ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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動物を擬人化する日本 うさぎショートケーキから荒海の王者まで

アニマル美少女の時代到来?

2月になり、プリキュアシリーズの最新作『キラキラ☆プリキュアアラモード』の放送が開始した。この作品は、人間の中高生の少女たちが菓子と動物の力を身にまとい、人々の笑顔を守るために戦うというアニメである。一方、それに少し遅れる形で、1月からすでに放送開始している深夜アニメ『けものフレンズ』が注目を浴びるようになった。こちらは、動物が「フレンズ」と呼ばれる人間の少女のような姿に進化したという設定のようだ。どちらにも共通するのは、登場人物が動物を擬人化したような姿を持っていることである。


少し遡れば、つい先日まで実写ドラマ『動物戦隊ジュウオウジャー』が放送されており、そこでも女性戦士「ジュウオウシャーク」「ジュウオウタイガー」の人間体が背びれや尻尾をつけていた。設定上は、二足歩行の動物人間「ジューマン」が不思議な力によって人間の姿になったというもので、けものフレンズに類似している。それだけでなく、ジューマン(フレンズ)と人間という異なる種族が同じ「群れ」の中で生活するという内容でも一致している。このジュウオウジャーにつながる形で*1、動物が擬人化する作品のブームが巻き起こっているようだ。

 

 

 

擬人化された動物

今トレンドになっている動物の擬人化は、人間の姿をした動物という共通点を持っている。確認だが、ここでいう擬人化とは人間の身体に動物型の耳や尻尾をつけて、動物的な特徴を身につけさせることだ。例えば、『キラキラ☆プリキュアアラモード』(以下、プリアラ)の「キュアホイップ」(ウサギがモチーフ)は、耳がよく、ジャンプ力が高いという特徴を持っている。『ジュウオウジャー』の「ジュウオウイーグル」*2は目が鋭く、『けものフレンズ』のビーバーは巣作りをする。いずれもモチーフとなった動物が実際に持っている特徴を参考にしており、ためになる。

 

「人間だって動物だ」

もちろん、こうした表現の効果や目的はそれだけではない。擬人化は、人間という動物の尊厳を伝えることができるのだ。例えば、『ジュウオウジャー』や『けものフレンズ』では、擬人化された動物たちの中に、敢えて人間を入れている。これによって、人間が動物の一種として扱われるようになる。


人間は、自然界や十分に道具のない世界では、弱く醜い存在である。だが、頭を使うことで困難を打開することができる賢い動物でもある。これが『けものフレンズ』なりの表現である。

 

一方のジュウオウジャーは、生き物同士の繋がりを強く信じている。そのため、ジュウオウジャーが相手の動物のことを理解し、交流していく様が描かれていた。好戦的で衝動的に行動するジューマンと比較して、人間の主人公は冷静に理性的に対処することが多かった印象がある。このように、人間はあくまで他の動物と同じ立ち位置で、同じ社会の一員であるというのが現在の動物擬人化路線の鉄則のようだ。

 

人間社会と動物社会

擬人化された動物たちは人間と同じように話し、社会生活を営む。その中で、自然と悩みも生まれてくる。では、人間は彼らと全く同じだろうか? いや、同じではない。彼らは同じコミュニティの中にいる存在を信条や姿形によって差別したり、攻撃したりしないからだ。もちろん、考えの違いなどで喧嘩することはあるかもしれない。だが、互いの違いは星の数ほどあり、いちいち気にしていては社会生活が成り立たない。ネコ科の肉食獣とサイ、サメとゾウが共存できるのが擬人化された動物社会なのだ。

 

人間社会と動物社会の温度差

ここで、『ジュウオウジャー』と『けものフレンズ』の設定上の大きな違いを押さえておこう。ジュウオウジャーでは、擬人化された動物が人間界で暮らす。けものフレンズでは、人間が擬人化された動物の世界で暮らす。設定上は正反対だが、対比されている内容は同じはずだ。すなわち、動物社会の温かさと人間社会の冷たさである。


ジュウオウジャーでは、紛失した動物世界に帰るためのアイテムを探すため、人間界でビラ配りをする。当然、良い結果は出なかった。また、敵が結婚詐欺師を利用してジュウオウシャークを騙すという回もあり、人間社会は優しくないということを描き続けていた。それに対し、けものフレンズでは、得意不得意が個性として処理され、悪徳が存在しない優しい世界を描いている。人間の主人公は最初、ネコ科の肉食獣・サーバルに出くわした時、食べられるのではないかと恐れていた。だが、サーバルはただ遊びたいだけだった。サーバルは人間の主人公が失敗しても、笑って慰める。もしかしたら、いくつかの動物は群れの中でも闘争があるかもしれない。だが、今のところ(5話まで)は誰にでも優しくしているフレンズが多いようだ。

 

なぜ動物か

そもそも、動物をモチーフにすることに何の意味があるのだろうか? 動物は時に気高く、時に自由気ままで、カワイイもカッコイイも両方行けそうなイメージがある。それ以上に、モチーフが身近で親しみやすいという、キャラクターものとしての最大の強みがある。キャラ(クター性)もつけやすく、非常に作りやすそうだ。動物は理にかなったモチーフなのである。

 

親しみを持てる

動物は親しみを持ちやすいモチーフだ。神話や鉄道と違い、よく知らないとか敷居が高いといった問題が感じられづらい。今回の『プリアラ』の場合、ウサギが耳が長くて、よく跳ねる動物であるということを知らない人や、「ウサギ界隈のマニアは怖いので近寄りがたい」という人はあまりいないだろう。たしかに動物があまり好きではないという人もいるかもしれないが、擬人化・アニメ化された動物を見て「怖い」と思うことはないはずだ。このように、動物をモチーフにしたキャラクターは親しみやすいのだ。

 

興味を持てる

逆に、『けものフレンズ』を観ていて、「あーサーバルねー知ってるー」と思った人は少ないと思う。実際、私も知らなかった。でも、番組の中でサーバルの特徴を説明してくれたので、サーバルがこういう動物なのだということが手に取るようにわかった。それこそ、鉄道ヲタクから「この電車はね」という説明をされてもあまり興味が持てない人はいるだろう。でも、動物であれば、知識を得ることに対して拒否感は生じづらい。動物は、アニメを通じて知識を得たい、という好奇心をくすぐられるモチーフでもあるというわけだ。

 

シンプル

動物はシンプルなモチーフだ。それこそ伝説や過去の文学作品などで様々に味付けされてきた前例があるかもしれないが、生態やみんなが持っているイメージを利用することで単純にキャラ付けすることもできる。「水生生物なんだから当然水の中が好きに決まっている」だとか「絶滅危惧種だから仲間を探しているに違いない」というような幅広くシンプルな特徴づけが可能なのだ。

 

合理的なテーマ

こうして見てみると、動物(の擬人化)は扱いやすく深掘りもできる合理的なテーマであるということがわかってきた。キャラが作りやすく、受け入れられやすい。しかも、人間という動物を再考することができる。なるほど金になるテーマだと考えるのにも頷ける。けものフレンズの場合、すでにスマートフォン向けゲームがサービス終了しているようだが、そこはモチーフ以外に問題があると見ていいだろう。


今後も動物の擬人化というモチーフの作品は出てくるだろう。ポピュラーで扱いやすいテーマなだけに、どれだけ深く強いメッセージを発し、ユーザーに訴えかけるかが勝負の分かれ目になりそうだ。

 

 

*1:キラキラ☆プリキュアアラモードのグッズ展開を担当するのは、ジュウオウジャーと同じバンダイである。制作会社も東映系列となっている。

*2:ジュウオウイーグル自体は擬人化された動物ではなく人間が変身するだが、ワシの特徴は獲得している。

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