ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

スポンサーリンク

『遊戯王VRAINS』第1話 あえてデュエルをしない怒涛の幕開け

大人向けへ方針転換 ベタな販促からはおさらば

事前番組を1ヶ月間放送し、第1話を5月第2週とする異例の始まり方をした『遊戯王VRAINS』。異例なのはそれだけではない。なんと第1話でデュエルをしなかったのだ。本来であれば、新召喚の説明やら、視聴者である子どものハートを掴むやらしなければならない第1話。今回は、あえてそれを放棄している。だが、今VRAINSが置かれている状況を鑑みれば、第1話に納得できる。つまり、以下のような状況だ。

 

 

  • リンク召喚の説明は事前番組ですでに行なっている
  • 近年のITのトレンドを取り入れ、大人の視聴者に向けた高度な内容に仕上げている
  • 視聴者はストーリーの都合に合わせた陳腐なデュエルにうんざりしている


ここまで条件が整っていれば、1話でデュエルをしなくてもいいのは明白である。

 

 

意外と好感触だった事前番組

VRAINSでは、事前実写番組を5週にわたって放送した。この手の番組はファンの反感を買いやすいが、この番組は意外と不評ではない。出演者はお笑い芸人バイきんぐの2人とモデルの栗原類さん、女優の柳美稀さん*1などである。このうち、栗原さんはデュエルが得意で、対戦時のマナーをわきまえているなど、プレイヤーからの評価が高かった。栗原さんはリンク召喚を紹介する際の実験プレイヤーにもなっている。


バイきんぐ・小峠英二さんが海馬瀬人のファンという設定など、態とらしい内容もあったが、今作のモチーフであるITに踏み込む内容もあり、そこまで的外れな番組ではなかった。実際、旧作のグッズや旧作のカードを収録したパックも発売されており、ゲーム「遊戯王デュエルリンクス」には旧作のキャラクターも登場するので、旧作の説明があったことも間違いではない。

 

ITに特化した大人向けな内容

このアニメは、やや大人向けに設定されたSF作品である。同じジャンプ系の『デジモンユニバースアプリモンスターズ』とは作風で差別化を図っているようだ。アプモンでは、用語をわかりやすくしたり、かわいい程度のハッキングにとどめていたり(一部を除く)と子どもに対する配慮が見られるが、VRAINSでは難しい用語を連発し、街頭の液晶が割れるなどの過激な描写もあった。少なくとも、アプモンと同じ年齢層に向けた内容ではないのだろう。


大人向けになると何が良いかというと、高度な内容が扱える上、子どもにわかりやすい幼稚なデュエル構成にしなくてもよくなる。「とりあえずデュエルしとけば、子どもが興味持ってカード買ってくれるっしょ」的なものもなくなるはずだ。


唯一懸念があるとすれば、遊戯王5D’s〜遊戯王ZEXAL(ゼアル)まで存在していた速攻魔法や罠カードの応酬が復活する可能性があることだ。見世物としてはその方が熱いのだが、「無効を無効にするカードを無効!」ということをやられると、最高に頭が悪い。それから、ピンポイントメタ(特定の状況に対抗する)カードが出てくる可能性もある。あくまで求められているのは、OCGのルールに適合し、プレイヤーを満足させられるような高度なデュエルである。

 

視聴者がうんざりしていたデュエル

前作『遊戯王ARC-V』で不評だったのが、アクションデュエルである。デュエリストがモンスターに乗るなどして、フィールドを駆け巡るというスタイルのデュエルだ。このデュエルで不評な要素は、アクションカードと呼ばれるお助けカードがフィールド上に設置されているというものである。これにより、40-60枚のデッキを駆使する従来のデュエルが否定された。


その上、主人公が主張するイデオロギーも反感を買っていた。デュエルはモンスター同士が攻撃し合う破壊的なものではなく、様々な仕掛けによって観客を楽しませるためのものだという主張だ。攻撃のエフェクトが花火になるくらいであればかわいいものだが、中にはアクションカードを4枚先取した方が勝ちとなるような極端な効果を持つカードもあった。


そんなARC-Vでも最も不評な回が、クイズ回こと第19-20話だ。この回ではクイズに正解しないとライフが減少するというとんでもないアクションカードが登場した。これにより、相手と交戦することなくライフが残り300になり、主人公は窮地に立たされる。アクションカードを含め、相手が使ったカードは全てOCG化されていないので、実質的に2話を無駄にしたことになる。ゲームの成り立ちに影響を与えかねないARC-Vのデュエルは長年のファンからはよく思われていなかったようだ。

 

スピードデュエルへの期待

スピードデュエルの内容が明らかになっていないが、一般的にスピードデュエルと呼ばれているものは、カードゾーンの一部を縮小し、メインフェイズ2*2を削るなどして、通常のデュエルを簡略化したものだ。これのメリットは、短時間で済むことと、OCGでも再現可能なことだ。アクションデュエルと違い、デッキを組み替える(20-30枚にする)だけで簡単に遊べるので、きちんと販促になるというのがポイントである。果たしてこのデュエル形式を使うことで、遊戯王VRAINSは遊戯王OCGに再び栄光を取り戻せるのだろうか?

*1:柳さんは遊戯王初心者だが、直前まで『動物戦隊ジュウオウジャー』に出演していたことなどから、特撮ファンの視聴者への認知度・好感度が高い。(遊戯王アニメの)前作までにも特撮俳優は何人か出演している。

*2:バトルフェイズの後にカードを伏せたり、モンスターの表示形式を変更したりできるタイミング

スポンサーリンク


プライバシーポリシーと当サイトの利用するサービスについて