ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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KING OF PRISM by PrettyRhythm 応援Bookを読んだ その2:ストーリー&キャラクター他

ペーパー化された応援上映と設定

この本の趣旨は、応援上映を紙面上で表現することだ。聴覚に障がいのある人、何らかの理由で声を失った人、言葉を発することのできない人は応援上映を正常に楽しめない。そうした限界を超えるための存在が、応援Bookだ。応援Bookの半分近くは応援上映をどのように楽しむべきかに割かれている。それは応援上映に何を持っていくかであったり、どういったコールをすればよいかだったりする。この本は、キンプリを公共のメディアが文字化し、既存の設定などの情報を加えた公共性溢れるものである。

 

 

各パート概要

8-41ページ:ストーリー応援ガイド

劇中映像の静止画とともに、登場人物のセリフが書かれており、シーンごとに場面の説明が添えられている。そのシーンをさらに細かく区切り、題がつけられている。曲が挿入されるシーンには、曲名が添えられているのも大きな特徴*1だが、最大の特徴はあらゆるシーンにピンクの字でコールの提案が書かれていることだ*2

 

56-89ページ:キャラクター応援ガイド

6-7行(2段組の1段)のコラムが2つと5-6行の「自己PR」がある。プリズムジャンプを跳んだキャラはそのジャンプの説明がある。下には「応援POINT」としてそのキャラクターを応援する方法の提案が書かれている。公式設定資料集と比べて、誕生日が分かればおのずと分かる星座と、座右の銘が追加されている。設定資料も付いているが、ほとんどのキャラは設定資料集と同じだ。58-59ページには相関図があるが、新情報はない。

 

105-116ページ:ステージ応援ガイド

舞台の設定資料が公式設定資料集よりも詳しく書かれている。リード文があるのはストーリー応援ガイドと同じだが、そのステージですべき応援も載っている。紙面が小さいにもかかわらず、載せている設定画が多いので、ルーペの使用をお勧めする。公式設定資料集には載っていない資料も多い。プリズムショーのステージに関しては別方向からのカットも載っている。

 

117-122ページ:ダンス振付講座 京極尚彦インタビュー

上2/3がOver The Sunshineの振付講座、下1/3がプリズムショー演出の京極尚彦氏へのインタビューになっている。京極氏のインタビューは前回紹介したので割愛する。

 

176-183ページ:キンプリ応援大辞典

キンプリとプリティーリズム・レインボーライブの用語を解説していて、オーロラドリームとディアマイフューチャーは必要最低限になっている。レインボーライブの女子を紹介する一方で、三強周りの設定をうまく整理している。エーデルローズの損益計算書の項目は見ものである。

 

184-187ページ:応援上映をとことん楽しむ!GOODS

ただの販促ページなので、内容説明は割愛する。

 

188-191ページ:『KING OF PRISM by PrettyRhythm』エピローグ

エンディング後に流れた謎の映像をストーリー応援ガイド同様にセリフを交えて紹介しているが、応援の提案は入っていない。

 

難点

応援が余計

応援上映に足を運べない人、障がいなどで応援上映を楽しめない人にとって、応援の内容が書かれていることはありがたいだろう。しかし、その他の人の中には、うっとうしく思う人だっているはずだ。ほぼ全てのシーンにツッコミを入れる行為は必ずしも愛とは呼べないし、「映画(キャラクター)との会話」とも少々異なるので、あまりよいこととは言えない。そのような好みが分かれる問題を編集者・ライターの主観で決めてしまうのには問題がある。


そもそも、今回の出版物はキンプリスタッフの協力のもとで作られたわけであり、「するべき応援」を半公式が提示することは、応援上映が観客の自由意思によって洗練されたという話(西プロデューサー談*3 )と矛盾する。何かしらのアンケートをとって、「この応援が人気でした」ならばそれでいいが、ただ単に提案するというのは、公式に近いメディアが取るべき立場ではないように思える。

 

マナーについて触れていない

応援上映の一番大事な要素であるマナーについて触れていないのは非常に残念だ。依田プロデューサーのインタビュー*4で女児向けだからこそリアルを追求したという話もあったが、出版社・編集者は、マナーを守れない大人がいるというリアルを想定できなかったのだろうか?近頃では、マナーの悪い客に対してネット私刑という制裁があるが、本もルールの周知や制裁の手段として、今もなお、役目を果たしている。応援Bookはメディアとして責任を果たすべきだと考える。

 

利点

情報の整理

応援Bookは情報の整理に一役買っている。依田氏のインタビュー*5にもあったが、菱田監督のカット割は周到で、無駄がなく、あるいは無駄がないように見せかけている。そのため、流れが速く、1回では追いきれない。だからこそ、情報の整理が必須であった。キンプリのファンである脚本家の綾奈ゆにこ氏はかつて、ニコ生で私用のキンプリ情報整理ノートを公開していたという記憶があるが、そういったものが一般のオーディエンスにも必要であったはずだ。

 

膨大な設定の補完

応援Bookは菱田監督の口から語られた、あるいは雑誌等に書かれた設定の多くを文字化しており、信用できるメディア・本としての役割を十分に果たしている。おそらくほとんどが雑誌で紹介した既存の情報なのだろうが、その情報の多くが手に入るのでありがたい一冊になっている。特に、シュワルツローズ周りの設定は冗談として口頭で語られる部分が多いが、この本によって多くが文字化されている。細かいところだと、太刀花ユキノジョウの歌舞伎での十八番も書かれている。

 

公共性あるメディアを

応援Bookは一冊で既存のプリティーリズム・キンプリに関する情報の多くが手に入る大変有意義なものだった。だが、せっかく文字化によって様々な良い効果を生み出しているのに、公式に近いメディアによる応援の提案(押し付け)がそれを打ち消している。それに加え、(応援上映に持っていくべきグッズは紹介しているのに、)応援上映に際しての心構えや守るべきマナーについては多くを語っていない。インタビューにて、スタッフはプリティーリズム放送当時のエピソードについても語っており、この本は決して応援だけ楽しみたい新規のファンのみに向けたものではないと思う。より幅広い層に楽しんでもらうため、すべてのファンに楽しんでもらうためには、幅広い視点が必要だったのではないだろうか?今後同様の本を出版する場合は、その部分にも気をつけていただきたい。

 

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www.ajo-biani.com

www.ajo-biani.com

 

*1:歌詞を見ながら音楽まで再現できる。

*2:3ページにはコールが「一例」であると書かれているが、公式に近いメディアである以上、公式からの提案と言って問題ないだろう。

*3:156-157ページ。

*4:163ページ。

*5:160-162ページ。

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