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ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

ホビーアニメ、海外産アニメ、女児向けアニメなどを観て、変になってしまいました。プリティーリズムシリーズや現在放送中のホビーアニメを中心に、このキャラがかわいいとか、そのアニメが社会に伝えたい価値は何なのかまで、様々な情報を発信していきます。

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『パズドラクロス』 人間VS竜人、2つの種族は打ち解け合うことができるのか?

竜人の蜂起:プライドを守るために

パズドラクロスの世界には、モンスターと人間、それから竜人、主に3つの種族がひしめきあって暮らしている。竜人は龍の力を秘めた種族であり、常に人間よりも優位に立ってきた。それはモンスターを使役する職業・龍喚士においても同じだ。

 

ところが、人間がある街の龍喚士の長となったり、戦いで人間の子に敗れたりと竜人のプライドが傷つけられるような出来事が相次ぐ。そして、ついに竜人の一部が蜂起し、破壊活動を始めてしまう。


主人公・エースは失踪した親しい竜人の龍喚士の行方を追っていくうちに、国の異変に気付き始める。先輩龍喚士のガーネット、先輩で竜人の龍喚士・ヘリオットとランス、人間の古老(=町長)トーリエらの協力を得て、エースは謎の組織・ドミニオンに立ち向かう。

 

今だから描けること

パズドラクロス』は今だから描けることを描いている。モンスターを扱う大手コンテンツにおいて動物愛護団体のご機嫌取りが急務となる中、パズドラクロスはそれを絡めつつ、民族間紛争に焦点を当てる。具体的に言うと、自分以外の種族を見下し、こき使うための存在として扱うことだと思っている竜人のことである。

 

上位に立つ者による支配

パズドラクロスの世界では基本的にはモンスターが一番強いが、龍喚士の素質を持つ者はその限りではない。つまり、龍喚士はモンスターに力を与え、またはダメージを負わせることができる、ピラミッドの頂点に立つ存在だ。ところが、一部の心無い龍喚士はモンスターを虐待し、あるいは他人の使役するモンスターを奪おうとする。たしかに竜人の龍喚士には一般的に人間よりも高い才能があるが*1、その才能をモンスターを”支配”するための力だと誤解する者も多いのだ。これを現実に置き換えれば、任意の地域で起きている民族問題、あるいはもっと広い格差の問題になる。


パズドラクロス(アニメ)の世界ではモンスターとの絆を深めると、伝説の奥義を発動させることができる。一応この奥義はモンスターをこき使う竜人でも発動可能だ。だが、モンスターが龍喚士に反抗すれば、奥義はおろか、そのモンスターを扱う事すらできなくなる(休眠状態になる)。力で他の種族を恐怖させ、頂点に君臨し続けることが本当に誇りなのか? 強者には能力以外にも大事な資質があるのではないか? 色々考えさせる内容になっている。

 

歴史的建造物の破壊

ドミニオンは歴史的建造物「竜神像」を破壊する。実は、この世界はドロップと呼ばれる元素で満たされており、それがモンスターの力の源となる。このドロップの流れ(「レイライン」)を穏やかにして世界のバランスを保っているのが、竜神像であることが判明している。各地に点在する竜神像*2を破壊することで大地に被さっていた蓋が外れ、エネルギーの暴走が発生する。それがモンスターの暴走につながり、力のない人々は恐怖に陥るという算段だ。


現実の世界では、テロリストがイデオロギーを強調するために、歴史的・資料的価値がある建造物を破壊していて、それが市民や国際機関の感情を煽っている。アニメではモンスターの怒りを煽るという形にデフォルメされているが、モンスターとの融和を否定しているわけであり、都合の悪い文明を否定することと本質的には変わらないだろう。このように、歴史的建造物の破壊で、ドミニオンは自分たちのイデオロギーを押し通そうとしている。

 

同族への嫌悪と危惧

竜人の一部においては、モンスターとの絆や人間との融和を信じる同族に対する嫌悪も広がっているようだ。古老の一人であるジェストは人間をよく思っていない竜人の一人だ。人間の力を信じはじめた竜人の古老・ダフネスをジェストは消滅させた。ダフネスはドロップインパクト(ドロップの異常な流れによる自然災害)を治める仕事において限界を感じており、エースら新世代の龍喚士に期待を寄せていた。一方で、力によってモンスターを支配するスタージョン*3という竜人の子どもには愛想をつかしている。彼女の存在は、竜人至上主義において邪魔であったのだろう。


それとは別に、強すぎる竜人に対する危惧というものも存在している。カリスマと名高い少年龍喚士・ランス(竜人)の登場によって、双子の姉妹・ヘリオットとモルガンのバトルカップ最強の地位が揺らいでいた。ヘリオットはランスへの敗北に対してすぐ立ち直ったのだが、モルガンはランスに対する危惧や、地位が揺らぐ危機感を覚えた。それが理由でドミニオンに参加することとなる。まるでキリスト教徒がISの兵士に志願するように。


上記に挙げた2つの事柄は一見異なるが、自尊心を傷つけられたという点では同じことだ。支配者としてのプライドが傷ついたので、自己防衛のために復讐を始めた。少数派を迫害するテロリストとなんら変わらない。このように、民族問題を動物愛護に少し絡める形で調理したのが、アニメ『パズドラクロス』のストーリーだった。

 

ついに人間に悪意が降りかかる

第44話、光の街エクシオンにて、竜神像を破壊する「人工のドロップインパクト」が発生した。第45話では、竜人にしか解放されていなかったはずの竜神像を見た人間・ハルに対して悪意が向けられてしまう。もう終盤ということもあり、来週から話がどんどん動いていきそうだ。

*1:人間の多くにはドロップと呼ばれるパズルのピースが見えない。そのため、ピースをつなげてエネルギーを発生させることもできない。竜人の多くはそれができるので、龍喚士になれる。

*2:竜神像にはドロップと同じ力が宿っているため、力が反発しあい、地下にあるドロップが地上に出てきづらくなるという仕組みらしい。

*3:現時点でドミニオンのメンバーではない。