とある地理教師の指摘 村の作画に違和感
「集落の構造に違和感がある」
とある地理教師が人気アニメの1シーンに対してコメントした。
村を上から俯瞰(ふかん)したシーンを見ても、村の発展の過程が想像できないというのだ。
それに対しては、たかがアニメなのに、目が肥えすぎているとの批判もある。
でも、この教師の指摘は意外と重要だ。
視聴者はアニメを見て、納得したいのである。
弓道警察:所作が間違っているとの指摘
アニメ界隈でたびたび話題になるのが「弓道警察」と呼ばれる問題だ。
弓を引いて敵を倒すシーンはかっこよいし、アニメ映えする。
しかし、弓の引き方などの所作が間違っているとの指摘も多い。
そうした間違いを警察のように取り締まろうとする人を弓道警察と呼んでいる。
大方のアニメファンは、かっこよいのならそれでよいという考えである。
弓道警察は、アニメにケチをつけたいだけの厄介者扱いされている。
とはいえ、描写の正しさはアニメ関係者からも問題視されている。
ある現場では、お座敷遊びをした経験がなく、それを正しく描けないというスタッフもいたようだ。
弓道警察問題は、作画を叩きたいアンチがギャーギャー騒いでいるだけではないのだ。
知識と監修:正しさとオリジナリティの両立
正しい描写には、知識が求められる。
勝手な空想で風景を書いてしまうと、「作画崩壊」につながりかねない。
中には、正しい写真を模写・流用して風景を作るアニメもある。
そのような作画法には「ずるい」との批判も多い。
目の肥えた視聴者は正しさとオリジナリティの両立を求めている。
でも、アニメーターで地理にも詳しい人は限られる。
通常のスタッフだけでは、その両立は難しいだろう。
テレビ番組では、そうした問題をカバーするため、専門家を雇う場合もある。
実際に、NHKの大河ドラマでは、歴史考証に多くの専門家が起用されている。
それは潤沢な予算が前提であり、低予算の深夜アニメでは限界がある。
考察が楽しいという人も
作品内での矛盾について、楽しく「考察」する勢力もある。
『空想科学読本』が有名である。
この本では、フィクションの中で起こる科学的な現象について、実際に起こったらどうなるかを考える。
ヒーローの必殺技の仕組みや、サッカー漫画のキックの強度まで扱われている。
そのように、作品内での描写が正しい前提で「なぜ?」を考える人もいるのだ。
今回の地理の問題でも、一般ユーザーから様々な意見が聞かれた。
「集落が移転したのではないか?」
「軍用地なので、土地の使い方が変則的だったのでは?」
「私の周りには、実際にそのような地形がある」
このようなアニメ・マンガの楽しみ方もアリだと考える。
違和感を覚えた時点で、あなたは作品の世界に入り込んでいる。
弓道警察:アニメ内の描写について、間違いを指摘する。
考察勢:なぜそのような現象が起きたのか、理由を考える。
テレビ業界:専門家の監修を受けるなどして、正しさとオリジナリティを両立する。
角の立たない批判 角を立たせる信者
中にはアニメに対して、クレーマーじみた理不尽な批判をする人もいる。
一方で、一切の批判を許さない過激なファンもいる。
ちょっとアニメに違和感を感じただけという人も、ある程度気をつけなければならない。
言葉ひとつでクレーマーとみなされるおそれががある。
「面白くない」などの強い言葉を使うと、ポジティブな意図であっても、クレームになってしまう。
今回の地理の教師も「気持ち悪い」という言葉を使っていた。
実際には、改善点や考察を添えていて、クレーマーではなかった。
しかし、クレーマーと捉えた人からの非難は止まない。
一切の批判を許さない過激なファンは「信者」と呼ばれる。
信者は言葉尻を捉えて、どんな建設的な批判にもつっかかる。
こうしたリプライや引用リツイートに遭ったら、ブロックや鍵垢*1を検討したい。
*1:ツイートを非公開にする設定のこと。ツイートが見られるのはフォロワーだけで、フォロワーもリツイートできなくなる。スマホ版Twitter公式アプリでは、設定とプライバシー>プライバシーと安全>オーディエンスとタグ付けから設定できる。