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ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

ホビーアニメ、海外産アニメ、女児向けアニメなどを観て、変になってしまいました。プリティーリズムシリーズや現在放送中のホビーアニメを中心に、このキャラがかわいいとか、そのアニメが社会に伝えたい価値は何なのかまで、様々な情報を発信していきます。

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『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』 患者の意志と医師の意志

特撮 特撮-仮面ライダー

意志のぶつかり合いが生むドラマ

平成ライダーの恒例企画となった『MOVIE大戦』。今年は趣向を変えて、近年の五大ライダーが出演する特別企画となった。仮面ライダーエグゼイド/宝生永夢が後輩でありながらも年長者であることから、意志を受け継ぐというよりも、登場人物が自ら悟るという内容になっている。


さて、巨悪を前にした協力という要素が薄い『仮面ライダーエグゼイド』テレビシリーズでは、ライダー同士のぶつかり合いが頻繁に起こっている。こうした作品では、劇場版での共闘展開が光る。Dr.パックマンという巨悪を前に、「仲間」同士だからこそのぶつかり合いをするライダーたち……戦闘不能となってもアカリを守りたいゴースト(仮面ライダーゴースト/天空寺タケル)、医師のプライドにかけて患者の命を救いたいエグゼイド、そして、ゲーム製作に快楽を覚える患者・清宮東吾。彼らの化学反応は、90分という短い時間を無限大に広げる。


ここでは映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』の内容に深く踏み込んだレビューをするので、まだ映画を観ておらず、ネタバレを避けたいという方はブラウザの戻るボタンなどからお帰り願いたい。

 

 

 

 

あらすじ

武装したテロリストによって幻夢コーポレーションから、「プロトガシャット」一式が奪われる事件が発生する。それによって人気ゲームキャラクター「パックマン」の姿をしたバグスター*1が大量発生し、10万人規模の集団感染が発生してしまう。


それに立ち向かうため変身しようとするタケルだったが、ウイルスに感染した上、突如変身ベルト「ゴーストドライバー」が消滅。変身不能になる。それと同時に天才ゲームクリエイターの高校生・東吾もウイルスに感染した。そして、東吾の身体から新種のバグスターが分離し、タケルとアカリを襲う。仲間のライダーたちの助太刀も虚しく、東吾はDr.パックマンの「バグヴァイザー」に吸収されてしまう。タケルは「オレ」の心を取り戻し、アカリを救うことができるのか? 永夢は医師の意志を貫き、患者を救うことができるのか? ライダーたちの意志と想いがここにぶつかり合う。

 

ストーリーの見どころ

今作の一大テーマは意志だと考えている。患者・ライダー・悪の組織、それぞれが強い意志を持っていた。

 

患者の意志

劇中では、患者の意志を最大限尊重すべきだというメッセージが発信されていた。患者・東吾はゲームクリエイターとして青春を謳歌しつつも、自分の生について悲観的な価値観を持っている。だからこそ、東吾は感染症に罹ったことがわかっても、永夢の忠告を無視して退院してゲーム製作を続けようとした。だが、バグヴァイザーに取り込まれてからは、死の恐怖・自分が怪物に変えられる恐怖を実感し、永夢に助けを求めるようになった。


このように、患者の意志は時に理不尽であるが、医師はその意志に最大限従う必要がある。それ以降のシーンでは、医師たちは極力患者の意志を大切にしていて、仲間たちに支えられながらアカリがタケルの元へ向かうというシーンもあった。今作は、患者の意志の尊重というテーマにかなり忠実に作られていたのではないだろうか?

 

ライダーの意志

ライダーたちもまた、人を救いたいという強い意志を持っていた。研修医・宝生永夢は、小児科医の卵としてできるだけ患者の声に耳を傾けるようにしている。しかし、未熟さゆえ、時に選択を誤り、適切でない対処をしてしまうこともある。今回は、病気にかかってもなおゲームを作りたい東吾の意志を否定してしまった。しかし、東吾の命を救えなかったことを後悔してからは、ゲームを作るときの東吾の楽しそうな笑顔を取り戻すため、奮闘する。


患者を救いたい永夢の想いは、ラストシーンで必死に処置に取り組む姿からもありありと伝わってくる。また、財前美智彦率いるネクストゲノム研究所の倫理を逸脱した研究に対しては、医療への冒涜だと怒りをあらわにした。研修医という立場にありながらも、医師として強い意志を持っているのが、宝生永夢だ。もちろん、ゲームを愛する者としての意志も忘れておらず、M先生の解説コーナーもある。天才ゲーマーMはゲームを悪用する者にどのような裁きを下すのだろうか?


一方で、天空寺タケルにも、変身不能かつ患者でありながらアカリのために戦おうとする強い意志が感じられた。その強すぎる想いが災いして変身できなくなるわけだが、それでも、生身でありながら命懸けで戦う姿は高校生・天空寺タケルの強さを感じさせた。泊に頼る弟分的な側面もあるが、友や英雄たちから多くを学んだ彼には怖いものはないのかもしれない。書きすぎるとよくないのでここでは省くが、その他のライダーたちも医師やライダーとして強い意志を見せていた。テレビ版では見られないようなあのライダーの活躍も見られるかもしれない。

 

悪の意志

悪の組織も、平成ライダー2期の他の敵に劣らぬ黒い意志を持っていた。全人類の究極生命体化計画は研修医・宝生永夢の逆鱗に触れて阻止されるわけだが、究極生命体を誕生させる「手術」、死の「オペ」と言った言葉の片鱗からその異常さをまざまざと見せつけられた。死してもなお悪の遺伝子工学に取り組む執念は、まさにゴースト&エグゼイドの敵としてふさわしいと感じさせる。尤も、生前の研究の方が色々と危なそうなわけだが……。いずれにせよ、この映画は意志が大きなキーワードになっていると言って問題ないだろう。

 

映像の見どころ

ハテナバグスターのパズル攻撃

最近のライダーのCGはハリウッドレベルには程遠いものの、クオリティが高い。今回登場したパズルゲームの怪人・ハテナバグスターの攻撃はパズルのピースを落とし、連鎖させることで爆発を起こすという強力なものだった。それをCGで表現したシーンは特に見応えがあり、強力な攻撃を受けてアカリが倒れるのだという説得力もあった。一時期は決戦がフルCGになってしまって、特撮としてどうなのかと思わせることもあったが、今作の最終決戦はきちんと生身のスーツでやっているので、心配しないでもらいたい。

 

白衣の汚れ

基本的にエグゼイド側の登場人物の衣装は白衣なので、敵にやられたことを表現するための汚しが目立つ。白衣は他の衣装に比べて汚しやすいし、汚れ(特に血)によって「やられた感」や敵の強さを表現することができる。そのため、傷を負ってもなお戦おうとする宝生永夢の必死さがひしひしと伝わってきた。

 

フォームチェンジの連続

坂本浩一監督の映画といえば、ライダーのフォームチェンジである。今回登場するライダーはどれもフォーム数が多く、筆者も基本フォームぐらいが限界だろうと思っていた。しかし、一部の派生フォームとゴーストの英雄魂を除くほぼ全フォームが登場している*2。中には意外なあのフォームも登場していて、コアなファンは歓喜するかもしれない(筆者はした)。連続フォームチェンジ演出は、攻撃の反動や吹き飛ばされた反動などを活かすので、勢いがつきやすい。おまけにライダーの紹介になるので、観ている側も販促している側も心地よい。ただし、今回は数が多すぎるため、少し冗長だったという感も否めない。何はともあれ、フォームチェンジは坂本浩一特撮の最大の見せ場であると言っていいかもしれない。


フォームチェンジアクションとは少し違うが、フォームチェンジに勢いをつける都合上、敵にやられて変身解除するたびに次の変身アイテムを持っているタケルにも注目してほしい*3。いつも言っていることだが、綺麗な映像を作るためには時に嘘をつく必要がある。このフォームチェンジも必要な嘘なので、そこは見逃してほしい。

 

敵幹部のアクション

坂本浩一監督の作品といえば、生身アクションも魅力的だ。あくまでゲストであるはずの白石隼也竹内涼真がしっかりアクションしているのは、ファンとして嬉しいことだろう。それから、敵幹部は強さを見せるため、大胆なアクションをとる。女幹部・武田上葉はしなやかな足技を駆使しながら、男2人がかりのライダーを翻弄していた。


もちろん、脚を強調しすぎるのはセクシャルハラスメントにあたるので賛同できないが、アクション自体は坂本浩一監督の作品だけあって、かなり見応えがあった。中には敢えて室内で障害物を交えて香港っぽいアクションをしているシーンもあった。日本の特撮映画業界で「香港映画」を作れるのは、彼しかいないのかもしれない。

 

日本独自のクオリティを

さて、本日、ハリウッド版スーパー戦隊映画『パワーレンジャー』の公開日が発表された。来年夏の公開ということもあり、日本のスーパー戦隊仮面ライダーの劇場版と比較されやすいのかもしれない。だが、大事なことは日本発の、日本らしい特撮映画を作ることである。観ているこちらも、「予算が違う」「CGがしょぼい」などと野暮なことを言うのではなく、日本の力で作った日本発のヒーロー映画に誇りを持つべきではないだろうか? そもそも劇場版よりも前に、来年1月のスーパー戦隊VSシリーズ、来年の春映画、それから『スペーススクワッド』もある。まだまだ東映特撮映画*4から今後も目が離せない。

 

www.power-rangers.jp

 

zyuoh-vs-ninnin.jp

 

www.space-squad.net

 

なお、この記事を書くにあたり、固有名詞等はこちらの公式サイト(2016/12/14現在)を参照した。公式サイトは期間限定であり、然るべきタイミングで次の映画のものに移行するであろう。その点についてはご了承願いたい。

www.movie-taisen.com

*1:バグスターウイルスに感染すると、ストレスによって「ゲーム病」を発症する。重症化した患者は消滅し、ゲームの世界に取り込まれる。『エグゼイド』の仮面ライダーは患者から怪人・バグスターを分離し、倒すことでウイルスを根絶する。感染は患者がゲームをプレイしているかどうかに関係ない。

*2:ドライブのタイヤコウカンは一部のみ。

*3:仮面ライダーゴーストの最強フォーム・グレイトフル魂はアイコンドライバーという別のベルトで変身するため、変身解除する必要がある。しかし、最終フォームのムゲン魂は元のベルトに戻るため、一旦変身解除してもう一度変身し直さなければならない。それをスムーズにやるためには、変身解除するたびに次のアイテムを持っている必要があるのだ。

*4:そもそも、パワーレンジャー東映が関わる映画なので、東映特撮映画と言える。