ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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テレビアニメ『BORUTO』 浮き彫りになる社会の皮肉な構造がもの悲しい

忍者の学校生活を通して人の心の闇を描く

人気シリーズ『NARUTO』の続編が現在、テレビ東京にて放送されている。前作は天涯孤独の少年が仲間や周囲の大人に支えられながら、一人前の忍者になるため成長していく様子が描かれていた。続編では、おおよそ逆の状態に置かれた息子とその仲間たちの様子を描いている。『BORUTO』は前作から月日が経った世界で、大人になった前作の主人公たちと新世代の子どもたちとの関わり合いを描いた作品だ。

 

『BORUTO - NARUTO NEXT GENERATIONS-』とは

第4次忍界大戦で活躍し、世界を救った英雄・うずまきナルト。彼とその伴侶・日向ヒナタとの間に生まれた男の子・うずまきボルトは、「アカデミー」に入学し、忍の道を歩むこととなる。ボルトはナルトの友人の子どもたちを含む仲間たちと交流しながら、学校生活を送る。しかし、周囲を取り巻く人々が何らかの悪の力によって暴走する事件が相次ぐ。ボルトは自身の眼に宿った不思議な力を使いながら、事件を追っていく。

 

 

 

誰の子どもであるか

ボルトは、自身がナルト(現在は里長に当たる火影である)の息子であるという事実を拒否している。忙しくてボルトの面倒を見てやれないことにも原因はあるのだが、ナルト自身も火影の息子であり、しかも出生とほぼ同時に両親を亡くしている。子どもとの接し方がわからないのにも無理はあるまい。ボルトの忍術の師匠はナルトの弟子・木の葉丸であり、影分身の術はすでに会得しているようだ。もはやナルトが父である意味が失われている。


ボルト以外のキャラクターも両親が意識された設定になっている。外見は両親の特徴を受け継いでおり、使用する忍術も親のものである。ただし、悪い性格も受け継いでいる場合がある。暗殺者の息子である山中いのじんは物をストレートに言い過ぎる。父親は日常的なコミュニケーションが苦手で、それを受け継いでいるようだ。一方で、父・サイが使う超獣偽画*1という術も受け継いでいて、それをよりカラフルに進化させている。


今作(アニメ)オリジナルキャラクターでは、企業の社長の息子でありながら、父の期待に背いて忍を目指すという雷門デンキもいる。こうした忍の家系ではない人を出すことで(前作にもいるにはいる)、親と子との対比というコンセプトをより明確にしている。

 

いい大人とは何か

基本的に、このアニメの大人は無理をしている。大人になったから自動的に大人らしくなるというのではなく、大人にも未熟な部分はあるのだという考え方だ。寡黙な男性教師が子どもたちのために明るく振る舞うというのがその典型的な例だ。騒がしい問題児学級を持っているこの教師は心の闇を抱え、第5話でついに悪に操られてしまう。


その他には、子どもが学校で叱られて帰ってきたとき、子どもは怒られて成長するものだと擁護して、かえって妻に怒られる夫(というかそれを怒る妻)もいて、大人が大人でいることの難しさを描いている。前作の大人がどうしようもない熱血漢や、成人向けの本の執筆者・その愛読者、酒豪などだったこともあり、大人になった子どもたちがいい親・いい大人であろうとして無理をしている感は強く感じられる。

 

心の闇との戦い

『BORUTO』では、心の闇が前作よりも直接的にわかりやすく描かれている。物語の序盤では、心の闇を抱えた人達に謎の力が乗り移り、怒りのパワーを放出させる。例えば、メタル・リーには緊張に弱いという弱点がある。緊張して失敗したときに友達にとやかく言われて、強い負の感情を抱いた。その力によって、建物の外壁にキックを貫通させるなど、パワーが増幅された。


それを忍術で止めるというのがボルト達の戦いなのだが、悪いことを言った子にもスポットが当たり、きちんと反省させる。プリキュアでよくあるフォーマットだが、この回では、視聴者が背景を知っているキャラクターでそれをやったから面白かった。次回も同様のパターンで視聴者がよく知っている油女シノの心の闇を描くようなので、期待される。

 

本筋突入への期待

登場人物の心の闇を描くやり口は、4クールもののアニメの序盤でよく見るパターンだ。これはゲームでいうところのチュートリアルであり、まだまだ本編とは程遠い。むしろ、注目すべきは第5話から登場した謎の少年・ミツキ。サイ以上に話が通じなさそうだ。彼が何者なのか、音隠れから転校してきた意図は何なのか、謎は深まるばかりだ。彼の存在が主題に繋がってくると思うので、ミツキから目が離せない。

*1:巻物に動物の絵を書いて、それを浮かび上がらせ、実際に生きているように動かす忍術。

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