ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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特命戦隊ゴーバスターズを敢えてお勧めしたい

特殊すぎる設定

ゴーバスターズは、13年前、転送研究センターで起きたコンピューターウイルス事故により、特殊能力を身につけてしまった子どもたちが、13年後、異世界からの侵略者からエネルギーを守るために戦うという異色の作品である。詳しくいうと、13年前のクリスマス、転送研究センターに恐ろしいコンピューターウイルスが侵入し、世界をウイルスから守るために、研究所ごと亜空間に転送した。しかし、子どもだけでも助けようと、人間でも転送に耐えられるワクチンプログラムを使って、子どもたちと3体のバディロイドを地球に転送し返した。3人の子どもはプログラムの副作用を負いつつも、いずれ両親たちを救い出すため、また、また襲いかかってくるであろう「ヴァグラス」を討つため、訓練を積んでいた。そして、2012年、特命戦隊ゴーバスターズが結成された。これは、3人と3体、それを取り巻く人々の絆の物語である。

 

人物設定が特殊

まず、人物の背景が近辺の作品に比べてシリアスである*1。13年前のことを覚えている人物として、やや年齢が高いブルーバスター/岩崎リュウジ(28)がいる。エンジニアになるのが夢で、センターを見学しに来たという設定であり、家族の絆の物語からはやや遠い位置にある。一方で、レッドバスター/桜田ヒロム(20)とイエローバスター/宇佐見ヨーコ(16)は共に幼い頃、クリスマスパーティーのために両親の職場に遊びに来ていた。つまり、13年前の事故で両親を失っている。だからこそ、事故に巻き込まれていなかったヒロムの姉・リカはヒロムが戦うことに強く反対していた。司令官の黒木タケシは、事故当時、クリスマスプレゼントの輸送中だったため、同僚の中で唯一事故を回避してしまった。その責任からか、現在はいずれ再びくるであろうヴァグラスの危機から地球を守る上での指揮権を担っている。このように、人物設定が近年の作品から見てややシリアスである。

 

巨大戦が特殊

今作の巨大戦は、タイミングとロボットの設定の面で特殊である。近年の戦隊では、敵怪人が倒されてから、敵幹部の手で敵怪人が復活し、巨大化させられると言うケースが多い。敵の巨大ロボに関しても、奥の手として出されることが多い。しかし、ヴァグラスには、基本的に怪人が巨大化する機構はない。その代わり、敵が転送に必要としている燃料・エネトロン*2のエネルギータンクを襲う巨大ロボを亜空間から地球に転送開始すると同時に、地球上の無機物からメタロイドと呼ばれる怪人を生成する(実際の順序は逆)。巨大ロボの転送には時間がかかるが、メタロイドの存命中に転送されてくる場合もある。初期では転送時間がテレビ画面に表示されていた。転送されてくるメガゾード(巨大ロボ)は、メタロイドと同じ特徴を持っている。戦士が3人しかいないので、巨大ロボ戦と地上戦を並行するのは難しいように思える。しかし、レッドバスターのバスターマシン・CB-01チーターは単独でメガゾード・ゴーバスターエースに変形できる。近年では1号メカが単独で人型ロボになるケースはそこそこ珍しい。もちろん、ブルーとイエローの機体とは合体が可能だが、稀にマニュアルで合体しなければならないことがあり、その時はかなり苦労する。合体コールは「コンバインオペレーション!特命合体!」であり、かつて「◯◯フォーメーション」をコールしていた頃を思い出させる。ちなみに、追加戦士の機体とは設定上互換性がなく、5体をピットでバラして組み立てる必要がある。特殊と言えば、今回はコックピットが凝っているものの、通常の戦隊のように、合体すると中央にメンバーが集う巨大コックピットが出現するという仕様はない。定番要素はないものの、普段はただ単調に敵を倒すだけだった巨大戦は、今作ではかなり凝っていて見所がある。

 

サポートロボットの役割が大きい

普通、スーパー戦隊でサポートロボットがいる場合、主な仕事が敵の感知になることが多い*3。ゴーバスターズのバディロイドは4人に対して4体おり、そのうちビート・J・スタッグはスタッグバスターとなって桜田ヒロムたちと共に戦う。彼らには敵に対する感知能力はないものの*4、メガゾードの操縦桿になるという重要な役割がある。チダ・ニックはバイクにも変形できる。バディの世話をするのもバディロイドの役目である。ちなみに、バディロイドの声優は豪華である。

 

戦隊名コールがない

斬新な特徴のひとつが、スーパー戦隊に当たり前だと思われていた戦隊名コールがないことだ。普通ならどんなに時間がなくても、戦隊名だけは言うだろう。しかし、特命戦隊ゴーバスターズはクロスオーバーや劇場版以外で「特命戦隊ゴーバスターズ」とコールすることはない*5。その代わり、「バスターズ、レディーゴー!」と言ってから戦闘を開始する。これは、前半OPの歌詞にもなっている。

 

顔出しセクシー敵幹部の復活

今作中盤以降には、快楽を求める敵幹部・エスケイプが登場する。エスケイプ役は水崎綾女である。強化体としてスーツは登場するが、それでも人間体の出番は多い。なお、水崎綾女はセクシーであるが、AV女優出身ではないので注意してほしい。近年の特撮における顔出し女性幹部はモデルやグラビアアイドルや、純粋に女優の人も多い。

 

パワーレンジャーを逆輸入している

特命戦隊ゴーバスターズは、パワーレンジャーを逆輸入した作品である。まず、変身コールが「レッツ!モーフィン!」であり、変身アイテムのモーフィンブレスも「イッツモーフィンタイム」という音声を発する。モーフィンというのは、morphingであり、変身や変形を意味する英単語だ。これはスーパー戦隊シリーズの海外リメイク版であるパワーレンジャーで使われていたもので、それを日本のスーパー戦隊に逆輸入した。同様に、メガゾードという巨大ロボに対する独特の名称もパワーレンジャーから来たものだ。しかしながら、パワーレンジャーが1作を2年間やる方針になったことに加え、アニバーサリーの都合上、パワーレンジャー化は見送られた*6。皮肉にも、パワーレンジャーを意識したにもかかわらずパワーレンジャーにならなかった残念な戦隊だ*7

 

作品に対する違和感

ここまで純粋に作品を賞賛してきたが、これらの特徴を違和感として受け取る人も多い。スーパー戦隊として見たい場合はあまりに異色過ぎるのだ。それに、子どもが見るのには難しすぎる。たしかにバディロイドは陽気だし、宇佐見ヨーコは子ども向けキャラだが、戦隊のフォーマットから考えてなりきり遊びには難しすぎると思う。本編では指摘していなかったが、レザー製のスーツや、平成ライダーのようにバンク(できるだけ)や敵の溜まり場を廃したところも違和感として挙げられる。

 

これまでと雰囲気をガラッと変えることは一長一短だとは思うが、これまでの戦隊と違うという噂だけを受けて視聴を見送るということはできれば避けてほしい。

 

 劇場版動画がニコニコ動画で有料にて公開されている。

特命戦隊ゴーバスターズ THE MOVIE 東京エネタワーを守れ! ‐ ニコニコ動画:GINZA

 

www.tv-asahi.co.jp

 

www.toei.co.jp

 

www.super-sentai.net

 

www.b-boys.jp

*1:前年の海賊戦隊ゴーカイジャーにも敵を離反した戦士や祖国を失った王女などがいたが、ゴーバスターズでは物語のメインテーマにゴーカイジャー以上に大きく関わっている。

*2:エネトロンはガソリンに変わる燃料として、普及しているという設定。この世の機械のエネルギー源はエネトロンである。ヒロム達の普段の仕事はエネトロンの不正利用を取り締まることだ。

*3:天装戦隊ゴセイジャーのデータスは巨大化して戦うこともあった。

*4:敵の感知はオペレーターが行う

*5:後期OPではタイトルコールがついた。

*6:前作の海賊戦隊ゴーカイジャーがオールスター物だった上に、パワーレンジャー第1作目が恐竜戦隊ジュウレンジャーであったことから、獣電戦隊キョウリュウジャーのリメイクを流した方が都合が良かった。

*7:オリジナル戦士を出さない限り、どうあがいても女性が1人になってしまうため、現地にとって都合が悪かったのかもしれない。

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