黒神ダイナと虹野ゆめ まったく違う2人がなぜ同じ記事に!?
先週から好ましくない方法で勝利を得てしまった人が2人生まれてしまった。1人は『ベイブレードバースト』の黒神ダイナ、もう1人は『アイカツスターズ!』の虹野ゆめだ。2人はまったく違うジャンルのキャラクターで、まったく違う方法で勝利をもぎ取ってしまったのだが、勝利を得る過程には似ている部分もある。今回は、それをまとめた。
『ベイブレードバースト』
『ベイブレードバースト』は、コマ型のホビー玩具・ベイブレードを競わせる競技に打ち込む少年たちの青春を描く。主人公の蒼井バルトは、全国大会ベスト4の幼馴染と地区大会決勝で戦うために猛特訓し、トーナメントを勝ち上がった。その途中で対決したのが、黒神ダイナだ。ダイナには病気の弟がおり、喜ばせたい一心で卑怯な手を使ってバルトに勝とうとした。ダイナはバルトに試合前に練習試合を申し込み、わざと負けた。負けたのはバルトのシュートを研究するためで、本番には完璧に対策をして挑んだ。練習試合に勝ったバルトのベイをバラバラにするなど*1、ダイナは悪意に満ち溢れていた。しかし、純粋なバルトと純粋に向き合うことでベイバトルの楽しさを思い出し、改心した。バルトには逆転負けを喫したが、弟は笑顔だった。
第23話「孤独のデスサイザー」では、そんなダイナが、別の大会の2回戦で全国レベルの強敵・南翠ユーゴ*2と対決した。弟を笑顔にするためにやっていたベイブレード。最初はどんな卑怯な手を使っても、勝てば弟を笑顔にできると思っていた。でも、バルト達と出会ってから、正々堂々、全力で楽しくやるのがベイだと気付いた。あれから弟はすっかり元気になり、病室で人形劇の練習をしていた*3。しかし、負け続きの自分から抜け出したい、勝って仲間の期待に応えたいダイナは、反則技を使ってしまった。相手の目を眩まし、シュートを妨害したのだ。ダイナには試合中に悪魔の囁きが聞こえていて、それにそそのかされてしまった*4。
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『アイカツスターズ!』
『アイカツスターズ!』は、アイドル学校を舞台に少女たちがアイドル活動をする『アイカツ!』の続編にあたる。今作では、結果にかかわらず相手の努力を讃えた前作終盤とは打って変わって、初心に帰り、対決を重視した構成になっている。主人公の虹野ゆめは、四ツ星学園の生徒であるトップアイドルユニットS4の白鳥ひめに憧れて同校に入学した。入学直後のステージで不思議な力を発揮し、S4や学園長の目に止まるが、その力が発揮されない時の実力は優等生の桜庭ローラに遠く及ばなかった。
第21話「勝ちたいキモチ」では、歌組1年生のCDデビューオーディションの開催が告知された。ローラとは仲良くなったけれど、ゆめにとって格上のライバルであることに変わりはない。ローラに勝ちたい。ゆめは猛特訓で実力をつけ、ローラと一緒に最終オーディションまでたどり着いた。ところが、そのオーディションが出来レースだと知ってしまったゆめは、「あの力」*5を使ってしまう。
得たものと失ったもの
2つのアニメはどちらも正々堂々戦うことをテーマにした回だった。ベイブレードでは、目眩しという反則技で、アイカツスターズでは、特殊能力で相手に勝ってしまった。どちらも心の乱れによって力を使うことを考えてしまい、実行に移してしまった。ゆめとダイナは勝ったことで一時的に賞賛を得たようだが、何かを失ったようである。間違った方法で勝利を手にしてしまったことをどう償っていくか、この間違いによって与えられる天罰は何かというところが今後のポイントになるだろう。
誤った逆転の一手
さて、その心の乱れには、両者で一致する部分がある。どちらも、相手に対して有利な情報を手に入れた後、勝ちたい一心で勝つための最終手段を使ってしまったのだ。ゆめの場合は、オーディションが出来レースであるというローラに対して有利な情報を手に入れた。その後、幼馴染の七倉小春から「あの力」を使えば勝てると言われ、この結果に至った。ダイナの場合は、ネットで調べてもユグドラシルの弱点が見つからず、自分に対して有利だと悟った後、反則技を掲載しているサイトを見つけた。どちらも、不利な状況を覆したい一心でよくない方法を使ってしまったのだ。
ライバルと友達
一方、ふたつのアニメには大きな違いがある。まず、アイカツスターズは親友同士の対決であり、ベイブレードバーストは知り合い同士の対決である。ゆめの気持ちは、相手はたしかに友達だけれども、勝負では勝ちたいというものだった。一方、ダイナは観客として見守っている友達の期待に応えたい一心で、反則技を使ってしまった。もちろんダイナは相手が強敵であることを知っているが、相手はローラと違って大切な人というわけではないので、相手に対する葛藤はほとんどない。相手が友達か他人かで、主体の心の動きは大きく変わってくる。
身体能力と違法な道具
それから、特殊能力と卑怯な技では行って来るほど違う。ゆめの力は確かに自分の力だが、その力は自分の身体を傷つけるものであり、能力者でないものを蹴落としてしまうフェアではない力だ。対してダイナがやったのは、道具で相手の目を眩ませるという卑怯な行為であり、自分の身体能力や才能とは全く関係ない。もちろん、どちらも心の乱れから至ってしまった結果であり、自分の心を傷つけていることに変わりはないのだが、卑怯な行為として一緒くたにしてしまうことには多少問題がある。
誤った勝利の先には
今回、不運にも勝利を手に入れてしまった2人は、これからそれ相応の天罰を受けることだろう。これらの世界に口出しできない我々視聴者は見守ることしかできないわけだが、望まない展開になったからと言って視聴を打ち切ったり、迷惑なアンチに変貌したりすることだけは極力避けてほしいものだ。
*1:今作のベイは構造を分解すると一本勝ちになるというルールで、簡単にバラバラになる。
*2:数話前まで修行編として、ユーゴの所属する道場で団体戦形式の練習試合を行っていた。ユーゴとは当たっていない。
*3:数話前に転校したクラブメイト・緑川犬介から人形劇を教えてもらったらしい。
*4:前夜、相手のベイであるイェーガー・ユグドラシルの弱点を調べていたところ、反則になる勝ち方を掲載するサイトを見つけてしまった。その時はその情報を受け入れていないつもりだった。しかし、ランチャーに細工をしてあったようにも見えるため、その時点でそそのかされていたのかいないのかは不明だ。
*5:白鳥ひめ曰く、実力以上の力。ゆめは初めて「あの力」を使ったとき、ステージ上で倒れた。その後も、ステージ終了後に咳き込むなど、身体に何らかの負担がかかっていることがうかがえる。