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ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

ホビーアニメ、海外産アニメ、女児向けアニメなどを観て、変になってしまいました。プリティーリズムシリーズや現在放送中のホビーアニメを中心に、このキャラがかわいいとか、そのアニメが社会に伝えたい価値は何なのかまで、様々な情報を発信していきます。

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バトルスピリッツ 実写配信番組が画期的なワケ

カードゲーム番組の新機軸

現在、実写ネット番組「バトルスピリッツ エクストリームゲーム」が毎週水曜日20:00〜 FRESH!にて放送されている。視聴者の代表同士が3人のチームになって対戦し、勝ったチームが番組の用意した刺客(アニメ版に出演した声優や強豪プレイヤーなど)に挑戦する。3人の刺客に見事勝利すれば、賞金が手に入るという番組だ。テレビアニメの放送は終了してしまったが、これがバトスピの新境地になりそうだ。

 

 

 

バトルスピリッツ エクストリームゲーム」とは

視聴者の代表がバトルスピリッツのカードゲームで対戦する番組。アニメ『バトルスピリッツ』に長年携わってきた声優が司会進行や解説を努め、男性お笑い芸人とバトスピに初めて触れる女性アイドルがアシスタントで参加している。アニメと違い、様々な効果を持つカードを大量に展開していく本格派バトルゲームはバトスピの新境地と言えるだろう。

 

アニメ『バトルスピリッツ

テレビアニメでは6つの属性のカードを司る少年たちが世界平和のために戦う。基本的には1人につき1つの属性を使うようになっているが、同じ属性の中でも複数のシステム(=どのような効果で敵を圧倒するか)があることから、主な登場人物は(敵味方合わせて)12人以上に及ぶこともある。少年たちはときに平和のために、ときに価値観の違いから衝突しあう。登場人物が使うカードはアニメ用にデザインされたものに限られており、全てがCGで表現される。6つの属性があることから、6の倍数の数の伝説のカードが設定され、それが登場人物に割り振られる場合もある。

 

これまでの課題

アニメ時代には、表現方法が限られることによる様々な問題があった。

 

カードゲームの実態に合わない

カードアニメ特有のカタルシスは現実のカードゲームにはマッチしない。そもそもカードアニメでは、ライフがギリギリの状態から起死回生の逆転を果たすという展開が多い。この方が視聴者の心に響くからだ。だが、こんなにうまくいくことは現実ではあまりない。エクストリームゲームでも、ライフを一気に4点削られて、そのまま逆転できずに負けたというケースがあった。現実では、強いカードを一気に展開して、一気に畳み掛けるという戦法も人気だ。


あるいは、登場人物のピンチに「自分ならすぐ対処できるのに」と呆れているという視聴者も多いのかもしれない。バトスピには「絶甲氷盾(ぜっこうひょうじゅん)」という強力カードがあり、これにはバトルを強制終了できる効果がある。このカードは販促に関わらず、アニメに度々登場する。しかし、それ以外の過去の強力カードはなかなか登場しない。ストレート勝ちしてもカタルシスがないというのが制作陣の本音なのだろうが、登場人物がネズミ捕りにかかったネズミのようになっているのは見ていられないという視聴者も多いはずだ。


逆に、バトルのクライマックスにはそれこそ絶甲氷盾のような便利なカードが湯水のように出てくる。勝利による爽快感を演出するアニメではどうしても、ご都合主義が多めになってしまう。別のカードアニメではその場に都合のよいカードをアニメオリジナルで出しているケースもあり、制限の中で視聴者のプレイヤーにとって面白いバトルを作ることの難しさが感じられる。(ゲームのルール自体が実態と異なる場合もあり、販促とは何なのか考えさせられる。)

 

トーリーが動かしづらい

登場人物が12人以上に及ぶと、ストーリーを動かす上で厄介だ。最新作『バトルスピリッツダブルドライブ』では、十二支をモチーフにした12枚のカードを登場させる必要があり、そのカードと関係ない敵キャラもいた。そのため、主役・脇役は合計12人以上、名ありのモブも含めればそれよりはるかに多い数の登場人物がいる。


ただ人数が多いだけなら、プロデューサーや脚本家の采配でどうにでもなる。だが、このアニメではカードの販促を行わなければならない。然るべきタイミングで然るべきカードを出さなければならないので、変なタイミングでキャラクターがバトルする。話の流れを無視して、因縁のないキャラクター同士が唐突にバトルすることもある。このキャラクターとそのキャラクターには因縁があるから、当然この組み合わせだろうと思われる局面でも、平気で第三者が代わる。


実際に、奪われたカードを取り戻すため、本人ではなく仲間が代わりにバトルするという展開もあった。キャラクターを成長させる目的なら、「おい、返せ!」と自分で奪い返す方がストーリーとして理にかなっている。だが、販促がある以上は仲間の強いカードに勝ってもらうしかない。ダブルドライブの場合は、敵の首領が奪ったはずのカードが敵の手下の雑魚キャラの手に渡っていることもあった。敵の首領にポンポン勝たれても困るというのはわかるが、奪われたカードを取り返すという大事な局面で主人公VS雑魚というのは如何なものかと思う。

 

一部の販促用カードしか使えない

バトルスピリッツでは、CGの都合上、限られたカードしか出せないという問題は上でも言及した。それだけならよいのだが、事態はもっと深刻だ。決まったカードしか出せないので、流れが固定化されてしまう。決まった低級スピリット(モンスターのこと)を召喚し、それを1枚の上級スピリットの召喚に繋げる。他のカードアニメでは新しい低級モンスターを平気で出してくるのだが、バトスピの場合はそれができないので、ワンパターンだ。


さらに、様々なカードがあるのに、それを紹介しきれないという問題もある。バトスピには様々な効果があるが、限られたものしか出せないのが現状だ。例えば、「アクセル*1」という効果を持つカードが全属性にあるのだが、アニメではほとんど黄色デッキを使う人物しか使っておらず、あたかも黄色属性特有の効果であるかのように描写されていた。アクセルに関係する効果を持つ黄色のカードを販促するためなので仕方ないが、エクストリームゲームでは他の属性のアクセルも大活躍している。強力なカードがあるのにもったいない。カード会社から見れば、売りたいカードがあるのに売れなくてもどかしいのではないだろうか?

 

ネット番組の長所

こうした問題を解決した上で、新たな価値を付加したのがネット配信番組だ。

 

ガチなゲームが見られる

この番組のバトスピはガチだ。あるプレイヤーが都合よく初手でキーカードを引いたかと思えば、別のプレイヤーはキーカードがなかなか出て来ず、用意した戦術を使う前に討ち取られる。アニメのようなご都合主義がない、筋書きがないゲームになっている。もちろん、アニメでも属性ごとの相性は示唆されてきたが、この番組ではプレイヤー視点で解説が行われている。何属性の何の効果をメタ(対策)してきたかも明確に、ゲームの視点で説明してくれるのだ*2。視聴者視点では効果テキストと手札が画面上に表示されているので、経験のあるプレイヤーであれば、机上で何が起こっているかが理解できる。しかも、基本的に絆だとか強い想いだとかがあっても、勝てるわけではない。本気の本格的なゲームを見ることができるわけだ。

 

販促に関係ないゲーム

この番組は、従来のアニメが担っていた、試合を通じた販促という役割を放棄している。この番組にはバトルとは別に販促コーナーがあるので、ゲーム内で目玉カードを出す必要がないのだ。普通であれば、新しいパックに入っている目玉カードを主人公が出して、「これが今回の目玉だ」とアピールしなければならない。だが、この番組はもともと意識の高いユーザーが観るものなので、説明だけで販促になる。つまり、パックを売るためのわざとらしい試合構成をする必要はもうないのだ。強力なカードをカードショップからのみ購入するプレイヤーが出るなど負の販促効果も懸念されるが、意識の高いプレイヤーであれば、通常のパックも買って財団Bにお金を落としてくれるだろう。

 

声優が失職しない

実写配信番組をやっても、アニメで役を演じていた声優は役目を失わない。バトルスピリッツでは、以前からラジオやネット番組で出演声優が登場しており、声優の作品愛が強いことで知られている。通常のカードアニメでは、声優が数年間続投して総取っ替え、またはずっと継続という流れになる。だが、バトスピの場合は、多くの声優がシリーズを跨いで続投する。続投した本人は様々なカードに触れ、新規に参加する声優に影響を与える。事実上、出演者たちこそが世界最大のバトスピサークルかもしれない。


そうした声優たちも出演者として、あるいは刺客として参戦することができるので、番組側としてもファンとしてもありがたい限りだ。第4回に刺客として出演した新井良平さん(『バトルスピリッツ烈火魂』炎利家 役)は役柄同様、赤属性のデッキを使っていたが、他の声優の中には役柄と異なるタイプのカードを愛用する人もいるらしい。もしかしたら、人気声優の新たな(?)一面が見られるかもしれない。

 

ネット番組の短所

視聴者が対戦する番組は、非プレイヤーへの訴求力が低いという問題がある。つまり、番組を見て、カードを始めようとはなかなか思えない。ゲームが理解できなければ、面白そうとは思えないのだ。

 

新規層の開拓の困難

上級者の対戦を見ても、初心者や未経験者はプレイしたいとは思えない。卑近な例を出すとすれば、スキージャンプの試合を見た人が「私もあんな風にスキーができるようになりたい」と思うか、あるいはたまたま将棋の対局を見た人が(解説を聞きながら)その内容を把握できるかという問題だ。ああいう高度なものは、自分が志しているから理解できるものであり、憧れることができるのだ。スキージャンプをしたことがない人は、せいぜい「あの選手は人間離れしている」とか、「失敗したら複雑骨折しそう」としか思わないだろう。将棋をしたことがない人は、盤面で何が起こっているかわからず、何も感想が出ないかもしれない。


そもそも、非プレイヤーが何を通じてカードアニメを理解するかといえば、前述のカタルシスである。つまり、ライフが削られてピンチになってから逆転するまでの過程と、それに至るまでになされたプレイヤー間の言葉のやり取り、プレイヤーの心理描写などを通じて、ひとつのエンターテインメントショーが作られる。視聴者はそれを通じて、(非プレイヤーなりに)ゲームを理解するのだ。つまり、高度なバトルにシフトした以上、新たな客層を獲得するのは諦めるしかないだろう。

 

ショーとしてつまらない

難易度の高い試合はエンターテインメントショーに馴染まない。カードゲームの場合は高度なルールによって試合が展開するので、野球のツーアウト満塁やフィギュアスケートの4回転ジャンプのようなわかりやすいピークが発生しづらい。前述のように、ライフ1点(遊戯王の場合は100)から逆転するというアニメのようなことはなかなかない。そのため、ライフがたくさん残っている人が突然強力なカードを出して、突然蹴りをつけるということもあり得る。もしくは、特定のカードを使ったコンボ*3を使って一定的な(=単調な)展開を続けるプレイヤーもいる。


こうした筋書きのないハイレベルの試合は、ゲームを知っている人であれば盛り上がれるのかもしれないが、基本的には盛り上がらない。オリンピックで普段目にしないスポーツがテレビ放送される際、よほどうまい実況アナウンサーや分かりやすい解説員がいなければ、残念ながら試合は盛り上がらない。誰もが楽しめる試合には、分かりやすく盛り上がるシステムが必要なのだ。

 

新規層開拓の終了

このように、「バトスピ エクストリームゲーム」は、バトルスピリッツの新たなる一面を見せている。そもそも、従来のアニメはカードゲームの実態とは異なる上、販促の都合上、面倒な部分があった。販促カードを持つキャラクターが勝つためのご都合主義展開があったりもする。一方で、エクストリームゲームでは筋書きのない本格的なバトルが繰り広げられる。人気のある強いカードが活躍する本物のゲームが見られるのだ。刺客としてバトスピに出演する声優が出てくる場合もあり、アニメを見ていたプレイヤーには嬉しいことかもしれない。


ただし、これを見て新たにバトスピを始めたいと思うかは別の問題だ。本格的なバトルを見ても初心者は理解できないし、理解できないなりに楽しむこともできない。新しくバトスピを人はなかなかいないだろう。逆にいえば、バトスピは新規層の開拓を終了し、既存のプレイヤーを深く掘り下げていく段階に入ったとも言える。プレイヤーは、これまでアニメに持っていた不満や駿太への怒りをバトスピにぶつけてほしい。

*1:攻撃時などに手札から効果を発動できるスピリットの効果。

*2:ある戦法が特定の属性には通用しないなどの解説がある。例えば、白デッキを使ってくるプレイヤーに対して、破壊されたときに使える効果を持つスピリットはあまり意味がない。白は守りのデッキなので、あまり攻撃しないからだ。この回(第4回)では案の定、相手のカードを手札やデッキに戻す(バウンスと呼ばれる)戦法を使われてしまい、このプレイヤーは白のプレイヤーに敗北した。

*3:カード同士の相乗効果を狙った連携のこと。