ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

ホビーアニメ、海外産アニメ、女児向けアニメなどを観て、変になってしまいました。プリティーリズムシリーズや現在放送中のホビーアニメを中心に、このキャラがかわいいとか、そのアニメが社会に伝えたい価値は何なのかまで、様々な情報を発信していきます。

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『ラブライブ!サンシャイン!!』2年生が手にした輝き〜梨子の復活と曜の嫉妬〜

アイドルと輝き:個性を大切にするということ

ラブライブ!サンシャイン!!』第10-11話はよく見ると前後篇で話が展開された。一見全く関係のない回だが、よくよく考えてみるとつながっていることがわかる。2つの話は個性を趣旨にしていて、それを海の家とダンスという媒体を通して伝えている。あらすじは以下の通りである。

 

 

第10話「シャイ煮はじめました」

梨子は東京で開かれるピアノコンクールの招待メールを受け取るが、Aqoursのことを想い、返事を出来ずにいた。そんな中、Aqoursは合宿をすることになり、梨子と千歌もそれに参加することになった。梨子は合宿の途中で既にメールを消去していた。しかし、千歌はあることがきっかけで梨子がコンクールのことで思い悩んでいることを知る。その夜中、千歌は梨子の想いを聞き出そうとするが、梨子は、今はスクールアイドルの方が大事で、自分の使命は最高の曲を作って、ラブライブの予選に出ることだと言う。


翌日、千歌と梨子らは曲の相談をしていた。千歌が書いた歌詞のテーマは「大切なもの」だった。一方、梨子が書いた曲の曲名は「海に還るもの」である。その夜(もしくは開店前?)、みんなが盛り上がっている中で、暗い顔をしている千歌を曜は見た。反対に、梨子は不自然に笑っていて、何かを察したようだった。

 

その夜中、千歌は梨子を連れ出して自転車で学校へ向かった。学校の音楽室で、梨子は海に還るものを弾いた。その曲を聴いた千歌は梨子に、ピアノコンクールに出て欲しいと、一見馬鹿げたことを言った。でも、最初の頃を思ってみれば、千歌が梨子をスクールアイドルに誘ったのは、アイドルをやることで梨子の中の何かが変わると思ったからだ。現に、梨子は海の曲を作ることができた。だからこそ、スクールアイドルと同じくらい大切なピアノのコンクールに参加してほしかったのだ。

 

第11話「友情ヨーソロー」

梨子が抜け、千歌たち8人だけで練習が進む。しかし、振りを入れてみると、実は8人用のフォーメーションができていない(千歌と梨子を想定した2トップのフォーメーション)ことが判明した。そこで、曜が「梨子の代わり」になることが決まった。千歌と曜はなかなか噛み合わず失敗したが、曜の機転で、曜が梨子と同じ振りをすることになり、かみ合うようになった。


ところが、鞠莉は千歌と曜の想いがかみ合っていないことを見抜いていた。たしかに、曜は昔からずっと千歌と2人で何かをしたいと思っていて、その結果が高校生で始めたスクールアイドルだった。しかし、そこに梨子が加わり、他のメンバーが加わり、心のどこかで梨子に嫉妬していた。でも、曜と一緒に活動ができなかったことを残念だと思っていたのは千歌も一緒だった。曜は自分がいれば迷惑だと思っていたが、それは全く違っていた。梨子自身も無理に梨子の動きに合わせず、2人のやりやすい形にすべきだと言っている。大切なのは、萎縮することではなく、自分達らしさを前面に出すことなのだと2人は気付いたのだ。

 

予備予選当日、梨子は遠く離れたAqoursに向けて、手を差し出した。9人は離れていても繋がっているのだ。梨子は東京でピアノを弾き、Aqoursも梨子の分まで、8人で踊った。梨子は千歌がスクールアイドルを始めた理由は、集団のつながりの中で輝きを作り、広めていくことにあるのだと悟ったのだった。

 

シャイ煮には役割があった

シャイ煮のくだりは、ただのギャグに見えて、実は11話につながっている。売れるヨキソバと売れないシャイ煮&堕天使の涙は対比になっている。ヨキソバは一般的にはオムそばと呼ばれる料理である。オムレツと焼きそばを組み合わせた料理はそれぞれの輝きを生かしつつも、さらに美味しくなっている。シャイ煮は海産物を煮たもので、それ自体は輝いているのだが、(敷居や価格の面で)ハードルが高く、売れなかった。また、堕天使の涙*1もわかりづらい名前と辛い味が原因で売れなかった。


この2つの料理はそれなりの輝きを持っているにもかかわらず、全く売れなかったわけだ。これはつまり、スクールアイドルを料理に喩えた描写だ。繁盛している隣の海の家がトップアイドル、ボロボロの海の家がそれ以外のアイドル、その中でも鞠莉のシャイ煮と善子の堕天使の涙Aqoursに当たる。そして、曜のヨキソバがそれなりに順位が高いセイントスノーだ。


でも、シャイ煮と堕天使の涙はどうあがいても売れないというわけではない。曜は2つの料理が売れるように、船乗りカレーと組み合わせて一体化させた。これにより、シャイ煮と堕天使の涙は売れるようになる。これは想いがつながることで一体化した11話のAqoursのことだ。別にシャイ煮と堕天使の涙が個別に輝いているわけではなくて、カレーと組み合わせることで美味しくなっている。みんなの想いがつながってこそのAqoursであって、一人一人の個性が個別に輝いているだけではよくないのだ。

 

梨子と曜の想いを再確認する回

第11話は、曜の個別回だった。第11話という話数にこの類のエピソードが来るのは非常に意義深い。1クールアニメにおいて、この話数は「最終決戦」に向けた準備回、もしくは最終決戦の途中である。この回では、最終決戦の準備として、初期(スターティング)メンバー・曜の内面を掘り下げた。初心に帰るために。そもそも、曜は初期メンバーなので、個別回がなかった。この手の多人数が活躍するアニメでは、初期メンバーは関係が希薄になりがちだ。特に、曜の影の薄さは視聴者も気になっていたはずである。だから、このタイミングで個別回を入れたのは、理にかなっている。物語の前提を整理しなおすことで、物語の後味に深みが増すのだ。

 

桜内梨子と「海に還るもの」

もちろん、第10話の梨子の成長描写にも大きな意味があった。以前このブログでも触れたが、梨子は人としての輝きを失っていた。ピアノが弾けなくなったことで、淡島の海の音を聴くという「逃げ」に走った。しかし、千歌に才能を買われ、変われるまでやってみるという条件でスクールアイドルになった。今、梨子は海から得たインスピレーションを楽譜に書き下ろし、ピアノで弾くことができた。梨子のハートの革命は終了し、プリズムの煌めきを取り戻したと言っても過言ではない。実際に、東京のコンクールでピアノを弾くことができたのだ。正直なところ、梨子はもはやスクールアイドル・桜内梨子になっていて、ピアニストとしての人格を失いかけていた*2。でも、スクールアイドルになることで輝きを取り戻したので、ステージ上でピアノを弾くことができたのだと思う。梨子はスクールアイドル活動を通じて、大きく成長したのである。

 

みんなで輝くということ

Aqoursが目指している輝き方はみんなで輝くことだ。曜は、梨子のポジションに代わりに入ることで、梨子になろうとしていた。曜は千歌の幼馴染であるにもかかわらず、梨子に千歌の隣を奪われていた。今回、千歌の隣に立って、千歌と一緒に活動できるという久しぶりのチャンスを得たわけだ。でも、曜がやろうとしていたのは、梨子をコピーして、千歌に迷惑をかけまいとすることだった。そもそも、自分を抑えて集団の和に貢献しようとするのは、ユニットのあり方として正しくない。異なる個性をぶつけ合う掛け算こそがユニットの魔法なのだ。


それから、他人の動きをコピーするというのは、「輝き」とは遠い概念だ。コピーと言われて思い浮かぶのは、『プリティーリズム・オーロラドリーム』の久里須かなめと『プリパラ』のファルルだ。2人が他人の技をコピーして使うときには、目が光っていない。プリリズ・プリパラの技は心の作用によって生まれるものである。だから、コピーした技には本物の輝きがないのだ。たしかにコピーというのはクオリティの高い芸当だが、芸術としては輝きに欠ける。みんなが自分の個性をぶつけ合って一つのユニットを作り、みんなで輝くということが大事なのだ。

 

Aqoursの輝き

Aqoursは9つの個性がぶつかり合うグループである。一人では輝けないかもしれないけれど、ユニットがあれば輝ける。桜内梨子はユニットがあるおかげで輝きを取り戻し、ピアノを再び弾くことができた。渡辺曜も、メンバーが増えていくユニットから疎外感を感じ、自分を抑えていたが、千歌と個性をぶつけ合うことで、最高のステージを作ることができた。ユニットは、異なる個性がぶつかり合い、つながることで大きな力を生み出すのだ。さて、来週はいよいよ結果発表だ。ここまでくれば通過するだろうと思いたい。

*1:たこ焼きのたこの代わりにタバスコが入っているらしい。

*2:2話と10-11話以外で梨子はピアノを弾く描写はほとんどなかった。