ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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アニメと自己実現:夢を叶えるために必要な条件

子ども向けアニメにおける自己実現

多くのアニメでは、主人公やその他のキャラクターに目標がある。子ども向けアニメでは、何もない日常生活を描くというよりも、「特殊な日常生活」や、目的のある戦いを描くことが多い。夢に向かって邁進するキャラクター、あるいはライバルや敵を倒し唯一無二の立場を目指すキャラクターなど、様々に自己実現を目指している。現実世界の私たちは、彼らの非現実的な自己実現の様子を見て、励まされることもある。今回は、そんなアニメキャラクターたちの自己実現を紹介したい。

 

男児向けアニメにおける自己実現

男児向けアニメでは、女児向けに比べ、職業やトップの地位を目指すパターンが多い。ポケモンマスターのように、すべての頂点に立つもの、自分より遥か大きな存在を目標としているのだ。一方で、職業や地位ではなく、目標に向かって戦ったり努力したりしているパターンもある。『マジンボーン』では、ネポスという異星からの敵がいながら、主人公・竜神翔悟たちが戦う目的はみんなの日常を守るためだった。別に、何かなりたい職業や「ボーンファイター」*1としての地位があるわけでもなく、日常を守るために戦った。もちろん、職業や地位ではない大きな目標を掲げている場合もある。いずれにおいても、何らかの戦いを伴う。つまり、男児向けアニメでは、何らかの目標のために戦うアニメが多いのだ。

 

職業・地位の獲得

バディチャンピオン(『フューチャーカードバディファイトDDD』):
男児向けアニメでは、偉大な職業や頂点の地位を目指すのがオーソドックスだ。チャンピオンがその典型例で、現在放送中の『フューチャーカードバディファイトDDD』では、「太陽の竜バルドラゴン」がバディチャンピオンを目指している。前述したポケモンマスターもそうだが、男児向けアニメでは、ある事柄においてチャンピオンになるために、バトルに勝利するというプロセスが組み込まれている。


父のようなエンタメデュエリスト(『遊戯王ARC-V』):
一方、遊戯王ARC-Vでは、主人公の榊遊矢が、父のような「エンタメデュエリスト」になることを目標にしている。遊矢は父のする「エンタメデュエル」を絶対的なものとして評価していた。その想いは、父が大事な一戦を前に失踪した事件、自身に宿る破壊衝動に負け、エンタメデュエルをすることができなくなったという経験などによって増幅される。最近のストーリーでは、どんな状況にあっても、遊矢はエンタメデュエルをしようとしている。デュエルは戦争の道具じゃない。そう信じ、父の背中を追っているのが、榊遊矢だ。遊矢は、笑顔で人を繋ぐために戦っているのだ。このように、男児向けアニメでは、主人公は偉大な地位を目指している。

 

目的の達成

モンスーノと地球を両方守る(『獣旋バトルモンスーノ』):
一部の男児アニメでは、目標を掲げる場合もある。例えば、『獣旋バトルモンスーノ』では、主人公・チェイスが、地球を破壊しかねないというほどの有害とされるモンスターと、地球を両方守ることを目標にしている。チェイスと相棒の「モンスーノ」モンスター・ロックは、DNAレベルの固い絆で結ばれている。にもかかわらず、ロック達モンスーノは、地球を滅亡の危機に追いやる存在であることが判明してしまった。モンスーノを滅ぼさないで、地球を滅亡から守るために、チェイス達は戦う。


大きな舞台で友達と戦う(『ベイブレードバースト』):
『ベイブレードバースト』における主人公の目標は少々特殊だ。主人公・蒼井バルトは、幼馴染の紅シュウと大舞台で戦うことを望んでいる。ごく最近、ベイブレードのコツを掴み始めたバルトは、シュウと戦うために地区大会を勝ち抜いてきた*2。シュウは、バルトよりも早くベイブレードのコツを掴み、今は遥か高みにいる。バルトはシュウと地区大会決勝で戦うことを約束し、約束を果たすためにぐんぐん成長していった。このような戦うことそれ自体を目標にし、チャンピオンであることを求めないというスタンスは、『ベイブレードバースト』に独特のものだ。

 

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女児向けアニメにおける自己実現

女児向けアニメにおいては、男児向けとは異なり、支配的なチャンピオンは目指さない。チャンピオンを目指すにしても、肉体的戦闘による獲得を前提としないのが特徴だ。例えば、『アイカツスターズ!』のS4は、四ツ星学園のアイドルのトップであるが、S4になるために格闘戦をする必要はない。目標に向かって努力をすることが必要なのだ。同様に、何らかの目標を掲げている場合も、努力を要する。『リルリルフェアリル〜妖精のドア〜』では、主人公・りっぷが、「笑顔が素敵なヒューマル」(花村望という人間)に会うため、一人前のフェアリルになる*3ために努力をしている。このように、女児向けアニメは自己実現のために、努力を求める傾向が強いといえる。

 

地位の獲得

女児向けアニメでは、地位を獲得するために、努力をする。

 

スターライトクイーン(『アイカツ!』):
『アイカツ!』のスターライトクイーンは、スターライトクイーンカップで1位になった人だけが立てる地位である。「スターライト学園」のアイドルのトップがスターライトクイーンなのだが、コネや事務所のごり押しといった要素が一切ないのが、このアニメの特徴だ。単純に、努力が結果に大きく反映される。

 

星宮いちご世代のスターライトクイーンカップでは、大会の前に、スターライトクイーンの神崎美月が過労で倒れてしまった。美月は、クイーン専用寮の床を削ってしまうほどレッスンをする努力家で、中学入学前の1年間も、芸能界から手を引いて、レッスンに明け暮れた。スターライト学園を辞めてからは余裕も出てきたようだが、スターライトクイーンである間は、ほとんど眠れない生活が続いていたようである*4

 

大空あかり世代のスターライトクイーンカップにおいても、大空あかりがそれまでにしてきた努力が全て反映された。大空あかりは、入学の基準を満たしていないにもかかわらず、星宮いちごの企画で、スターライト学園の特別入学枠を獲得してしまった。そのため、あかりは、アイドルが必ず出さなければならない必殺技「スペシャルアピール」が出せず、成績も悪かった。しかし、「アイカツブートキャンプ」や夏期講習での努力、あるいは、いちごの声援によって、人並みのアイドルに成長することができた。その後も同級生らと努力を重ね、ユニットを結成したり、全国ツアーをしたりして、努力を重ねていった。その結果として、スターライトクイーンに選ばれた。遥か届かない目標も、努力をすれば、いつか届くものだ。


トップオブレディ(『レディジュエルペット』):

『レディジュエルペット』では、トップオブレディになるために、努力をする義務を課した。『レディジュエルペット』は「ジュエルランド」の女王を選ぶために、主人公たちプチレディが課題を課されるというアニメだ。アバンタイトルのナレーションでは、「レディとは努力する人のこと」と言っている。天性の才気がある人がトップオブレディになれるわけではなく、努力を積み重ねて頂点に上り詰めた人がトップオブレディになれるのだ。

 

このアニメで登場した努力の典型例が、勉強や情報収集だ。この作品では、従来の販促商品であるスマートフォン型の「ジュエルポッド」に加え、タブレット端末型の「ジュエルパッド」が新登場した。プチレディたちはタブレット端末の特性を生かし、課題の内容について調べることで対策を行った。それを元に特訓や練習を行い、課題に臨んでいた。トップオブレディになれるよう、誠心誠意努力していたのだ。目指す地位のために、努力を積み重ねようというのが、女児向けアニメの主なメッセージだ。

 

目的の達成

女児向けアニメでは、ありたい人間像や成し遂げたいことを目標として掲げ、それを達成するために、キャラクターが努力する場合もある。

 

プリンセス(『Go!プリンセスプリキュア』):

『Go!プリンセスプリキュア』では、王族という具体的な地位ではなく、プリンセスの器にふさわしい女性になるために努力する主人公の様子が描かれた。主人公の春野はるかは、幼い頃からプリンセスに憧れていて、しかも、幼い頃に異世界の王子からプリキュアになるための変身アイテムの一部をもらっているという特異な少女だ。「プリンセスになる」というのは、その王子と結婚するという意味ではなく、童話のプリンセスに似つかわしい女性像になることである。もちろん、プリキュア自体は戦闘をするのだが、戦闘をすることとプリンセスになることには一切関係がない。プリンセスプリキュアであるために作法が求められるという設定ではあるが、だからと言って、戦闘でその作法が活きるわけでもない。プリンセスになることとプリキュアとして悪と戦うことが並行して行われており、ファンからの評価が高い作品だ。

 

話を戻すと、はるかは、プリンセスらしくなるために、様々な努力をしている。バレエやテニス、バイオリンはいずれも中学校に入学してから修得した。天性の才能と言ってしまえばおしまいだが、入学後1年間で様々な技能を得ているのだ。ちなみに、この作品の舞台である「ノーブル学園」は私立のお嬢様学校だ。つまり、はるかはプリンセスらしい学校に入るためにも努力をしていた。『Go!プリンセスプリキュア』は、夢にGo!するためには努力が必要だということを教えてくれる作品だった。


不器用を治したい(『かみさまみならいヒミツのここたま』):

現在放送中の『かみさまみならいヒミツのここたま』では、不器用を治すため、主人公が努力をしている。本契約している「ここたま」ラキたまの家を作るためにあたふたしていた四葉こころは、今や9柱分の部屋を作っていた。同じここたま契約者の桜井のぞみと一緒に「ここたまランド」を作ったときは再び不器用を発揮してしまうが、のぞみやのぞみの家にいるここたま・レンジに励まされ、ここたまランドを作ることができた。設定上、ラキたまを一人前のかみさまにすることで契約書に書かれた願いが叶い、こころの不器用が治るのだが、実はもう治り始めている。友達と一緒に頑張るということも努力のうちである。

理想の人間像に近づくためには、自分をその像に近づける努力をする必要がある。地位を手にしたからといって、それに人間像が付随してくるわけではなく、自分でそれらしい人間にならなければならない。かといって、自分一人で辛く孤独にやれとは言ってこないのが、女児向けアニメだ。

 

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夢の実現のために必要なこと

見てきたように、子ども向けアニメの登場人物は自己実現のために様々に戦い、努力してきた。どのような目標であれ、勝ち取るためには、苦労は避けられないし、自分自身の成長が必要だ。今、多くの人にとっての自己実現は、「ポケモンGO」の図鑑を埋めたり、地域のジムで頂点に立ったりすることだと思う。そのためには、アニメキャラクター達を見習って、あらゆる努力をしてほしい。もちろん、もっと大きな夢についても同じだ。

*1:この世界では、全宇宙に、ボーンと呼ばれる精霊がカードとなって存在している。主人公の竜神翔悟は地球の中心的なボーンであるドラゴンボーンの適合者である。ボーンを身にまとって戦う適合者のことをボーンファイターと呼ぶ。ボーンファイターが3人並ぶことで「魔神」がディセント(召喚)できる。

*2:『ベイブレードバースト』では、基本的に悪やホビーを悪用する陰謀が存在しないので、単純に登場人物がベイブレードを戦わせる様子が描かれる。大会は第1話から始まっている興業で、高校野球のようなものだ。

*3:人間界に自力で行くには、一人前のフェアリルになる必要がある。

*4:そのような労働条件は現実であれば違法だが、アニメなので関係無い。

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