『パズドラクロス』第14話「帰ってきたエース」
『パズドラクロス』第14話は、エースがギルド龍喚士になったことを報告するため、故郷・ビエナシティに戻ってくるという話だった。一見以前と変わらない平和な街だったが、裏ではSDF(特殊ドロップ防衛隊)がドロップインパクトにかこつけて、支配を強めていた。市長とSDFは密接な関係にあり、両者は街からギルド龍喚士を排除しようと企んでいる。モンスターが暴走した際は、1話と同様、戦車でモンスターに砲撃した。しかし、砲撃ではモンスターはかえって暴走し、被害が拡大してしまう。しかも、SDFはエースもろとも撃ってきた。このような厳しい状況でエース達は、先輩龍喚士たちが見守る中、モンスターの暴走を鎮めるのだった。
1話と同じ光景を
エースの成長
今回は、1話と同じようなピンチを作ることで、エース達の成長を明確に表現した。ギルド龍喚士になってモンスターを従えているエースは、ランスには及ばないものの、一人前の龍喚士として暴走するモンスターに抗戦した。ほとんどランスの戦いを見ているしかなかったあの頃とは違い、リーダースキルやモンスターのスキルを駆使して、モンスターに果敢に立ち向かっていた。
母・レナはエースが父・キングのように戦いの中で行方不明になるのではないかと心配していたが、エースはむしろ、母を守る側に変わっていた。母はエースに対し、身長が伸びたと成長を示唆する言葉を発していたが、幼馴染のハルも(ランスには及ばないが)かっこよかったと言っていて、龍喚士として一人前になったエースが承認されていることは明らかだった。
振り返る絶好のタイミング
14話は、物語の世界観とテーマを再確認する回だった。たしかに、1話では、まさに嵐のように物語が展開して意味がわからなかった。だが、2クール目の初めに再びはじまりの街に戻ってくることで、より鮮明になった世界観を視聴者に改めて提示している。つまり、「元々はこういう物語だったよね?覚えてる?」ということを視聴者に確認しているのだ。
この話数では、何も変わらないようで状況が一変した街に主人公を戻し、世界の危機に触れさせることで決意を新たにさせた。少し違うが、これは『仮面ライダーディケイド』と似ている。あの作品でも、状況が深刻になった故郷の街(実際には並行世界のよく似た街)に主人公を戻すことで、決意を改めさせていた。この『ディケイド』も、1つの目的が終わった後で街に戻ってきている。目的が終わって故郷に凱旋するときというのは、視聴者に世界観を再提示して、登場人物の決意を新たにさせるには絶好のタイミングなのかもしれない。
鮮明になった世界観
その鮮明になった世界観というのは、下位にある人間が上位にある竜人に挑戦し、竜人は人間を見下しているという関係性と、人間であれ、竜人であれ、龍喚士を好まない存在がいるということだ。
人間 VS竜人
これまで人間と竜人という異なる2つの存在があることが示唆されてきた。竜人は人間よりもモンスターを使役する能力や知性に長けていて、自分たちを人間より優れていると思っている。しかし、人間も、街や人々を守りたいという想いから、龍喚士を目指している。それこそが人間と竜人の大きな違いである。つまり、竜人は個人の思想が強いが、人間は連帯している。現に、本気を出していないランスと戦ったエース達は、連帯パワーでランスを圧倒し、本気を出させた。竜人には、「友情・努力・勝利」の友情の部分がないのだ。
それから、竜人にはドロップが見えていて、人間は龍喚士の素質がある者のみにドロップが見えているというのも大きな違いである。そのドロップを動かしてつなぐことで、モンスターにパワーを与えるのが龍喚士というわけだ*1。このように、人間と竜人、二種類の種族がいて、その両方が龍喚士になれる素質を持っている。
龍喚士 VS SDF
そのような龍喚士を嫌っているのが、SDFである。SDFはモンスターを使役せずに、兵器でモンスターを倒そうとしている。SDFは、ドロップをモンスターの暴走の前兆としか捉えておらず、自然の流れを形成するものとは思っていないようだ。モンスターを使役する龍喚士を危険だとみなしており、今回の事件でも、龍喚士のせいで騒動が長引いたと、事実に反する釈明をしている。
ギルド龍喚士はSDFを嫌っているが、プライドが傷つくからか、表立って批判することはしない。龍喚士自体が市民に正しく認知されているわけではない*2ので、説明することが面倒なのだろう。そういった連中に対して不満を言わないのは、戦士の美学なのかもしれない。
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次回は、タイガーの過去にスポットライトをあてるようだ。現状、エースが1人だけ強すぎるので、タイガーにも何かあるのかもしれない。次回予告がシリアス調だったので、これまでにないシリアスなストーリーに期待したい。