おもちゃのコンセプトや縦軸の物語に注目!
ドールハウスとお世話あそびを合体させたおもちゃ「ここたま」。
ここたまのアニメシリーズは2018年9月からリニューアルし、「キラキラハッピー ひらけ!ここたま」として展開している。
世界が変わったほか、ストーリーに明確な縦軸ができて、とても興味深い作品になっている。
この記事ではそのアニメを紹介する。
基本設定はそのまま 世界を変更
1作目を見たことがある人は、設定を知らなくてもそのまま見られる。
知らない方も多いと思うので、軽く説明したい。
- モノを大切にすると、付喪神「ここたま」が生まれる。
- ここたまは人間社会の陰に隠れて、人を助ける。
- 「契約者」となった主人公は、ここたまの活動を支える。
でも、前作から変わっている部分もあるので、書き出す。
無償の愛ではなく共通の目的のために
今作では、主人公がここたまをお世話しなければならないという設定を撤廃した。
「母親は子どもに無償の愛を注がなければならない」という前提もなくなった*1。
お兄さん・お姉さんポジションのここたまもいて、主人公への負担は和らいでいる。
(ここたまが主人公の家に住んでいないのもポイント。)
一方で、主人公自身には、町に活気を取り戻したいという使命感がある*2。
ここたまは主人公の活動を助けることで、感謝の証「ハッピースター」を手にする。
主人公とここたまは依存というよりも、協力関係にあるといえよう。
アイテムは手作りではなく骨董品
このシリーズのモチーフはアンティークだ。
というのも、主人公は祖父に代わって、アンティークショップを営んでいる。
アンティークショップや町で見つけた骨董品は、魔法の力でドールハウスに変化する。
現在は、シェードランプのホテル、ティーポットのレストラン、医学書の病院などがある。
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前作は主人公が手作りするという設定だったので、差別化が図られている。
骨董品が変化する設定は、モノを大切にするというコンセプトをより強く反映している。
それから、前作は個別のドールハウスが複数登場する形だった。
今作はドールハウスで町を作るという一貫性がある。
オルゴールのダンスパート
今作で一番力を入れているアイテムが、「オルゴール」だ。
「ハッピースター」を天に打ち上げて町を浄化する儀式が行われる。
その話数の中心となったここたまらが、魔法のオルゴールの上で踊る。
呪文を詠唱する機能はおもちゃにもついていて、音楽も流せる。
ドールハウスにもなっていて、番組中でも活動の中心になっている。
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前作:主人公が親となってここたまの世話をする。
主人公がドールハウスを手作りする。
今作:骨董品店を経営する主人公が、町を守るために、ここたまと協力する。
骨董品のドールハウスで町を作る。
世界設定:魔法の失われた町
ストーリーの話に戻ろう。
ひらけ〜は世界設定がしっかりしているので、登場人物の行動に説得力がある。
主人公が住む桜町は、大きな桜の木に守られていた。
だが、いつしか桜の木は枯れ、町は活気を失くしていった。
ここたまたちも魔法を使えなくなり、町を離れていった。
そんな中で、主人公は「伝説の契約者」の力を手にする。
主人公とここたまは人々の悩みを解決し、町に活気を取り戻す。
ストーリー上で示唆される縦軸の物語
ひらけ〜には、桜町や桜の木の謎という縦軸の物語がある。
桜町には、桜の木の樹洞に手紙を入れると願いごとが叶うという迷信がある。
実際は、主人公と祖父が陰でその願いを叶えていた。
祖父がいなくなってからは、ここたまが協力している。
ひらけ〜では、毎回のお悩み解決が横軸の物語となる。
その中で、風に乗って手紙が落ちてくる理由、町が活気を失った背景などが解き明かされていく。
単発の物語としても楽しめるが、新ここたま登場回などは新情報が出る場合があって見逃せない。
主人公が毎回ゲストの悩みを解決する中で、町に隠された謎に迫っていく。
視聴者の想像をかきたてる世界設定が魅力の作品だ。
長期シリーズでも縦軸の物語は作れる
このような長期シリーズでは、どうしても「ゲストのお悩み解決ばかりでつまらない」という批判が出てくる。
だが、ひらけ〜は長期シリーズ*3にもかかわらず、縦軸の物語を忘れていない。
おもちゃを活躍させる話だけでは、大人の視聴者を引き込むには不十分かもしれない。
お悩み解決の背後に、縦軸の物語を絡ませることが重要だ。
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