ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。(2017/7/13 Update: 2つあった関連記事欄を1つに収束。)

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『プリパラ』はなぜありがたいのか?ープリティーリズムの継承と弱さの承認

ただの女児向けアニメではない!神アニメだっ!

『プリパラ』といえば、女の子向けのアイドルアニメのひとつとして、あるいは、カードをオンデマンド印刷する新しいゲームの試みとしてご存知の方も多いのではないだろうか?もちろんその通りなのだが、ファンにとってはそれ以上の存在でもある。

 

実は、前身はアニメ・漫画・ゲーム・音楽CDなどの女児向けメディアミックス『プリティーリズム』と呼ばれる作品だ。作品名を言われてもピンとこないかもしれないが、応援上映で話題になった『キンプリ』の前身でもある。少女たちがフィギュアスケート競技を通じて家族や友達と心を通わせていくという作品だったのだが、アニメ放送開始3年を迎えてリニューアルされた。その際に、ブームの去ったフィギュアスケートというモチーフが、アイドルへと変わったというわけだ。

 

 

ストーリー

アイドルたちの仮装テーマパーク・プリパラ……そこは、特別なチケット「プリチケ」を持つ女の子だけが入ることを許されたパラダイス。小学5年生の主人公・真中らぁらは、プリパラの入り口「プリズムストーンショップ」に落し物を届けに行ったことがきっかけで、アイドルデビューすることになってしまう。真中らぁらはアイドル「らぁら」として、少し大人になった姿(アバター)でアイドル活動を始めたのだった。

 

人気の理由

このアニメが人気である理由は、以下の3点に尽きるだろう。

  1. プリティーリズムのエッセンスの継承
  2. 配慮を必要とする「弱い子」の登場
  3. 誰にでもチャンスがある理想郷

 

プリティーリズムのエッセンスの継承

 

この作品は、『プリティーリズム』のシステムを一新して、全く新しいものに変えてしまった。しかし、だからと言って、プリティーリズムが好きだったファンを裏切っているわけではない。きちんとプリティーリズムのエッセンスを残している。わかりやすいところで言えば、ストーリーの大枠を受け継いでいる。それは、例えば、次のような内容である。

  • 校長先生が禁止しているので、小学生はプリパラに行ってはいけない。
  • ボーカルドール*1のファルルが、他のアイドルの動きをコピーする。
  • ファルルはマネージャー*2のユニコンから過干渉されている。

(いずれも第1期の内容)


これらの問題は実は『プリティーリズム・オーロラドリーム』の内容から来ている。

 

  • 主人公の春音あいらは、父親からスケートをすることを許されていない。
  • 謎の少女・久里須かなめは、他のキャラクターのジャンプ技(キャプテン翼のスケート版)をコピーする。
  • 久里須かなめは、コーチである養母から心を捨てるよう指導を受けている。


このように、プリパラはプリティーリズムの大枠を受け継いでいる。それだけでなく、プリパラの劇中でプリティーリズムが過去の遺産であることが示唆されている。まず、らぁらが憧れる「神アイドル」の「Saints」はプリティーリズム3シリーズの主人公と同じ姿をしている。次に、劇中に登場する博物館に、プリティーリズムを象徴する絵や物品が飾られている。そして、劇場版プリパラ第1作目では、プリティーリズムの先輩たちの活躍について、プリパラのキャラクターたちが学ぶ。このような事実から伺えるのは、プリティーリズムが大事な遺産として扱われているということだ。プリパラは、決してファンを裏切っているわけではないというわけだ。

 

配慮を必要とする「弱い子」の登場

配慮を必要とする子どもの登場も、このアニメの「尊さ」を高め、あるいはこの作品の教育的要素を強めている。例えば、北条そふぃという女の子は、薬を必要としている女の子のメタファーである。登場時のソロコンサートでは、そふぃは強い女の子として描かれていた。だが、実は強い女の子でいられるのは、梅干しを食べているからである。逆に梅干しの効果が切れてしまうと、動けなくなってしまう。表現こそ和らげられているが、世の中にはそふぃのように配慮が必要な子もいるのだということを、『プリパラ』は未就学児や小学生に伝えていた。


他には、ジェンダーに関する描写がある。メインキャラクターのひとりであるレオナ・ウェストはトランスジェンダーの女の子である。学校では男子制服を着ているが、プリパラ内では女の子として活動している。一方、双子の姉であるドロシー・ウェストは、いわゆるボーイッシュな女の子で、一人称が僕である。姉のドロシーの方がレオナよりも活発であり、「男の子は活発であるべき」「女の子はおしとやかであるべき」というような偏見を排除している。このように、『プリパラ』は多様性を尊重することを子どもに訴えかけている*3

 

誰にでもチャンスがある理想郷

プリパラは誰にでもチャンスがある理想郷だ。一部のエリートだけが成功できるという考えをこのアニメは否定している。第2期のメインテーマのひとつがそのような天才と努力家の対立である。これは、『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』のあるエピソードに関連したものだ。その回では、主人公の友達が、主人公と違って自分には才能がないということで悩んでいた。しかし、主人公が、弱いところも含めてあなたのことが好きだと伝えたことで、友達は自信を取り戻した。プリティーリズムの世界では、天才が才能だけで勝ち上がることはできず、逆に、前向きに努力をした子が報われることがある。これはプリパラも同じことである。


バカが嫌いな紫京院ひびきは、バカと才能のないアイドルを排除しようと試みた。彼女はプリパラを乗っ取り、高いランクを持っているアイドルしかライブができないよう、設定を変えてしまった。しかし、らぁらと仲間たちは、今のシステムと繋がっていない古いライブ会場を使って、ライブを行った。小さなハコで地道にライブをすることで見事にランクアップを果たし、ひびきへの挑戦権を得た。そして、らぁらはひびきを倒した。


このように、『プリパラ』では、一部の天才だけが活躍すべきだと言う考え方を否定している。それどころか、プリパラに行けない女の子たちの嫉妬から生まれた存在・ガァルルでさえも、ライブをするチャンスを持っている。姉のファルルと違い、ガァルルはうまく歌ったり踊ったりすることができない。しかし、ガァルルは諦めずにライブを行なった。今では、トモチケを交換することだってできる。彼女の成功は我々に、諦めなければ必ずチャンスは巡ってくると言うことを教えているのだ。

 

プリパラ第3期:神々の戦い

 

見てきたように、『プリパラ』はプリティーリズムの大枠を受け継ぎ、弱い人を愛し、我々に成功を信じさせるアニメである。決して、ただの女児向けアニメではないのだ。


ところで、去る2016年10月11日に放送された第117話「女神、アイドル始めちゃいました」が話題になっている。現在放送している第3期は、『プリティーリズム・レインボーライブ』(プリティーリズムのアニメシリーズ第3期)をベースにしたシーズンである。今回は、「プリパラの女神」が登場してライブを行うという回で、『レインボーライブ』を観ていたファンを熱狂させた。『レインボーライブ』も神々の対立を描いていたので、プリパラがどのようなテイストでそれを描くのかに期待がかかっている。

*1:プリパラに来られない女の子の夢から生まれたNPCで、その本体はプリチケ。つまり、プリチケは命そのものである。そのため、友達とプリチケの半券「トモチケ」を交換することができない。NPCなのでプリパラの外に出ることはできず、閉園後はプリパラのマスコットたちと寂しく過ごしている。

*2:アイドルのマネージャーをやっているプリパラのマスコットキャラクターのこと。

*3:他にも、以下のような子がいる。

  • ファルル:外へ出ることができず、他のお友達と同じように遊べない女の子。
  • ガァルル(読みはガルル):他のお友達のようにうまく歌ったり、踊ったりすることができない女の子。(他はファルルと同様だが、ファルルは正の感情の集合体なので、歌やダンスが上手い。ガァルルは負の感情の集合体であるため、歌やダンスが上手にできない。)
  • 紫京院ひびき:友達に裏切られた悲しい経験があり、友情を信じられない女の子

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