ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『遊戯王ARC-V』126話 質量を持ったリアルソリッドビジョンと遊矢の真実

第126話「悪魔が生まれた日」

世界を魅了してきた技術・リアルソリッドビジョン。それは、実は一度終焉を迎えた前の世界から受け継がれたものであった。研究者であった赤馬零王は、商業用に使われていた技術をデュエルと統合し、発展させた。その結果、迫力あるデュエルが実現し、世界中が熱狂した。リアルソリッドビジョンで出現させたモンスターは、温度があることや、外部からの刺激に反応することがわかっていた。デュエルモンスターズには魂が宿っているという言い伝えもあるが、今回はデータの蓄積の賜物と考え、放置していた。


ところが、破壊的なデュエルをするデュエリスト・ズァークが現れ、観客を魅了してしまった。ズァークは4つの召喚方法と4体の竜、1体の魔術師を使い、チャンピオンになった。もっとズァークのデュエルを見たいという観客の声を受け、ズァークは自らをモンスターと合体させ、覇王竜ズァークとなった。ズァークはモンスターとともに街を破壊しはじめ、終焉へのカウントダウンが始まった。リアルソリッドビジョンは、デュエルモンスターズに怒りという感情を発散させる機会を与えてしまったのだ。


次回、零王は娘のレイに自然の力を使った4枚のカードを使わせる。一方、ユーゴとユーリはデュエルを始めてしまい、2人が2体の竜を召喚したことで、遊矢たちが発狂してしまった。果たして現代にズァークは復活してしまうのだろうか?そして、第五のカード「アストログラフ・マジシャン」の行方は……?

 

 

今回は、赤馬零王の回想によって、ARC-V世界の成り立ちが語られた。遊矢シリーズが破壊的なデュエリストを分割したことによって生まれた存在であることが示唆され、笑顔を大切にしてきた遊矢がそれと対照的な存在から生まれたことが明らかになった。たしかに衝撃の展開ではあるが、逆に、エンタメデュエルが勝利する未来を想像することができた。エンタメデュエルは人を笑顔にするのだ。

 

遊矢が衝動を抑えられた理由

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遊矢はユートと合体して勝鬨戦に挑むまで、怒りや衝動を押さえつけてきた。その最大の理由は、遊矢の育った環境にある。遊矢の父はエンタメデュエリスト・榊遊勝である。彼は笑顔を大切にしていて、デュエルは人を笑顔にするためのものだと考えていた。遊勝は遊勝塾の塾長でもあり、息子の遊矢は父を尊敬し、父の教えを受け継いでいた。大事なデュエルを前に遊勝が失踪した際も、父のことを信じていた。一方、母・洋子は元レディースであるが、野良猫を拾ってくる心優しい母親である。そのような優しい両親の元に生まれ、育てられたのが遊矢だ。


父は失踪したものの、父の教えを受け継いだ友人・柊修造は、遊勝塾の塾長として、遊矢にデュエルを教えていた。その娘・柚子は遊矢の幼馴染であり、時に厳しく、時に優しく遊矢を支えていた。第2話で初めてペンデュラム召喚をした後の遊矢とデュエルしていたのも印象的だ。同じく親友の権現坂昇は、フィールドを駆け巡る遊矢と対照的な不動のデュエルを貫くなど、遊矢と異なる面もある。しかし、遊矢とは固い絆で結ばれており、遊勝塾がLDSに襲われたときも遊勝塾の一員としてデュエルしていた。遊矢は、そんな温かい仲間に支えられながら暮らしていた。そのような環境にあったおかげで、遊矢は怒りとは程遠い存在だった。

 

遊矢シリーズの育った環境

それに綻びが生まれたのが、ユートとユーゴがデュエルし、敗れたユートが消滅したあの時だ。遊矢と顔がそっくりな3人は、遊矢のようにデュエルで人を笑顔にしようとは思っていなかった。まず、ユートはデュエルは人を笑顔にするとわかっていても、アカデミアとの戦争と瑠璃の誘拐のせいで、デュエルで怒りをぶつけるようになっていた。元々は親友の黒咲隼とその妹・瑠璃という心優しい仲間がいたのだが、彼らも戦友となってしまった。


次に、ユーゴはデュエルは希望や友好の証であるというプロパガンダを掲げる「シティ」で育ってきた。もちろん、それは嘘であり、敗者は地面を這いつくばるしかなかった。その世界で暮らすユーゴは孤児であり、リンとともに施設で育った。リンは優しいお姉さんだったが、ある日ユーリに誘拐された。その後はクリアウィング・シンクロドラゴンに導かれるままに各次元を転々とし、リンを取り戻し、ユーリに復讐するために生きてきた。ユーゴとリンの他には施設育ちですらない孤児もいるが、どちらにしても生活水準が低いことに変わりはないだろう。


最後に、ユーリは物心ついた時からアカデミアの戦士で、友達も家族もいなかった。プロフェッサー(赤馬零王)に引き取られ、計画のために利用された。他の3人にはない狂気を帯びており、柚子シリーズを恐怖に陥れた。セレナとは面識はあるようだが、どのような関係なのか明らかになっていない。それはおそらく今後描かれるのだろう。このように、3人とも笑顔から程遠い存在だった。スタンダード生まれスタンダード育ちの遊矢だけが怒りや衝動とは遠い環境で育っていて、他の3人は怒りや狂気に支配されていたというわけだ。

 

ズァークだけが邪悪なのか?

今回の描写を見る限り、ズァークだけが邪悪というのには語弊がありそうだ。おそらくズァークを支持していた観客もズァークと同じような衝動を持っていて、そのフラストレーションをデュエルを観戦することで発散していた。しかし、普通のデュエルでは我慢できなくなり、どんどんそれがエスカレートしていく。そして、最後は世界を破壊するようになった。別に、ズァークだけがいけないわけではなかった。


もちろん、怒りという感情も、デュエルモンスターズだけが持っているわけではない。人間がモンスターの破壊によってそれを止めようというのは、怒りに怒りをぶつけていることに他ならないだろう。しかし、この番組はその対案をすでに出している。人間やモンスターをそうした怒りから解放する手段ーエンタメデュエルである。「スマイルワールド」という一見無意味なカードをこれまで散々推してきたのは、モンスターも笑顔にすることができるということを示すためだったのだ。


いずれにしても、人を笑顔にするデュエルがあれば、世界は救われるのだ。赤馬零王の選択は正しかったのか?柚子シリーズを誘拐し、遊矢シリーズのいない世界を作るのはよいことなのか?ズァークを排除するだけで世界はよくなるのか?といったところが今後のARC-Vの争点になってきそうだ。

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