪ったエグゼシードは和已の手に渡り、駿太を苦しめた。


このような敗北への恐怖を乗り越えるというのがこの回のテーマだ。「結界」というのは心の迷いのメタファーでしかなく、迷いから解放されること、迷いに打ち勝つことが駿太に与えられた試練だった。もちろん、駿太はただ負けて悔しいわけではなく、負けたことでいろいろなものを失っている。でも、取り戻す他、その欠落を取り戻す方法はない。駿太は勝つための新たな手段を得るために、そして、勝つために頑張らなければならない。駿太は敗北の恐怖に打ち勝ち、地位を取り戻さなければならないのだ。

 

敗北への恐怖

駿太はタツミのウロヴォリアスや和已のエグゼシードに敗れる恐怖をうまくコントロールした。たしかに、虎の十二神皇を手にすることで、幾分か戦いが楽になる。でも、新しい力を手にしたところで、恐怖に変わりはない。その敗北が駿太の心に焼き付いてしまっているからだ。どんなに強いカードを手にしたとしても、負けたときのトラウマはきっと無くならないだろう。だが、敗北を恐れていては、前に進めないというのも尤もな意見だ。今回の場合、タツミや和已を倒せなければ、世界は滅亡してしまう。タツミと和已はまさに、勝てなければ絶対後悔する対戦相手たちなのである。世界が滅亡すれば、バトスピができなくなる。後悔が敗北への恐怖よりも嫌なことだと気づくことで、駿太は恐怖心を抑えることができたのだ。

 

アイデンティティの危機

駿太が称号を奪われたことは、駿太のアイデンティティの危機につながった。茂上駿太といえば、日本のバトスピ大好き少年である。彼のキースピリットである午の十二神皇エグゼシードは、全国大会1位の商品としてもらったものだ。そして、それはバトスピを使って戦う勇者の証だ。駿太にとって、バトスピは(自己同一性・身分証明という意味で)アイデンティティなのである。


ところが、駿太はタツミに負け勇者の称号を奪われ、和已に負けチャンピオンの称号を奪われた。このままでは、駿太の心の中枢にある何か大切なものが失われてしまうだろう。そもそも、スピリッツワールドにいる今の駿太を構成するのは、100%バトスピだ。この状況で駿太からバトスピがなくなれば、駿太は空っぽになってしまう。たしかに自分を構成している称号を失うことは辛い。でも、今は頑張ってそれを取り戻すしかない。チャンピオンの座なら諦めて引退するという手があるが、十二神皇は必ず取り戻さなければならないし、勇者の称号も取り戻す必要がある。世界に天変地異が起こっている今、十二神皇を取り戻さなければ、バトスピを含むこの世の全てが失われてしまう。バトスピしかない駿太は、この危機に立ち向かうしかないのだ。

 

戦う理由

以上のように、茂上駿太は敗北の恐怖に打ち勝ち、アイデンティティを取り戻さなければならなかった。強敵を前に、為す術もなかった駿太は虎の十二神皇を探す旅に出た。駿太の前に待ち受けていたのは、心の壁を乗り越えて、カードを掴むという試練だった。駿太の心の壁とは、敗北へのトラウマだった。駿太は強力なカードの効果によって身動きが取れないままタツミに敗北し、「午の十二神皇エグゼシード」を奪われた。その上、奪われたエグゼシードは全国大会決勝で駿太に負けた大牙和已の手に渡り、駿太はリベンジマッチに敗れた。勇者と勝者、ふたつのアイデンティティを奪われた駿太は、とても辛い思いをした。しかし、勇者のアイデンティティを奪われたままでは世界は滅亡し、駿太のアイデンティティであるバトスピができなくなる。「怖がって逃げ回って二度とバトスピができなくなるくらいだったら、それに比べたら他のことなんて、全然どうってことないんだ!」それが駿太の切実な想いだ。


自分を取り戻すため、虎の十二神皇を手に、駿太はタツミと和已に立ち向かう。次回、駿太は和已と戦うようだが、和已に勝利の意味をわからせることができるのかも注目される。いずれにしても、ここ数回の敗北によって溜まったフラストレーションを発散してほしいところだ。頑張れ駿太!

スポンサーリンク


プライバシーポリシーと当サイトの利用するサービスについて