CGの技術・歌唱担当も成長する!?
『アイカツ!』の目玉といえば、CGを用いたライブパートだ。
この番組のCGは最初の2年間で目覚ましい発展を遂げた。
CGの専門誌に取り上げられ、プロからも注目されていた。
それから、楽曲にも力が入っている。
メタルからエスニック系までさまざまなジャンルが登場する。
子どもに向けたクオリティの高い音楽を味わってもらいたい。
この記事ではCGと音楽を中心に、初代アイカツ!のライブパートを説明する。
CGの進化 最初は足が棒だった
キャラを模したCGが動いたからといって、ライブパートになるわけではない。
アイカツ!の放送開始当初は鼻で笑われるような出来のCGだった。
ダンスの動きを再現しているものの、手足が棒のようだった。
それが2年間で大きく進化し、CG界隈で話題になった。
アニメの絵に寄せつつ、人間らしい肉付きにした。
メンバーの動きが遅れるなど、細かい描写もできるようになった。
2年目では、照明の当たり方もうまく調整されている。
「Sweet Sp!ce」という曲は表情がとても豊かで、光の表現が優れている。
アイカツのライブパートとは?
ライブパートの流れは以下の通りである。
細かな違いはあるものの、のちのアニメシリーズでもほぼ同じである。
- 「アイカツシステム」と呼ばれる機械に「アイカツカード」をセットする。
- 光のゲートが開き、アイドルはその中に走っていく。以後、CG。
- 走りながら、カードに描かれたアイテムを身にまとう。
- ステージに降り立ち、ライブが始まる。
- クライマックスには、必殺技に当たる「スペシャルアピール」の演出もある。
キャラの周りには「アイドルオーラ」が渦巻き、強さがわかる。
花や蝶など、アイドルによってさまざまなデザインがある。
登場人物はそれを感じることができるが、映像として見えているのは視聴者だけという設定である。
ステージは、アイカツシステムによって作られたバーチャル空間だ。
デザインがリアルなステージもあるが、宙に浮いていたり、メルヘンだったりもする。
観客の表現 フェブリスメーター
アイカツの観客は、頭に特殊な装置をつけている。
これは、観客の盛り上がりを測るためのものである。
盛り上がりの指標として「フェブリスメーター」というゲージが設定されている。
観客のボルテージが上がると、特別なスペシャルアピールが出せたりする。
オーディションなどで勝敗の指標になったりもするが、そこまで気にしなくてよい。
ちなみに、CG内にも観客が登場する場合がある。
その表現も、話数を重ねるごとに進化していく。
観客が無駄に豪華な場合、予算やスケジュールに余裕があるんだなと思ってもらえればよい。
競合作品との違い
CGのみで描ききるライブパート
今作のライブパートは基本的に、CGのみで描かれる。
深夜帯のアイドルアニメでは、一部に作画が挟まれる場合がある。
予算や技術面の問題があるためと考えられる。
だが、この番組では作画による表現はあまりなく、ほぼCGで描ききる。
基本的に、ライブ中にモノローグやセリフを挟まない。
あなたが音楽を聴くのを邪魔しない。
(省略がなければ、)最後までライブを楽しむことができる。
中には、「CGだけでは成功・失敗・強さ・弱さが分かりにくい」との声もある。
この点は、話数を重ねるごとに改善していき、4年目(あかりジェネレーション2年目)までには分かりやすくなっていく。
その点での成長も見守ってもらえればと思う。
ライブ内演出:アピールが物語のカギに
ライブパートは、プリティーシリーズ(プリティーリズム、プリパラなど)とは違う部分も多い。
属性・ブランドごとに、固有のアピールが用意されている。
キャラやストーリーを意識したプリティーシリーズとは異なる。
アイカツ!の場合、アピール名を叫ばない。
ゲームでは技名が設定されているが、アニメでは明かされない事が多い。
とはいえ、ストーリー中でアピールの特訓をする描写が多い。
むしろ、アピールを出せるかどうかが物語のカギである場合も。
スペシャルアピールの成功は、印象深いものになるだろう。
一部のドレスでは、ライブの最初に固有の演出も入る。
そちらにも注目してもらいたい。
コーデ:お行儀がよい 翼付きのコーデも
プリパラと比べると、お行儀のよいコーデが多い。
「ポップ」属性では派手なデザインのものもあるが、うどんを丸ごとデザインしたコーデなどはない。
最大の特徴は、翼のついたコーデだ。
競合のプリティーリズムが先駆者だが、アイカツはデザインが多様である。
翼が前提のデザインで、飾りがついて賑やかなものも存在する。
このシリーズには、アイドル学校の設定を活かしたコーデもある。
学校の指定コーデという設定で、共通のコンセプトのものが用意されている。
一方で、個人が競い合う回では、まったくコンセプトの異なる衣装が並び立つ。
コーデの解説は着替えバンクに入る前に、本編中のセリフで行う。
特別なドレスをもらう回など、コーデがストーリーに大きく絡むことが多い。
単なる服ではなく、意義深いものになっている。
アイカツ!の楽曲
歌唱:声優ではなくアイドル歌手
今作の楽曲は、声優ではなく「秋葉原ディアステージ」所属のアイドルが歌唱する。
平たく言えば、でんぱ組.incの後輩。
一部の曲には、当時でんぱ組.incに所属していたメンバーも参加した。
大人のファンには「声が違う」と不満を言う人もいた。
たしかに、明らかに声質の違うキャラがおり、彼らの言い分はわかる。
しかし、歌唱専門ならではのメリットがあった。
さまざまな場所でライブをできる上、歌唱メンバーが違うバージョンも多数作られた。
これは声優による歌唱では、実現が難しかったはずだ。
なお、本編には10人以上のキャラが登場するが、8人のメンバーが「演じ分け」ていた。
職業の違いはあるかもしれないが、彼女たちも立派なキャストといえよう。
彼女たちの一部は現在、Mia REGINAとして数々のアニメソングを担当している。
アイカツが輩出したのは、声優だけではない。
本気の作詞・作曲 多様な音楽
今作では、プロが本気で作った多種多様な音楽を楽しめる。
楽曲制作は主に、クリエイター集団「MONACA」が担当している。
アイドルマスターシリーズや、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」の楽曲も手掛けている。
歌詞は中学生の等身大の日常を歌ったものから、「残酷」「絶望」などの不穏な内容を含んだものまで幅広い。
ラブソングや、ライバルとの関係を歌った曲もある。
中でも、「カレンダーガール」は大人のファンからの支持が強い。
何気ない中学生の日常を歌いながらも、大人にはノスタルジーや、ある種の罪悪感を抱かせる。
これが月曜日の夜に放送されていたのだから、たまったものではない。
曲は歌いやすさよりも、多様性が重視されているように感じる。
「硝子ドール」は本格的なメタルだと話題になった。
インドを彷彿とさせる「kira・pata・shining」や、しっとりと歌い上げる「同じ地球のしあわせに」などの曲もある。
音楽の勉強になるとまでは言わないが、アイカツでさまざまな音楽に触れてもらえればうれしい。
アニクラDJイベントも開催
アイカツの音楽は、大人のファンにも人気がある。
公式によるDJイベント(いわゆるアニクラ)があった。
若手アーティストによるリミックス・アルバムも発売された。
それ以外にも、許諾を得た同人のリミックス曲が作られているようだ。
一方で、無許可のイベント(有償)について、公式から注意が発せられた事例もある。
参加する客やDJなども、許諾を得たかどうかを運営者に確認したほうがよい。
大人のファンとして、模範的な行動をしたい。