ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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アイカツはリベラルアーツか?〜リベラルアーツアイドル教育への誘い〜

『アイカツスターズ!』1話を見て、あるシーンで物凄く親近感を覚えた。確か七倉小春が、虹野ゆめに対して、研究生は幅広くアイカツを学んで、どの組に進むかを決めることができるという話をしていた。それを聞いて、1〜2年生で幅広く学び、3年生から専攻に進むというICUのリベラルアーツを思い出したのだ。いわば、リベラルアーツアイドル教育をしている四ツ星学園は、まさに幅広い知識と技術を持ったアイドルを輩出する教育機関だ。

 

リベラルアーツアイドル教育の特長

何をやりたいかに気づくことができる

リベラルアーツアイドル教育では、自分のやりたいことに気づいてから、極めたいアイカツを決めることができる、一般の大学では、入試の時点で学問の分野が決められている。法学を学びたい人は法学しか学べないし、心理学を学びたい人は心理学しか学べない(付随する学問は学ばされるだろうが)。場合によっては、大学に入ってからやりたくないと気づいてしまうかもしれない。しかし、リベラルアーツ大学では、幅広く学んだ後で専攻を決めることができるため、ミスマッチを防ぐことができる。同じことはアイドル教育にも言えて、プロデューサーになりたいので逆算をしてプロデュースだけ学ぶという人もいる一方、まだ何をやりたいかわからないので、幅広く学べるリベラルアーツアイドル学校を選ぶ人もいる。リベラルアーツアイドル学校には、もちろん明確な夢を持って入ってくる人もいるし、その夢が途中で変わってしまう人もいる。6年間という長い年月をかけて幅広くアイカツを学べるというのは、とても幸せな環境である。


セルフプロデュースと議論

セルフプロデュースは、問題解決と同じである。つまり、提起された(もしくはした)問題に対して、様々な観点から仮説を提示し、検討する。例えば、歌声が通らないという問題に対して、発声法が悪い(歌の観点)と判断するのか、姿勢が悪いからいけない(モデルの観点)とするのか、歌の主人公になりきっていない(ドラマの視点)と捉えるのかは、自分次第だ。セルフプロデュースはチームでも行われると仮定すると、このブレインストーミングが複数人で行われ、より幅広い観点から論理付けが行われるだろう。そうして、様々な観点から問題を解決できるのがリベラルアーツアイドル教育のいいところだ。


専攻分野を超える

自ら考えて学ぶ内容を取捨選択することで、分野の枠にとらわれないアイカツができる。例えば、リベラルアーツ大学においては、生物学と経済学や、メディア学と歴史学のように、分野を超えたコラボレーションができる。生物学の授業のはずなのに、経済学の知識でプレゼンをする人もいるかもしれない。同様に、リベラルアーツアイドル教育でも、ダンスの場でドラマの技術を活かす人がいるかもしれない。この場面で、あのレッスンで学んだあの知識が使えるかもしれないという思考回路を身につけ、実際に使うというのはリベラルアーツの醍醐味だ。言ってしまえば、工夫次第で、専攻を気にせずにアイカツすることができるのだ。

 

リベラルアーツアイドル教育の欠点

アイカツのジャンル分けが大雑把すぎる

リベラルアーツアイドル教育には、分野が4つしかない。ジャンル分けが大雑把すぎる。例えば、一口に国際関係学と言っても、交流の内容で言えば国の間の政治・経済・文化交流という分類があるし、研究の対象で言えば、国の間ではなく地域や世界全体の分析をする分野もある。多国籍企業を取り巻く問題も国際関係学として考えられるし、発展途上国の支援だって、国際関係学だ。

……とにかく色々ある。


アイカツで言えば、歌と言っても、ロックやポップス、クラシックなど様々な種類がある。しかも、歌の方面からミュージカルやオペラを極めることもできるだろう*1。それを一言で歌と言ってしまうと、幅がありすぎて、生徒は困ってしまう。

もちろん、この専攻の種類では網羅できないアイカツがあるのも確かだ。『アイカツ!』で神崎美月がやっていたコメンテーターや大空あかりがやっていたお天気キャスター、あるいは、いろんな人がやっていたフードリポーター……これらの『アイカツ!』は極めるものではないのか?筐体で遊べる4つのモードと花鳥風月をモチーフにしたい都合があったのだとは思うが、これらの「学問」に救済があるのかどうかは期待したいところだ。


ジェネラリストの育成?

リベラルアーツの特徴として、ジェネラリストの育成がある。幅広く学び、幅広い分野に対応した教養人を輩出することだ。『アイカツスターズ!』で言えば、幅広くアイカツを学ぶことを意味する。しかし、現時点では、虹野ゆめは明らかにひめと同じ「花の歌組」を目指しているように見える。この場合、せっかく幅広く学ぶ機会があるのに、大好きな歌ばかりを学んでしまう可能性がある。そうなれば、ジェネラリストの育成には繋がらない。おそらく、自由時間以外のレッスンでは、幅広く「学ばされる」のだろう。しかし、本人が興味を持って知識や技能を吸収しなければ、ジェネラリストにはなれない。ジェネラリストへの第一歩は、あらゆるジャンルに興味を持つことなのだ。

 

このように、リベラルアーツアイドル教育は、幅広い観点を身につけながら、自分のやりたいことを見つけられるすぐれた教育だった。一方でジャンル分けの甘さがあり、好きな分野だけを頑張ってしまう人にとって意味をなさないという欠点があった。だが、私は世界観の一部を駄文に広げただけであり、これからもアイドル活動をよろしくということしかできない。

*1:ミュージカルならダンスも該当するはずだ。

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