ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『アイカツスターズ!』舞台は努力の積み重ね

『アイカツスターズ!』第25話「ブロードウェイ☆ドリーム」

今回は、恥ずかしがり屋の七倉小春にスポットライトを当てたドラマ回だった。ステージに立つショーダンサーの様子を描いた舞台『ブロードウェイ・ドリーム』を上演することになった四ツ星学園の生徒たちが、舞台づくりのために奮闘する様子が描かれた。

 

ドラマ回とは

データカードダス「アイカツ!」および「アイカツスターズ!」筐体において、ドラマというジャンルで扱われているステージを元にした回のこと。普通のステージと違い、キャラクターが歌ったり、ダンスしたりする様子が映し出されず、ショートストーリーが展開される。そのため、アニメにおいてもダンスCGがなく、通常の作画のみで構成されている。データカードダス筐体で使われる楽曲は、クライマックスに挿入歌として流れる。

 

ドラマオーディション回

ドラマ回にはドラマオーディション回とドラマ回がある。ドラマオーディション回とは、ドラマの配役を選ぶオーディションを中心に描いた回で、オーディションに挑む心構えをするAパートと、オーディション本番のBパートで構成されることが多い。オーディションと言っても、本番さながらのセットで行われている。掛け合いの相手として、他のレギュラーキャラクターが登場することもあり、非常に賑やかである。Aパートでした心構えがBパートのクライマックスで生かされることもあり、数々の名場面を生み出した。ちなみに、本番さながらというのは、アクション映画にも当てはまり……

 

ドラマ回

一方、ドラマ回では、配役が決まった経緯がほとんど描かれず、ドラマそのものをほぼ1話かけて描く(つまり、劇中劇)。撮影を終えた生徒や観客として来ている教師陣が、ドラマや劇を観ているという設定の回が多く、ところどころでツッコミが入る。

 

『アイカツ!』1年目・2年目ではもっぱらドラマオーディション回だったが、3年目からドラマ回が登場した。この回では、劇中での役名が設定されず、「(役柄)の(キャラクター名)」という形で扱われることが多い。(例:アイカツ先生 紅林珠璃) ただし、いつものキャラで通すわけではなく、男性や太った女性という設定になったりする。ドラマオーディション回は奇想天外な展開が特徴だが、ドラマ回は変なキャラクターで笑わせてくるという印象がある。

 


今回の特徴は、(ドラマ回であるにもかかわらず、)話のほとんどを準備に充てたことだ。文化祭を舞台にして、「みんなで作る」という要素を最前面に出していた。そのため、Bパートでも舞台を作る様子が描かれていた。この回は、ブロードウェイの夢のようなステージも幾億の努力が積み重なってこそ存在するのだ、というメッセージを包含しているように思われる。そんな影の努力を描いた回だった。

 

提案をカタチにすること

今回、後輩の意見を積極的に受け入れ、それを実現させようとするシーンがあった。上司にあたる如月ツバサは、1年生の舞台監督補佐・虹野ゆめに意見を乞うた。後輩の指導に余念がないツバサならではのことだが、これによって、舞台を作ることの大変さが身に沁みてわかった。機材の不具合で事前映像が映せなくなってしまったとわかったとき、ゆめは既に、観に来てくれた両親に「ちょっとした仕掛け」があることを伝えてしまっていた。両親を裏切れないゆめは、事前映像の代わりに、ステージ上でそれをやることにしたのだった。

 

予定していた内容ができなくなること自体はアイカツ!シリーズではよくあることなのだが、とりわけ今回は予定していた内容の準備をしっかり描いていただけに、苦労を水の泡にしないための努力がしっかり描かれていたと思う。提案をカタチにするには、多くの人の努力が必要で、ときに大きな障害もある。それを機転というよりは努力で乗り越えるのが『アイカツスターズ!』だという風に感じる*1。四ツ星学園ニュースの白鳥ひめではないが、華やかな舞台の裏にも、多くの人の努力があるのだということを教える回だった。

 

知識を蓄える努力

そうした提案をするには、根拠たりうる情報が必要だ。単なる思い付きで面白そうなことを言えばいいのではなく、きちんと調査をして、どういった内容がその場に適しているのかを見極めなければならない。今回は、S4が小春を衣装やメイクで変身させるシーンがあった。それを見た後輩たちは、S4がショーダンサーに関する知識を持っていることに気づき、勉強をした。その結果、ショーダンサーを題材にした作品では、舞台裏を描くのが定番であることに気づき、それを舞台に取り入れた。プロジェクターのトラブルで一旦は、企画倒れになったが、他のスタッフの協力で実現することができた。華やかな舞台づくりのためには、知識を得るための努力も必要なのだ。

 

七倉小春の変身

一方、この回の実質的な主役は七倉小春だった。小春はアイドルや芸能に関する知識が豊富だが、実技になると運動音痴が祟ってうまくいかないことがある。今回は、初めての舞台ということもあり、ガチガチに緊張していた。しかし、S4が魅力を引き出した(プロデュースした)ことで、全く違う姿に変身することができた。

 

実は小春には魅力があるが、本人がそれに気づいていないだけという可能性もある。香澄朝陽(夜空の弟で真昼の兄)が小春に惚れたのも、魅力があるからであって、ステージ上でセクシーになったのも、魅力を付け足したのではない。小春は、自分の輝きに気づいていなくて、遠慮がちになっているだけなのだ。(それを引き出してくれたS4は今回のMVPかもしれない。) 小春が真にセルフプロデュースしていく様子が今後のアイカツスターズの見所だと思う。香澄家と因縁が深い小春の行方にも目が離せない。

 

第4話との違い

第4話「いつだって100%!」でも、TV番組のスタッフという形で仕事をしていた。あの回も、「華やかに見える芸能界は、実は努力の積み重ねでできているのだ」という内容だったと思う。でも、あの回では、1年生はスタッフの命令に従って動いているだけの雑用で、提案をすることができなかった。あの回の舞台裏はほとんどが体力勝負であって、出演者が忙しい合間を縫って差し入れを作っている、という努力を描いているに過ぎなかった。あの回に比べて、努力の幅がぐんと広がっているように思える。それにしても、ツバサ先輩は山口FDに比べて聖人だ……


今回は、学園祭の劇を舞台に、舞台裏の努力を描いた回だった。次回はどうやら、復学した白銀リリィが怪我をしたゆめの代役をするようなので、彼女がする努力に期待したイーゼル。よろしクレヨン!

*1:『アイカツ!』で予定していた内容ができなくなった例としては、STAR☆ANISのツアーにおける停電や、「大スター宮いちご祭り」の衣装が届かないトラブルが挙げられる。どちらも、その場の機転で物事が動いているように思われる。一方、星宮いちごがライブとCM撮影をダブルブッキングしてしまった回では、出演しない北大路さくらが代わりにいちごのパートに入り、振り付けビデオを撮っている。こういった回では、たしかに誰かの努力があった。

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