ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『アイカツスターズ!』第26話 異例ずくめの白銀リリィ

アイカツスターズ!』第26話「奪えない夢」

アイカツスターズ!』第26話は白銀リリィが四ツ星学園に復学してからの数日間を描いた。復学早々、朝礼で倒れたリリィ。リリィは幼い頃から体が弱いらしい。リリィは保健室で寝ていたかと思えば、早々にレッスンに復帰した。だが、ウォーミングアップで限界を感じ、見学を申し出た。一方、レッスンで無理をして足を捻挫した虹野ゆめは、リリィと共にレッスンを見学することになった。


包帯と湿布を取り替えるため、リリィの休んでいる保健室を訪れたゆめは、みんなと同じレッスンができないことを悔やんだ。しかし、リリィは一人ひとり個性が違うのに、なぜ同じレッスンをしなければならないのかと問うた。リリィの復帰記念ステージには沢山の人が訪れていて、その高い人気をうかがわせた。ステージはミスやアクシデントなく成功し、リリィはステージ終了後、舞台袖で倒れた。リリィはゆめに「『強敵』と書いて『とも』と読む」と言う世紀末の拳士達の活躍を描いた作品の言葉を贈った。

 

この回では、「強烈な個性」を持つ白銀リリィの精神を紐解いた。同時に、これまで個性探しをしてきたゆめに対して、1つの観点を与えた。強烈な個性は強烈なキャラ付けではなく、自分の属性のことなのだ。

 

 

アイカツ!』に反旗を翻すキャラクター

体力がないとアイカツはできない

白銀リリィは、『アイカツ!』が積み上げてきたものを崩した。『アイカツ!』が掲げてきたアイドル像を真っ向から否定したのだ。まず、『アイカツ!』では、アイドルは体力をつけなければならなかった。実際に、体力のなかった星宮いちごや大空あかりは相当のトレーニングを積んで体力をつけていた。あかりがアイカツブートキャンプのトレーニングですぐへばっていたのが印象的だ。

 

みんなと同じトレーニングをしなければならない

次に、『アイカツ!』では、みんなと同じトレーニングをしなければならなかった。ダンピール*1というキャラ付けの都合上、日に当たってはいけない藤堂ユリカは、日傘をさしてグラウンドを走っていた。ドリームアカデミーという、異なるトレーニングをする学校はあったが、スターライト学園と同じく、団体の中で同一のトレーニングをしているにすぎなかった。人によって体力に差があることを認めつつも、同じトレーニングをすることが暗黙のルールと化していた。

 

身体を壊すまで無理をするのはよいことだ

また、『アイカツ!』は無理を美徳としてきた。スターライトクイーンの神崎美月が家老と睡眠不足で倒れてしまう回でも、美月は学園長に「無理はします」と言っていた。以前に紫吹蘭が、実力者2人を含むユニット・トライスターの全国ツアーに出演していた際も、本当はハードなレッスンについていけないのに、無理をしてツアーに参加していた。精一杯頑張るという意味ではよいことなのかもしれないが、視聴者からすれば、精神がえぐられる描写であった。こうした描写がある種、「必要な自己犠牲」の象徴になっていた。

 

健康でなければアイドルになれない

最後に、『アイカツ!』では、病気の子はアイドルになれなかった。ドリームアカデミーの音城セイラの妹・音城ノエルは、アイドルに憧れていたが、体が弱いのでアイドルにはなれなかった。ノエルがアイドルになったのは、体質が改善したからであって、病気の子がアイドルとして受け入れられたからではない。『アイカツ!』では、誰もが健康であることを求められていたのだ。リリィはこうしたアイドルの条件や美徳を打ち壊し、『アイカツスターズ!』に、そして、アイカツ界に新しいアイカツをもたらした。

 

これまでの『アイカツスターズ!』の常識を覆すリリィ

同じ基準は必要ない

白銀リリィは、同様に、『アイカツスターズ!』の中で行われてきたアイカツも否定している。リリィはまず、これまで同じ基準のもとに行われてきたアイカツを否定した。『アイカツスターズ!』では、ホームクラスごとに基礎レッスンを、組ごとに専門のレッスンをする。つまり、トレーニングやレッスン内容が形式化されている。「歌組」では、重量のあるスーツを着て行うトレーニングに多くのアイドルが苦戦していた。ついていけるものだけがオーディションに合格し、CDデビューすることができた。


同様に、通常クラスのトレーニングでも、筋力が不足していたゆめは、最初はその形式についていくことができていなかった。そのため、筋力をつけるべく、トレーニングに力を入れていた。このように、同一のトレーニングをこなせないものは、ペナントレースから振り落とされていた。


にもかかわらず、リリィはその形式にとらわれていない。リリィは、腕立て伏せが無理だと思ったら、即座に見学を申し出ていた。それどころか、見学をすることで、ステップを覚えようとしていた。リリィは誰よりも個性とセルフプロデュース*2を尊重し、普通の人とは違うレッスンをしていたのだ。

 

個性は好きなものでも雰囲気でもない

次に、個性という言葉の意味自体も、これまでの『アイカツスターズ!』とは別のものだった。第7話「シンプル イズ ザ ベスト!」で桜庭ローラが見つけた個性は、自分の好きな物事を嘘をつかずに表現することだった。一方、第23話「ツンドラの歌姫、降臨!」では、リリィのことを同僚の幹部生が「強烈な個性」の持ち主だと表現していた。その回では、ゆめが個性を見つけるために願掛けをしていて、その過程でゆめたちはリリィの存在を知った。リリィのライブ映像を見るだけで凍えるほどの冷気を感じ取ることができた。この時点では、幹部生やゆめたちはそのことを個性だと呼んでいるように感じられた。


だが、実際にリリィが個性と呼んでいたものは、体力や価値観の違いから生じる個人間の差異のことであった。「強烈な個性」という言葉はある種のミスリードかもしれない。リリィは文学少女であり、有名作品や偉人の言葉を引用することが多い。登場話数の時点では*3、他のアニメやドラマのゴス系キャラ・厨二病キャラと同じような括りで、「個性的」だと思われていた。しかし、彼女の個性は話し方や口癖、性格や服装以上の意味を持っていた。

 

サポートがあれば無理をしてもよい

それから、身体は資本なので無理をしてはいけないというのが学園長のポリシーだった。これまでも無理なトレーニングをした香澄夜空が養護教諭から注意されていた。しかし、リリィは無理をしてトレーニングをしない代わりに、自分の全力を出し尽くしてステージをする。つまり、夢のためなら自分の体を犠牲にできる。CMでも流れている「このひとときに魂を込めて」という決め台詞にもこのリリィの姿勢が表れている。リリィは自分の体調と相談しながら、できるところまで、自分のやりたいようにステージをやっているのだ。


ところで、リリィは心無い人に、アイドルになることはできないと言われたことがあるようだ。だが実際には、保健室や親友・二階堂ゆずの協力あるいは休学によってうまくやっている。たしかに身体が弱いというのは視聴者の想像を絶するもので、アイドルになれないというのも当然だろう。でも、よくよく考えてみれば、リリィをサポートするのもスターズのアイカツであることに気づく。


もちろん、リリィ自体もアイカツをしているのだが、『アイカツスターズ!』では、裏方もアイカツということになっている*4。つまり、サポートがあってこそアイドルになれるというのは、むしろアイカツスターズのアイドルらしいことなのだ。このように、白銀リリィは最もスターズらしいアイドルなのである。ここまで諸星学園長との絡みがないが、彼がリリィをどのように評価しているかが気になるところだ。

 

リリィがゆめに与える影響

見てきたように、リリィは基準や常識にとらわれない独自のアイカツをしてきた。その考え方を知ったゆめは、衝撃を受けていた。ゆめもリリィと同様、ある意味で限界のあるアイドルだが、リリィの考え方をどのように自分のアイカツに取り込んでいくのかに注目したい。

*1:人間と吸血鬼の間に生まれた子ども

*2:1話の時点では、レッスン外のアイカツは、自分で考え、自分で行動するセルフプロデュースになっていた。

*3:前作の緑色担当である藤堂ユリカの存在も影響しているかもしれない。

*4:アイカツ!』はあくまで、中高生アイドルの要望に応える形で大人が番組やライブを作っていて、アイドルの参加の度合いが高いことは稀だった。でも、『アイカツスターズ!』では、裏方のスタッフをアイドルがやっている。もちろん、大人のスタッフもたくさんいるが、前作に比べてアイドルの参加度合いが大きい。

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