ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『アイカツスターズ!』香澄夜空、香澄朝陽、香澄真昼〜きょうだいでライバル〜

香澄真昼と香澄夜空 戦うアイカツ

第13話「真昼の決闘」では、ずっと示唆されてきた、真昼が夜空に対抗心を抱いているという事実が明確になり、主に真昼の視点から、真昼と夜空の関係が描かれた。長男(夜空の弟で真昼の兄)の朝陽や同じ美組の小春の視点も借りつつ、香澄きょうだいが好みが同じという仲の良い性格を持ちつつも、互いを超えていかなければならないという二重構造を抱えていることが明らかになった。真昼の場合は、夜空を強く拒絶し、倒すべき存在だと考えていた。その考えは、今回の「決闘」において、夜空の側にも芽生えることとなる。つまり、真昼と夜空は、家族という仲良くすべき関係でありながら、アイカツにおいてはライバルであるのだ。

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これまでの真昼(第8話「小さな輝き」より)

美組のレッスンルームに現れた香澄夜空から1年生向けのコンテストの告知を受ける生徒たち。その中に、七倉小春と香澄真昼がいた。真昼は、告知をする姉に対して険しい表情を見せた。小春は自分に自信を持てず、不安げな表情を見せる。この回の主役は小春で、真昼との絡みが幾つかあった。


その日の午後のレッスンで、500mlペットボトルを頭に乗せ*1、ウォーキングをする小春。途中でペットボトルを落としてしまい、講師の美羽玉五郎から練習をしたほうがいいと言われる。一方、真昼は2リットルのペットボトルで完璧なウォーキングとターンをする。その様子はまるで姉の香澄夜空そのものだった*2。周りからも歓声が上がり、玉五郎もさすがと評価していた。


レッスン後、咳き込んでいる真昼を見て、小春はのど飴を差し出す。小春は思い出したように、他の味ののど飴も出していく。真昼は、いっぱい飴を持っている小春に驚いていた。真昼は少し考え、表情を柔らかくして、ミント味を受け取った。「どうぞ、真昼ちゃん」と名前にちゃん付けで呼ばれると、それを意外に思い、照れつつも、「小春って呼んでもいい?」と返した。小春には、夜空に対する表情とは打って変わって、優しい微笑みを見せていた。他の生徒は、真昼に話しかけた小春をすごいと評価していた。他の生徒曰く「真昼さん、すっごく大人びてて話しかけにくい雰囲気だから。」 「真昼さん」という呼び方からも、硬派なエリートというキャラによって、他の生徒から距離を置かれていることがわかる。


コンテスト本番、真昼は審査員席の玉五郎から期待の目線を向けられながら、ランウェイに立った。当初は、自然な表情であったが、ランウェイの終点では、夜空に対する時の強固な表情になっていた。ランウェイを渡り終わり、観客に挨拶をするときは、MCの夜空のいる方を向かないようにターンをしていた。小春は、実力が段違いの真昼に負けないように特訓を積んでいたが、最後の最後で転びそうになった。しかし、練習の時に転びそうになったのを回転することで回避した経験から、転倒を回避した。


結果は、真昼が優勝だった。優勝は玉五郎から告げられた。この時、真昼は驚いていた。おそらく、審査員に夜空は含まれていなかったのだろう。審査員は心から真昼を評価していたのだ。そして、小春が審査員特別賞として表彰された。真昼は微笑みながら、あっけにとられる小春を見つめた。玉五郎から改めて紹介を受けると、真昼の表情は非常に優しかった。玉五郎曰く、セクシーさとエレガントさが評価されたようである。これ以降のシーンでは真昼はクローズアップされないため、表情が見えなかった。

 

第8話における真昼の表情は、第13話のように崩れた笑顔ではなかった。険しくない優しい顔ではあるが、応募したデザインが選ばれた時のしたり顔やケーキを食べた時の笑顔とはおおよそ違った。七倉小春という優しい子に接することで、強張った表情が少し和らいだに過ぎなかったのだ。13話で虹野ゆめという新たな刺激に出会うことで、彼女は変わっていくのだ。

 

第13話あらすじ

七夕*3の短冊を書いていた虹野ゆめ達は、香澄真昼に遭遇する。美組で一緒の子だと説明する七倉小春と、8話のファッションショーで優勝した子だと思い出した桜庭ローラ。ゆめは真昼に短冊を書かないかと話しかけるが、「誰?」と突き放されてしまう。そして、真昼は「私は短冊にお願いなんかしない」と言い捨てるのだった。


カフェテリアで「夜空のファッションタイムです」を観るゆめ達。香澄夜空は服がマンネリ化してしまうという視聴者の相談に対し、街でヒントを探すようにアドバイスしていた。真昼は、1人、カップを片手にそれを横から聴いていた*4。そんな中、夜空から衣装デザインの募集が告知された。やる気満々の3人は、夜空に言われた通り、街に向かう。


街に繰り出した3人は、真昼を見かけ、尾行する。偶然、ゆめ達の前にM4の朝陽が現れ、真昼がマフィンショップに入りチョコマフィンを頼むと言い当てる(実際に、真昼は店に入っていく)。遅れて自己紹介した香澄朝陽は、ゆめが結城すばるが言っていた通り、面白い子だと確認した。朝陽がなぜ真昼の考えがわかったのか説明しようとしたところで、夜空もそこに現れ、「きょうだいだから」と説明した。そして、マフィンを買った真昼が外に出てきたことで、きょうだい3人が鉢合わせることになった。


夜空は真昼に抱きつくが、真昼は強く拒絶した*5。お茶に誘う夜空に対し、真昼は瓦を割って一層強く拒否した。夜空は真昼とお茶をすることを諦めた。そんな夜空に朝陽は、仕事に行かなくていいのかと確認し、差し入れのマフィンを渡した。夜空は、朝陽には軽くスキンシップをした。去っていく夜空にゆめは、ステージに応募する意志を表明した。


本来の目的を思い出し、お茶をするゆめ達。小春は、香澄家の構成を説明した。ローラは家族が業界の人だと色々話を聞けて利益があるのではないかと指摘するが、小春は真昼が夜空と距離を置いている現状(主に第8話)を回想し、説明した。真昼は、駅で、強張った顔で夜空のラッピングカーを見送っていた。


時は過ぎ、「夜空のファッションタイムです」にて、公募の結果が発表された。当選したのは、「ブレーズロータスコーデ」をデザインした「ランチさん」だった。落ち込むゆめ達だったが、隣のテーブルで同じ番組を見ていた真昼はガッツポーズをした。「ランチさん」が真昼だと気付いた小春達は、真昼を賞賛する。なぜ「ランチ」というペンネームで投稿したのかと問われると、姉妹だから選ばれたと思われたくないと答えた。また、出来が良く、人望のある姉に対抗心を燃やしており、姉に負けたくないと話していた。擁護しようとするゆめだったが、真昼はレッスンをすると言って、フェードアウトする。負けないと、対抗心を燃やしながらレッスンをする真昼。瓦を割り、気合を入れた。


ステージ当日、ランチとして夜空に挨拶する真昼(「ランチです」と敬語)。夜空は、昔、互いをモーニング、ランチ、ディナーと呼んでいたと回想した。最高のステージを見せると宣戦布告をした。夜空は可愛いとしか思っていなさそうな雰囲気である。


楽屋で気合を入れる真昼だったが、そこにゆめ達が現れた。差し入れのチョコケーキを持ってきたのだが、形が崩れてしまっていた。「走ったからだよ」というローラ、「洋菓子屋の娘なので味は保証する」という小春に、真昼は笑った。ゆめはその笑顔がいいと言い、真昼は自分が笑顔を忘れていたことに気づく。真昼はケーキを大きく掬って頬張って、笑顔で美味しいと言った。


所変わって、本番。夜空はランチこと香澄真昼を紹介した。真昼は「香澄真昼、まばゆい光のように」と言ってステージへ向かった。本番が終わると、ゆめ達はすごくよかったとステージを高く評価した。司会の夜空も、真昼の今後に期待していた。


夕方、学園に戻ったゆめ達は、改めて真昼を賞賛した。それでも夜空に追いつけないという真昼に対し、ゆめは向上心があると肯定的に評価した。姉を追い越すと決意した真昼を、ゆめは、その意気だと鼓舞した。敬語で「ゆめさん」と呼ぶ真昼に対し、ゆめは呼び捨てでいいと言った*6。真昼は、あれほど強く拒否していた短冊に、願いではなく目標を書いた。

 

星々の集い(S4のお茶会)にシーンが切り替わるが、夜空はお茶会を早抜けし、トレーニングに向かった。オーバーワークになると懸念するツバサを前に、夜空はランニングに向かう。辛そうに息を切らす夜空だったが、真昼の短冊を見て微笑んだ。

「打倒!お姉ちゃん!! 真昼」(!は白抜き)

「私ももっと頑張らなきゃね、倒されないように」と言い残し、番組は終了する。

 

真昼は、夜空を険しい顔で強く拒絶する一方で、夜空への勝利を確信した時に表情は緩み、心から笑った時、美味しい時、笑顔を見せた。今回で、真昼が厳しい表情をしている理由が明らかになり、8話の厳しい表情の謎も解けた。残る課題は、夜空との和解である。

 

真昼と登場人物の関係

真昼と夜空

ここからは、真昼と個人の関係について考えていく。今回一番気になったのは、最後のランニングのシーンだ。夜空は決して、自分の才能に自惚れ、妹を余裕で蹴ちらす人間ではない。その才能が遺伝的要因によるものであれ、環境的要因によるものであれ、姉妹なのだから、同等になる可能性がある。真昼の成長を実感した夜空は、姉としての面目、S4の香澄夜空としての面目を保つため、特訓を積むしかなかった。一方で、今回、真昼が夜空に敬語で接したり、ゆめ達との会話で「香澄夜空」と呼び捨てにしたりするシーンがあったが、短冊に「お姉ちゃん」と書いたことで若干距離が縮まったように思える。最後のシーンの微笑みは、真昼との心的距離が縮まったことによるものである。一方で、今回のステージによって、夜空の側にも若干対抗心が芽生えているので、単純に和解に向かっているとは言い難い。夜空は、心は真昼に近づきたいが、アイドルとしては真昼から遠ざからなければならないのだ。

 

真昼とゆめ

今回、畑違いの2人が出会ったのには大きな意味がある。小春にとってのローラに当たる存在が、真昼にとってのゆめである。一見関係ないように見えて、だからこそ刺激を与えあうことができるのだ。アイカツスターズでは、組を問わない活動以外では基本的に組内部で活動する。そのため、ルームメイトなどの特に親しい関係でない限り、他人のアイカツからは蚊帳の外になる。しかし、ローラ(やルームメイトで幼馴染のゆめ)がいてくれたことで小春は美組のファッションショーを頑張れた。真昼も今回、ゆめが励ましてくれたおかげでステージを成功させることができた。全く関係ない立場からでも真昼を応援してくれるゆめは、真昼がアイカツをする上で大変大きな刺激になるのだ。

 

真昼と小春

真昼と小春は、ローラとゆめのような、(客観的な立ち位置として)ライバルでありながら互いを信頼しているという仲である。友達のいない自分にのど飴をくれた小春も、ランウェイ上では真昼に食らいついてくる。あれだけゆめに強硬な態度をとっていたローラも、ゆめを悪く言った人達には強く抗議した。仲間でもライバルでもあるという関係は、アイドルならではである。少なくとも小春にとっての真昼は現段階でそういう存在なのだろう。真昼は、小春に心を許しているが、(主観的に)ライバルとして認識してくれているのかが気になるところだ。

 

きょうだいの壁を打ち破れるのか?

香澄三きょうだいは「きょうだいだからなんでもわかる」一方で、ライバルとして距離を置かなければならないという微妙な関係にある。男性である朝陽はファン層こそ違うのかもしれないが、芸能界における人気や知名度という尺度においては同じ土俵に立っているはずだ*7。香澄きょうだいの課題は仕事とプライベートをいかに割り切るかであり、「戦ったりする」アイカツスターズ!のアイカツにどう抗っていくかであると思う。次回も夜空と真昼にスポットが当たる回のようなので、そのあたりがどう掘り下げられるかに注目したい。

 

[rakuten:book:18080062:detail]

 

追記 

www.ajo-biani.com

 

*1:バランスを崩さずにまっすぐ姿勢よくウォーキングをするための練習として描写されている。

*2:この段階で、視聴者には真昼が香澄夜空の妹の香澄真昼であることは明かされていない。

*3:日本では、6月の終わり頃から7月7日まで、短冊と呼ばれる長方形の紙に願いを書いて、竹に吊るすという風習があります。外国からアクセスされている方もいるようなので補足しました。(2016/7/8)

*4:今週から夏服になっている。

*5:朝陽曰く、夜空は妹離れができていない。

*6:小春が初めてローラに会った時と重なる。

*7:それに、現実の各種賞レースには、男女で分かれないものもある。

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