ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『パズドラクロス』第46話 本格的に人種問題に切り込む

人間を守るため、人間を排除する

『パズドラクロス』が架空の世界における移民排斥運動を描いている。竜人と呼ばれる種族で構成されたテロ集団は、脅威となりうる人間を襲い、竜人の首長の一部は人間を排除し始めた。恣に書き換えられる歴史、偏った思想によって否定される現代の生活……そんな中でも恐怖に屈しない人々の様子が描かれる。

 

 

 

第46話「ひびわれた円卓」

竜人中心主義集団・ドミニオンの蜂起によって、人間の安全が脅かされる。古老会議では意見が割れ、竜人である水の古老と人間である木の古老が人間の受け入れを決定。それ以外の3都市は、「人間を守るため」、人間が島から出ていくことを推奨している。水の古老・ヴァハトンはエースに竜人の里・ステラを探すよう命じるが、重要な情報を握るエースの祖母・アンジーヌには護衛に化けたドミニオンの魔の手が迫っていた。

  

難民受け入れか移民排斥か

「人間がドミニオンの脅威に晒される」中、古老の選択が迫られる。人間である木の古老・トーリエは、ドミニオンを街全体の脅威と認識し、竜人を含む町の住民すべてに協力を求めた。同様に、正しい歴史を知る水の古老・ヴァハトンも人間の受け入れを決めている。一方で、光と闇の古老・ジェストと火の古老・エルドラ*1は人間の安全を守るためなら、人間に島から出て行ってもらっても仕方ないと考えている。


人間の龍喚士が竜人の龍喚士と打ち解けあい、また対等に戦っていることからもわかる通り、人間と竜人の壁はなくなりつつあった。人間と竜人が同じ学校へ通う描写もあった。今、人間を人間という属性であることを理由に島から排除するのは、時代にそぐわないと言える。人間差別かどうかは置いておいても、この選択はドラゴーザ島全体の構造を変化させることになるだろう。

 

正しい歴史を知る

ドミニオンが主張する歴史は、後からやってきた人間のせいで竜人の生活が苦しくなったというものだ。一方で、人間のおかげで生活が豊かになったということも示唆されている。竜人が人間のことを考えていないというのもある意味で正しく、人間が竜人のことを考えていないというのもある意味で正しい。


実際に今起きているのは、人間が街からいなくなったことで経済が回らなくなったこと、人間を受け入れた街にもドミニオン派の龍喚士が潜んでおり、人間および人間と親しい一部の竜人が危険にさらされていることだ。ドミニオンが遺跡を拠点にしている(=歴史を保存する場所を占領している)という描写もあった。この現状を以ってしても、人々は歴史を歪曲するドミニオンに従うのだろうか?

 

閉ざされた竜人の歴史

ドラゴーザ島の歴史認識における最大の問題は、竜人の歴史があまりに知られていないことだ。火の街・ガイザー出身のタイガー(人間)ですら、ガイザーが人間によって大規模開発された元・竜人の街であることを知らなかった。今回も竜人の里・ステラのことを人間に知られてはいけないことを示唆する描写があり、竜人の歴史が極めて機密性の高い情報であることがうかがえた。そんな状況では、竜人の歴史が都合よく改変されても仕方ない。

 

そんな大義名分がまかり通ってたまるか

そもそも語られる歴史(≒歴史物語)というのは、史実と解釈で構成されている。本来は史実の上に解釈があるのだが、歴史的虚偽を元に解釈をしてしまうとプロパガンダが完成する。これは現実の江戸しぐさだったり、「昔は良かった」だったりするのだろう。もちろん、史実を元に偏った解釈をすることも可能だ。こうした歪んだ解釈を前にしたときに我々がすべきなのは、正しい史実を認識することである。


そして次週、エースの祖母・アンジーヌと父・キングの過去が明かされる。竜人と人間、2つの種族が交わった一大事件(キングは人間と竜人のハーフ)ということもあり、現実的に考えれば、事実を知ることでエースは歴史を捻じ曲げる集団に対してより強くなれる。もちろん、物語も大きく動きそうだ。

 

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*1:火の街はかつて、竜人の温泉が1つあるのみだった。しかし、人間が温泉街として発展させてしまったため、竜人の一部は不満を感じていた。街は産廃などで汚れ、かつての美しい原風景は失われていたのだ。

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