CGライブパートの独特の事情
アイカツ!シリーズ初のオールスター作品『アイカツオンパレード!』が放送中だ。
アイカツオンパレード!は、3つの世界が混ざってしまったという設定の作品。
『アイカツフレンズ!』を主軸にし、各世界のアイドルたちがステージを繰り広げる。
既存のライブを使い回したり、完全新作のライブをしたりする。
一方で、既存曲を使ったコラボステージも用意されている。
コラボステージの背景には、このシリーズならではの事情がある。
既存曲のコラボステージ 背景にあるのは?
一部の主人公の髪型が変わっている
主人公の多くがシリーズの途中で髪型を変えている。
キャラをより魅力的にするためとか、区切りをつけたいなどの事情があるのだろう。
このため、髪型変更前のライブが使えない。
アイカツフレンズ!の友希あいねも、髪型が変わった1人だ。
オンパレード!第5話では、あいねが参加したハロウィンステージを大胆にリメイク。
あいねを『アイカツ!』の2代目主人公・大空あかりに置き換えた。
違うメンバーで演れば、
- 新しさを演出できる。
- 好きなキャラで遊べるデータカードダスの宣伝になる。
- ステージを新作するよりも、コストを抑えられる。
スタッフはみごと、問題をチャンスに変えた。
CGを作る会社が違う
シリーズによって、CGを作る会社が違う。
アイカツ!時代のCGは別の会社が作っている。
また、アイカツフレンズ!の世界に合わせて、キャラクターデザインも若干変わっている。
そのため、今の会社で作り直す必要がある。
あかりのハロウィンステージは、そうした事情もあるのだろう。
声優と歌手を混ぜるための試行錯誤
アイカツ!とアイカツスターズ!では、歌唱担当の歌手が唄を歌っている。
アイカツフレンズ!では、声優が歌っている。
歌が専門の歌手と、演技が専門の声優。
歌い方に違いが出てしまう。
コラボ楽曲を作るには、歌手と声優の声を違和感なく合わせる必要がある。
既存楽曲のコラボは、そのテストとしての側面も大きいのではないか?
現に、後述するコラボ新曲では、改善の兆しがある。
今後の楽曲にも期待したい。
アイカツ!特有の問題:
キャラクターの髪型が変更され、一部のCGが使えない。
CGを作る会社やキャラクターデザインの違いがある。
歌手が歌うシリーズと声優が歌うシリーズがある。
その他のステージ
レジェンドのための完全新曲のステージ
初代主人公・星宮いちごの初代ドレスを宣伝したい。
でも、『アイカツ!』の1年目のCGは、今のCGに比べて見劣りする。
そこで、アイカツオンパレード!では、新曲を使った完全新作のステージを作った。
1年目はいちごの専用曲がなかったので、曲をつけるよい機会にもなった。
この曲では、アイカツオンパレード!の主人公・姫石らきとのコラボステージもあった。
初代主人公として、よいところを見せられた気がする。
既存曲の既存ステージは完全に使い回し
コラボがない完全旧作のステージもある。
その場合は、当時のCGにほとんど手を加えずに放送する。
旧作とオンパレードでキャラクターデザインに違いがあるが、ここでは無視されている。
オンパレード8話で放送されたDance in the rainは、アイカツ!の劇中で一度しか使われなかった。
非常にレアな映像であった。
面倒くさいポイントは徹底的に無視
ところで、アイカツスターズ!からカードが印刷式になった。
また、シリーズごとに「アイカツシステム」やカードのデザインが違う。
他にも、いろいろと違う部分がある。
アイカツカードは仮面ライダーの変身ベルトと違い、仕様を統一しなければならない事情がある*1。
整合性を持たせるのはかなり面倒だ。
だが、実はそこに関する説明は一切していない。
シリーズの目玉だった着替えバンクはカット。
アイカツシステムやカードの違いにはまったく言及していない。
とはいえ、進化して無くなったはずのドレスを着ているシーンもある。
深く考えたら負けということだろうか。
アイカツ!はコラボしやすい 競合コンテンツとの違い
アイカツオンパレード!は4世代・3作品・3つの世界をまたいでいる。
そんなコラボはなぜ順調なのか?
受け継がれるフォーマット
アイカツ!シリーズでは、同じ構成のライブを続けてきた。
そのため、シリーズの別作品とコラボしても違和感がない。
競合する別のコンテンツでは、シリーズごとにライブの構成が違う。
さまざまなアイテムが登場し、さまざまなセリフが入る。
そのコンテンツの劇場版では、特定の作品のフォーマットに合わせたコラボステージもあった。
よく似た別のキャラという想定で、レジェンドアイドルがステージを披露した作品もある。
だが、それぞれのよさを残したままのコラボステージというのはなかなか難しい。
同じ方式のライブを続けてきたのは、アイカツ!シリーズの強みといえよう。
TVサイズを切れ目なく放送
ライバルコンテンツでは、ライブ中にセリフやモノローグを入れることが多い。
あるいは、別の場面を挿入して、CGを省略する。
そうすると、本編では感動やライブ感を味わえるが、オールスター作品には向かない。
しかし、アイカツシリーズでは、ほとんどの曲を1回はTVサイズで放映する。
必殺技にあたるスペシャルアピールもセリフがない。
文脈から切り離して、ライブを放送できる。
視聴済みのネットユーザーが既存ライブを初出と勘違いするのは、文脈から切り離されているなによりの証拠だ。
ライブの無理やり感が課題
楽しいオールスター作品。
今作ではたくさんのライブが見られるよう、1話のライブを3回に増やしている。
でも、ライブを増やしすぎると、無理やりねじ込んでいる感が出てしまう。
ライブにはキャラの顔見せ・紹介という側面もある。
しかし、ユニットのメンバーを紹介するために、わざわざ3人分のソロライブをやっている回もあった。
ユニットライブを3種類放送するとか、説得力のあるストーリー構成にするとか、いろいろ方法はある。
そこがスタッフの腕の見せ所だろう。
*1:今作はデータカードダスの販促番組なので、カードのデザインを現行のゲームに合わせる必要がある。その点では、旧作のベルトをそのまま出す仮面ライダーとは違う。なお、ゲーム内では旧作のドレスが復刻していて、その販促も求められている。