ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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パズドラクロス:子ども向けと大人向けのバランスをどう取るのか?

子ども向けのパズドラ・パズドラクロス

パズドラクロスは、これまで原則として大人が対象だったパズル&ドラゴンズのターゲットを携帯用ゲーム機を使う子どもに広げるというプロジェクトである。子ども向けということで、キャラクターや設定を全て子ども向けにしているのかと思いきや、大人向けに子ども向け要素を加えてゲーム・アニメ化しているようだ。子ども向けにする以上、子どもに特化したパズドラをやるべきだと思うかもしれないが、パズドラとしてのオリジナリティを優先したのだろう。もちろん、大人向けと子ども向けを混在させることでバランスが悪くなっているところも散見される。まだ2話なのでいずれ変わっていくのだろう。このアニメは、大人向けと子ども向けのバランスをどうとっていくかに勝負がかかっている。

 

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大人向けと子ども向け

大人向けと子ども向けといっても、定義は曖昧で、子どもにわかるかどうかとか、子どもが楽しめそうかどうかが価値判断の基準になる。ここでは、筆者なりに、大人向けと子ども向けを分類してみる。

 

大人向け

大人にウケる設定・演出(特殊能力に目覚める主人公、SDFによる情報の隠蔽、危険な武器によるモンスターの殺傷、モンスターのSDFからの保護)、UVERWorldによる子どもが歌えないオープニング

 

子ども向け

販促関連(マスコットキャラ、ゲームのギミックのアニメへの統合)、子どもにウケる演出(うまく力を使えなくてもがく主人公、龍喚士に押し寄せる聴衆の波)、トミタ栞による子どもに歌って踊らせるエンディング

 

社会の闇に切り込む=大人向け

社会の闇に切り込むのは、多くの場合、大人向けの機能である。一方で、プリティーリズムシリーズのように、家族を取り巻く社会問題を敢えて描くことで、子どもに愛を教えようとする挑戦作がある。他方、パズドラクロスの場合、世の中の理不尽さを描くにとどまっており、今の所、教育的な着地点が見えない。例えば、モンスターの殺傷に関しては、生き物を大切にしようというメッセージにつなげることができ、マスコットキャラクターの存在とのバランスが取れるかもしれない。今回、(押しが弱かったように感じるが、)自分と違う子を尊重するという点においては、うまくリンクできていたと思う。つまり、特殊能力が使える主人公を見込み違いだったと見放すキャラクターがいる(やや大人向け)一方で、(その忌まわしき力を疎んじるのではなく、)すごい才能だと褒めるキャラクターがいた(子ども向け)。子ども向けアニメと大人向けアニメは本来大きく機能が異なる。そこをうまくつなげないと、子ども向けアニメと(一見)大人向け(に見える)演出でちぐはぐになってしまう。

 

なぜ子ども向けアニメで大人向けが許されるのか?

これは散々言われていることだが、子ども向けの玩具やゲームを売るには、大人の心を掴む必要がある。大人にウケる演出や設定はある程度求められているだろう。日曜朝の特撮番組においてはそれは顕著で、親世代にウケのいい湘南乃風や綾小路翔を主題歌アーティストに起用したり、大御所俳優やお笑い芸人をキャストに迎えたりしている。しかし、どんなに難しいテーマであれ、子どもに対して教育的であることは変わっていないはずだ。大人にサービスすることは、いわば本筋ではなく、横道にすぎない。なので、「社会の闇の中で強く生きていく俺、カッケー」というように、大人の共感を集める演出を主流化することは好ましくないはずだ。情報の隠蔽をクールにかわす主人公ではなく、情報隠蔽に果敢に立ち向かい、フェアじゃないと訴えかける方が、子ども向けアニメにおいてはより適切だと思う。大人の心だけ掴んで、子どもに向けていない、子どものためになっていない子ども向けアニメは不適切である。

 

子どもへのウケ

子どもへのウケとひとくくりにしてしまったが、実際のところ、かっこいい(可愛い)と面白いは区別しなければならない。もちろん、かっこいい・可愛いは大人にも通じる概念である。

 

さて、今回、冷酷な性格に見えるライバルキャラとメルヘンなマスコットキャラ、ゲームを意識したポップな演出が、うまく噛み合っていなかったように感じた。「ドロップ」を3つ合わせて「コンボ」を作るというのがこのアニメにおける攻撃方法なのだが、その「コンボ」に対して、カタカナの字幕が出て、マスコットキャラクターが「4コンボデビ」(デビは語尾)と言う。ライバルキャラが自分で「4コンボ」と叫ぶ(字幕なし)手もあったと思うが、販促を意識してか、やろうとしていることに対して、演出が可愛くなってしまっている。今回、玩具の対象年齢が6歳からということで、小学校低学年にウケのいいキャラクターを出すこと自体は間違っていない。だが、かっこよさがうまく伝わらなければ、ライバルキャラに対する子どもの人気は下がるだろう。

 

子ども向けはあくまで子ども向けで

以上のように、大人向けと子ども向けのバランスは、子ども向けアニメにおいて大変重要だ。大切なのは、大人向けに見える演出等を子ども向けにうまく統合すること、大人向け演出等をあくまでサブの要素にすること、かっこいいと面白いを一緒くたにしないことだと思う。いくらパズドラがもともと大人向けだったからといって、大人に媚びすぎると、パズドラクロスというIPは確実に失敗する。このプロジェクトはあくまで子ども向けとしてやるべきで、大人も面白いと思える部分が少しあればそれでいいのだ。言い方は悪いかもしれないが、子ども向けアニメに「幼稚だ」などと文句を言うぐらいであれば、大人はスマホでパズドラをやっていればいいのだ。

 

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