ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。(2017/7/13 Update: 2つあった関連記事欄を1つに収束。)

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『アイカツスターズ!』第29話で桜庭ローラが負けたことの意味

第29話で何が起きていたのか

運命の第30話を前に、第29話「本当のライバル」を振り返ろう。この回では、桜庭ローラが虹野ゆめと再び対決し、再び敗れた。しかし、敗北の理不尽さに目が行き、何が起こっているのか理解できなかった人もいるのではないだろうか? 特に、響アンナが物語の最後で語っていた内容は、なかなかローラの敗北に結びつかないと思う。だが、実はこの回では、アイカツにおける対決について語っていたのだ。七倉小春が退学する事実も重要だが、この記事では、わかりづらかったローラの敗因や負けたことの意味について考えていきたい。

 

 

 

楽しくアイカツできたか

あたかも、サボったゆめが努力したローラに勝っているように見えるが、本質はそうではない。強いて言うなら、楽しくアイカツできなかったから負けたのだ。

 

そもそも、ローラが今回やってきたのは、主に体力づくりである。ローラはゆめに負けたくないと言う気持ちから、レッスン外でも自主的に走り込みやスタジオでのレッスンをしていた。ゆめの「負けたくない」と言うのは、「楽しいアイカツにおいて、友達であるローラに勝ちたい」ということなのだが、ローラは「アイカツという競技において、ライバルに打ち勝つ」ことばかりを考えていた。


勝ったゆめはローラほど根を詰めておらず、前日は、あこ(同じく合格)と小春と一緒に楽しくシュークリームを食べていた。ローラの厳しいトレーニングは、勝利に貢献しなかったのだ*1。つまり、アイカツを楽しんでいるかどうかがゆめとローラの勝敗を分けた要因のひとつだと言える。

 

輝きを放てたか

勝敗を分けたもうひとつの要因は、輝きにあった。もちろん、ゆめには「あの力」があり、感情が高ぶれば容易にローラを超える輝きを放てる。しかし、そもそもローラは輝きを放てていなかった。ゆめとの勝敗に執着し、観客に対するパフォーマンスや自分自身を表現することを怠っていたのだろう。ステージ中盤でゆめが「あの力」を発動すると、画面上ではローラのオーラは失われた*2

 

このことからも、ローラがゆめとの対決に気を取られていたことが容易にわかる。ローラはスペシャルアピールも出せておらず、完全に精彩を欠いていた。もちろん、ダンスの大胆な動きを見れば、ローラの方がダンスがうまかったことは一目瞭然である。

 

相手を尊重できたか

今回は1VS1の対決ライブだったが、だからと言って相手と敵対する必要はない。アイカツにおける対決ライブには主に2種類あって、2人(あるいは2組、もしくはそれ以上)が別々の曲を披露して最終的な評価を競うものと、同じステージに立って評価を競うものである。今回は後者に近い内容だった。重要なのは、ライブの目的は相手を蹴落とすことではないということだ。


アイカツの対決ライブの基本は、相手に敬意を払うことであり、互いを高め合うことである。いかにして相手よりも強く観客を惹きつけるかを競うのだが、「あなたは私より弱いのでダメだ」とか「私は◯◯より弱いのでダメだ」という考えにはなかなか至っていなかった*3。むしろ前作では、ライバルだったはずの星宮いちごと音城セイラが最終的にユニットを組んでいる。


今回の表題の「本当のライバル」とは、対決しながらも互いを認め合う仲、つまり、「ライバルであり友達」という不思議な関係性のことを言うのだろう。いずれにしても、敵対心は輝きを失わせる。互いに高め合わなければよいライブにはならないのである。

 

運が悪かったから負けたわけではない

ただし、今回の敗因は運ではない。オーディションに合格するということに関しては、前作と考え方が異なる。前作では、主題歌の歌詞にもある通り、合格には運が関わっていた。しかし今作では、誰でも平等に輝けるという考え方は存在しない。みんな能力に差がある。そして、その能力に応じて、自分のやりたいことを自分に適した方法でやる必要がある。このように、負けた理由は、運ではないのだ。

 

アンナの言いたいこと

ここまでくれば、響アンナの言いたいことの輪郭は見えてきただろう。ローラが見つめるべきなのは、自分とアイカツだけだということである。人には個性があるのだから、それを生かしたアイカツをしなければいけない。これは、前回までで白銀リリィが示してくれた通りだ。


個性を自分らしさと言い換えれば、ゆめのことが好きなのも自分らしさだし、トレーニングをするのも自分らしさだろう。でも、仕事の縁もまた、自分らしさに直結する。東大生の誰もがすべての一流企業に合格できるわけではないように、優れていれば何にでも合格できるというわけではないのである*4


つまり、自分らしい仕事(アイカツ)をすることでこそ、自分を輝かせることができるのだ*5。このオーディションに合格できなかったからゆめよりも劣っているのだとは考えずに、ゆめとは違うセールスポイントで、あるいは別の仕事で頑張ればよいということだ。他人を基準にしていては、いつまで経っても輝けないのである。

 

今回のテーマ

今回のテーマは、対決において勝敗を分けるものだった。アイカツスターズにおいては、厳しいだけのトレーニングはアイドルを成功に導かない。単純に体力・筋力の差が反映される「競技」ではないので、いくら輝けるかが重要になる。対決ライブにおいても、その目的は相手を打ち倒すことではなく、互いに輝き、高め合うことである。


響アンナが桜庭ローラに伝えたかったのは、アイドルには一人ひとり自分らしさがあり、勝負によって決まる優劣はないということだ。ひとつのオーディションに落ちたとしても、輝くための手段は他にもある。負けた自分を責め、鞭を打つのではなく、自分らしいアイカツを探すことが重要なのである。


次回はついに、小春との別れの時がやってくる。佐藤照雄監督が演出をされるという事前情報もある*6ので、大変重要な会になることは間違いないだろう。

 

*1:アイカツに限らず、アイドルアニメには「根を詰めすぎると輝けない」という法則がある。弱い自分を責め、鞭を打つことは、勝利につながらないということだ。

*2:オーラが見えるのは画面上の演出であり、登場人物には見えていない

*3:例外として、『アイカツ!』2年目の霧矢あおいは、音城セイラとの対決ライブで、星座アピールを出せる自信がなかった。

*4:例えば、どんなにダンスが得意だとしても、EXILEが幼児向け番組でダンスすることはないだろう。ワイルドな男性という個性は子ども番組に適さないはずだ。

*5:もちろん、こういった審査には、審査員の資質など外部的要因もあるだろう。今回は明らかに審査員の質が高いので、不当な審査はされていないと思いたい。

*6:アイカツスターズ! 七色のキャンディ

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