今日紹介するのは、『仮面ライダーカブト』だ。記事のタイトルだけで8割語りつくした感があるが、もう少しお付き合い願いたい。仮面ライダーカブトの論理では感じ取れない魅力にハマってもらいたいのだ。
基本的に話がノリだけで展開する
『仮面ライダーカブト』は、論理で作品を捉える人には向かない作品だ。基本的に意味不明な論理で話が進み、ノリだけで問題を解決することが多い。だが、決してコメディだけというわけではなく、シリアスなシーンも存在する。仮面ライダーがたくさんいるので、ライダーバトル要素もあるが、きちんと共闘もする。イメージとしては、「人数の少ない仮面ライダー鎧武」かもしれない*1。仮面ライダーがたくさんいるということは、仮面ライダーの数だけドラマがある。トンボの仮面ライダー・仮面ライダードレイクに関しては、登場回が少ない分、濃厚なドラマが詰め込まれている。一方で、しっかりした構造ではなくノリで物語を展開することも多くあり、意味不明な映画を揶揄する表現として「God Speed Love*2」がある。いずれにせよ、仮面ライダーカブトは心で感じてほしい作品だ。
イケメンだから許される
仮面ライダーに変身する俳優が今になって思えば豪華である。主役の仮面ライダーカブトは水嶋ヒロであり、ライバルの仮面ライダーサソード(サソリの仮面ライダー)は山本裕典、仮面ライダードレイクは『マジンボーン』の主題歌でおなじみの加藤和樹だ。前節で指摘した通り、『カブト』にはふざけた演出が多く、ブサイクな俳優がやっていたら大ブーイングだろう。勝手にオペに乱入したり、ランドセルを背負って街を徘徊したりする。でも、イケメンがやっているから許される部分もある。それどころか、水嶋ヒロが料理をするシーンが頻繁にあり、朝食を作ってもらっている妹が羨ましい限りである*3。仮面ライダーカブトは、歴代主人公の中でも群を抜いて人格が出来上がっているので、かっこいい決め台詞にも注目だ。
キャストオフとクロックアップ
仮面ライダーがスタイリッシュでかっこいいのが今作最大の特徴だ。平成ライダーで、純粋に昆虫だけをモチーフにしているのは『仮面ライダーカブト』だけかもしれない*4。『カブト』のライダーには、一部を除き、重厚な武装をした形態・マスクドフォームと武装を解除(キャストオフ)し、軽快に動き回る形態・ライダーフォームがある。キャストオフすると、光速で動き回る(クロックアップ)ことができ、素早い敵に対抗できる。マスクドフォームにはあまりメリットはないが、ガタックに関しては、マスクドフォームでだけガタックバルカンと呼ばれる銃が使えるというメリットがある。ちなみに、サブライダーの多くは変身アイテムがベルトではない。ザビーがブレス、ドレイクが銃、サソードが剣である。仮面ライダー(劇中ではマスクドライダーと呼称)の変身アイテムを開発しているのはZECTと呼ばれる秘密組織であり、変身アイテムに装填するアイテムは仮面ライダーの名前をとって、カブトゼクターやドレイクゼクターのように呼称される。変身アイテムは今のライダーのように歌ったりおしゃべりしたりせず、ただ”Henshin” ”Change dragonfly”のようにシンプルな音声や効果音が流れる。必殺技は「ライダー◯◯」*5で統一されており、カブトの場合はライダーキックである。ただし、基本的に地に片足をつけた状態での回し蹴りであり、歴代仮面ライダーのものと一線を画す。ギャグのような必殺技は一切なく、虫をモチーフにしたゼクター以外の収集アイテムは基本的にない。だが、全部のアイテムを集めた完全体フォームは定番であり……
わかっていただけただろうか?『仮面ライダーカブト』は意味わかんないけどスタイリッシュでかっこいい特撮ドラマだ。意味がわからないから駄作と認定するのではなく、とりあえず見ていただきたいというのが私からのお願いだ。
S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーカブト ハイパーフォーム
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