ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『アイカツスターズ!』第31話 アイカツスターズ版ぽわぽわプリリン・SKY-GIRL

パジャマパーティも立派なアイカツ!?

『アイカツスターズ!』初めてのユニット編では、これまでと違うユニット観が描かれた。これまでのユニットといえば、同学年3人組か、先輩1・強い後輩2のユニットが主流だった。唯一今回のユニットと型が一致するユニットといえば、ぽわぽわプリリンぐらいだ。とはいえ、ぽわプリも結局は、突っ走る有栖川おとめに北大路さくらと神谷しおんがついていくだけのユニットであって、他のユニットと変わっていない。だが、アイカツのユニットのあり方としては新しく、ただし、内容としてはものすごくぽわプリに近いのが、このSKY-GIRLだ。

 

 

 

第31話「はばたけ、SKY-GIRL!」の概要

香澄真昼は、全校集会のための身だしなみ検査があるにもかかわらず、寝坊してしまった。全校集会では秋フェスの告知があり、学年・組の枠を超えた3人ユニットを組むことになる。学園長曰く、ユニット活動にはひとりでのアイカツとはまた違う素晴らしさがあるらしい。


集会の後、真昼はツバサに呼び出され、お仕置きとしてユニットを組むことを迫られる。ツバサは真昼と夜空の夏フェスステージ(第15話)に魅せられ、香澄姉妹とユニットを組もうとしたのだ。ツバサは絆の力、ユニットの可能性を試したいらしいウチャ。


早速会議を始めた3人。最初は夜空のテンションが他の2人に合っていなかったが、ユニットのコンセプトを詰めていくうちに、意気投合し始めた。ユニットのコンセプトは、真昼の意見を採用し、大人カワイイになった。同じくユニット名も「3人で空に羽ばたいて輝く」という意味を込めてSKY-GIRL(スカイガール)に。ドレスも真昼が作ることになったが、先輩たちはいい経験になると言っていた。


レッスン初日、夜空とツバサが用意したのは、LUN-LUN BODY MAKER(ルンルン・ボディメーカー)だった。とりもなおさず、大リーグボール養成ギプスのことであり、『アイカツ!』第31話で登場したものとほぼ同じである。デーブ佐東がS4の合宿で使用したものであり、「熱い心で弾き飛ばす」気持ちで特訓に取り組まなければならないようだ。真昼たちは1週間これをつけたまま生活し、そのほかにも3人でワイヤーアクションによるスペシャルアピール特訓や書道などに挑戦した。これってアイカツか?


全ての特訓は終わったが、真昼はまだドレスを完成させていなかった。真昼はそれぞれの個性に合わせてドレスメイクをしていった。全てのドレスを作り終えた後、夜空から「合宿」をすると言われ、部屋に呼び出された。ツバサは既にパジャマに着替えており、夜空も真昼のためにパジャマを用意していた。夜空は紅茶とお菓子を用意していて、3人で食べた。3人でETのような何かの映画を見て感動し、3人でアロマを焚いた。


「ってこれただのパジャマパーティじゃない!」


真昼はツッコんだ。だが、これも立派な合宿である。ユニットに大切なのは、心をひとつにすること。ユニットとして3人をどう表現するかが大切なのだ。だから、3人で同じことをすることも立派なアイカツである。大切なことに気づいた真昼は、ベッドをこっそり抜け出し、ドレスを作り直した。


翌朝、フィッティングルームに真昼の姿はなかった。失格になりそうになった直前、真昼はようやくやってきた。真昼は3人の心をひとつにし、個性を輝かせるドレスを作ったのだ。このドレスを着て、3人は息のあったステージを披露した。真昼は3年生の2人には遠く及ばないはずなのに、2人とユニットを組んだことで輝きを増していたのだ。

 

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このように、SKY-GIRLは同じぐらいの実力の3人が集まるのではなく、同じことをすることで心をひとつにするというテーマを持って活動していた。つまり、『アイカツ!』のユニット観とは少し異なるということだ。

 

同じことをする仲間

同じことをして心をひとつに、というのは、当たり前すぎてフィーチャーされてこなかったことだ。ぽわぽわプリリンがお菓子の食べ比べをすること、2014年版アイカツ8が食べたり、食べたり……したことは、ユニットの機能というよりも、むしろ、遊びとして捉えられてきた。そのため、同じことをすればユニットとしての絆が深まるということは、黙殺されてきた節がある。それを敢えて主題に据えたのが、今回のSKY-GIRLだ。


お菓子を食べることも、映画を観ることも、レッスンやトレーニングには繋がらない。だが、あのシーンで3人は心をひとつにしていた。そもそも、前作では仲良し3人組がユニットになるケースが多く、日常的に3人で一緒に色々なことをしていた。だが、その日常的な行動をアイカツにしていたのがぽわぽわプリリンだった。レッスンだけがアイカツになるかといえば、それは間違いだ。レッスンは、ダンスなど、肉体的な部分でしか「心をひとつに」できない。だから、同じことをして心を調和させることも大切なのだ*1

 

実力違いのユニット

実力違いの1人が入っているユニットというのも面白いところである。前作であれだけ神崎美月についていけるアイドルを探していたのに、今作では、1年生がS4の2人に引けを取らない輝きを見せている。どんなに実力で及ばなくても、3人で特訓を頑張ってきたから、3人でお菓子を食べたから3人で輝くことができたのだろう。これが今回のユニットの魔法だ。そう考えると紫吹蘭も、かえで・美月とたこ焼きを食べていれば、トライスターを続けられたのかもしれない。何れにしても、実力違いの3人がユニットになっても、輝きが1つなら成功するというのが今回の教訓である。

 

ユニット用のドレスメイク

前作ではユニットドレスがいつのまにか出来上がっていたので、ユニットドレスの意味というものにフォーカスした回はなかった。なんとなく、ところどころデザインが違うとか、色が違うとかの違いがあることは理解していた人は多いだろう。だが、この回を通じて、それが可視化された。この回で示されたのは、ユニットドレスは単に個性を輝かせるものではなく、ユニット内で個性を輝かせるものであるということだ。3人が別々のドレスを着ても、3人のアイドルが踊っているだけである。だが、ひとつのコンセプトの元に別々のドレスを作れば、それはユニットドレスになる。こういうことにフォーカスできるのは、ドレスを作る側の視点に立てるアイカツスターズならではである*2

 

これってアイカツか?

このように、SKY-GIRLは『アイカツスターズ!』のぽわプリであり、他のユニットとは違う個性を持っていた。お菓子を食べたり、映画を観たりするのも、ふざけているわけではなく、心をひとつにするためのアイカツだ。どんなに良いユニットになりたくても、真面目にトレーニングだけしていれば良いというわけではない。真昼がしおんのようになるのも時間の問題だろう。


それから、実力が異なる真昼が2人に引けを取らない輝きを見せられたのは、3人で特訓を頑張ってきたこととパジャマパーティをやったことで発生したユニットの魔法のおかげである。心がひとつになっていれば、実力を合わせる必要はないのである。


ユニット用のドレスは、それぞれの個性にあうものというよりも、ユニットでコンセプトを合わせたものにするのがよいようだ。個性をぶつけ合うという考え方もあるが、全く違うドレスにすれば、それはユニットではなくなってしまう。このように、ひとつのことをして、ひとつの服を着て、心をひとつにすることができたというのがSKY-GIRLが輝けた理由である。最後に、先人のありがたいお言葉を引用したい。

 

「うんうん。それもまたアイカツだね!」

 

『アイカツ!』第63話「紅白アイカツ合戦!」より

 

*1:学校のクラスやサークル・ゼミ、あるいは会社をイメージすればわかるだろう。

*2:前作にもムレータ淳朗というゲストキャラはいたが。

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