ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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新番組『ウルトラマンオーブ』 新しいウルトラマンが古いウルトラマンなのはおかしい

ウルトラマンの良さとは何か?

2016年7月、ウルトラマンの新シリーズ『ウルトラマンオーブ』が放送されることがわかった。ウルトラシリーズといえば、怪奇現象や怪獣・星人などが起こす事件を利用して、現代社会のあり方を批判する番組として、大人から子どもまで幅広い世代に親しまれているシリーズである。

 

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特に、バルタン星人やカネゴンなどは多くの人が顔と名前を一致させて覚えていることだろう。一方で、いつのシリーズであっても見た目でウルトラマンだとわかるウルトラマンのデザインも、ウルトラマンの親しみやすさの要因の1つである。光の国の設定はシリーズに普遍的なものであり、他の特撮ドラマシリーズと違って、ウルトラシリーズは地続きの世界観である。

 

このように、ウルトラシリーズは、社会批判、親しみやすい怪獣・星人、一貫した設定という3つの大きな要素のおかげで成り立っている。しかし、裏を返せば、ウルトラマンは、過去の栄光にすがり、今を見失っているとも言うこともできる。

 

この記事では、今のウルトラマンが抱えている問題を素人目線で論じる。

 

歴代ウルトラマンの力を借りることでしか戦えない

近年のウルトラマンは歴代の力を使って戦う方式が定式化してしまっている。近年のウルトラマンが軒並みオールスター路線なのは敢えて詳しく説明する必要もないだろう。新作ウルトラマンのドラマシリーズが復活して*13年が経つのにもかかわらず、オリジナリティに溢れた作品がまだ出ていないのも問題だ。

 

隊員の新武器や新戦闘機、複数の新怪獣を出したXですら、歴代のウルトラマンや怪獣の力を新しい形に変えて戦う戦法だった。たしかに仮面ライダーやスーパー戦隊でもオールスター作品はあったが、いずれも1年きりであり、何年もオールスター展開を続けるということはなかった*2

 

エックスは歴代ウルトラマン(と怪獣をアレンジしたもの)のカードが販促アイテムに含まれており、客演ありきの作品だったと言える。ファンサービスがなければ売れないというのは、新規層の開拓を諦めていると言い換えても問題ないのではないだろうか?いずれにせよ、ウルトラマンとしての完全新作が作れない現状は問題だ。

 

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怪獣は財産

ウルトラ怪獣といえば、名前や姿を覚えられて、何度も登場しているのが特徴だ。もちろん、昭和仮面ライダーにも名前を覚えられている怪人が多い。一方で、平成仮面ライダーでは、ガワというよりも人間体を含めた人物として見られているという感が強い。スーパー戦隊シリーズでも、敵幹部という人物としては印象が強いが、ファンが個々の怪人の名前を覚えているかといえば、いないだろう。それにこうした作品では、作品ごとに怪人の種族やコンセプトが設定されていて、別作品に出ると違和感がある。

 

そうした意味では、作品を跨いで登場できるウルトラ怪獣は他のシリーズにはない強みを持っている。しかし、歴代の力を使いすぎると、過去の遺産に頼ってしまい、だんだん新しい怪獣が作れなくなっていく。ちょっとしたファンサービスやテンプレートに則った展開として歴代怪獣を出すのは問題ないと思うが、物語の根幹に怪獣の力の利用や怪獣との絆がいつまでもあるとなると、ストーリーが単調になってしまう。今後、新しい怪獣にも予算を投じなければ、永遠に過去の栄光にとらわれることになるだろう。

 

『新ウルトラマン列伝』という番組の意味

『新ウルトラマン列伝』は便利な番組だが、この番組があるから起こる問題もある。ウルトラマンのテレビシリーズは『ウルトラゼロファイト』以降ずっと『ウルトラマン列伝』『新ウルトラマン列伝』という放送枠の中で放送されている。この番組枠では、新作ウルトラマンドラマシリーズや、スーツによる戦闘を中心とした3分程度のミニドラマ、3DCGアニメなどが放送されている。映画を放送する際は、映画を20分程度に分けて、余った時間に解説やナビゲーターによる寸劇を入れている。それ以外の時は、それらの作品の解説や映画の宣伝のために、歴代ウルトラマンで鍵となるエピソードの再放送や鍵となる要素をまとめた総集編を放送している。

 

たしかに、ウルトラマンやウルトラ怪獣をよく知らない子どもにキャラクターを紹介する、という点においては良い番組である。しかし、作品を作品内で完結することを放棄していると見ることもできる。例えば、以前『劇場版 ウルトラマンエックス〜きたぞわれらのウルトラマン〜』の感想記事で書いたように、筆者は碧石や命の珠の正体を知らずに映画を観たため、唐突に碧石からウルトラマンが召喚されて意味がわからなかった。『新ウルトラマン列伝』の中で、『ウルトラマン』の第1話と最終話の再放送があり、初めてそれらのアイテムの意味を知った。おそらく『新ウルトラマン列伝』という番組を観ずに、この映画だけを観た人は、同様に意味がわからないだろう。鍵となる要素の説明をドラマ内で表現せず、解説に転嫁することは、子どもから大人まで幅広い層に観てもらうドラマであることを考えると、首を傾げざるをえない。

 

まだウルトラマンオーブの放送が始まっていないので、今後がどうなるかはわからない。私がすべきことは、ウルトラマンが何らかのオリジナリティを獲得することを強く願うのみだ。

 

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m-78.jp

 

最新シリーズ「ウルトラマンオーブ」史上初、合体から変身!主演は元ジュノンボーイ石黒英雄 : スポーツ報知

ウルトラマンの力を借りて新しい姿に!新しい!って言うとでも思ったか?ここ最近のウルトラマン、全部オールスターものなんですよ。怪獣もウルトラマンの財産ですが、使い回ししすぎるとオリジナリティが失われます

2016/04/25 07:46

 

 

spinoutspin5.hatenablog.com

 

*1:『ウルトラマンギンガ』は故郷に帰った少年・礼堂ヒカルがウルトラマンギンガに変身し、仲間とともに町と母校を守る物語である。ギンガには人形を使ってウルトラマンや怪獣に変身できる能力がある。敵もまた、怪獣の人形を使って町を襲う。防衛隊がないのが特徴で、友情の絆がクローズアップされる一方で、隊員(=仲間)との協力はあまり描かれない。

*2:東映ではオールスター映画が毎年作られていたが、テレビシリーズはいつまでもオールスター展開というわけではなかった。

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