ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。(2017/7/13 Update: 2つあった関連記事欄を1つに収束。)

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『仮面ライダーエグゼイド』 ゲキトツするライダーたち

今一度振り返る 「平成ライダー」とは

仮面ライダーエグゼイド』が放送開始して、まもなく1ヶ月になる。ライダーの数は『仮面ライダー鎧武/ガイム』(2013年)以来、久しぶりに5人以上になっている。ここまで時間が経つと、メイン層の子どもは鎧武を知らず、保護者や祖父母もまた然りだろう。まっすぐした正義が踏みにじられ、綺麗に話が進まないため、違和感を覚える人もいると思う。そこで、この記事では、平成ライダー*1とは何なのかということを考えていきたい。

 

 

 

医者とゲームというミスマッチ

仮面ライダーエグゼイド』では、医者とゲームという異なる2つのものを組み合わせている。そもそも、バンダイが男児向け特撮の玩具に求めることは、普段触れられないことだということは周知の事実であろう*2。しかし、エグゼイドでは、敢えて子どもが触れることができるゲームを選んだ。ご存知の通り、仮面ライダーもすでに何本もゲームソフトやスマートフォン向けのゲームアプリを輩出している。もはや、ゲームは触れてはいけない代物ではないはずだ。

 

古めのゲームモチーフ

だが、今作では、敢えて子どもが嫌いな医者をモチーフにしている。これは、子どもの好きなものと嫌いなものを組み合わせるというある種の挑戦である。ゲームモチーフというのは最新鋭の3DCGコンピュータゲームではなく、ドット絵時代のものをイメージしている。最新鋭のゲームにしてしまうとお金もかかるし、ライダーよりも目立ってしまうので妥当な判断だろう。回想シーンでは、主人公・永夢がある人物からもらったゲーム機がワンダースワンになっているが、製作者側がゲームとして想定しているのは、この次元のゲームだろう。永夢が今遊んでいる架空のゲーム機では、カラーのドット絵のゲームが遊ばれているらしく、あくまで最新鋭にはこだわっていないようだ。

 

レトロゲームモチーフと一貫性

そもそもエグゼイドのライダーのギミックがスーパーマリオをイメージしているので、CGにすると一貫性がないという事情もある。ライダーは変身時は二頭身の「レベル1」だが、レベルアップすると「レベル2」の人間らしい頭身になる。もちろん、チョコレート風のブロックを壊すとアイテムが出てくるのも、横スクロールアクションゲームを参考にしている。そういった一貫性を考慮すると、ドット絵の横スクロールにせざるを得なかったのだろう。(そもそも、マニアックにしすぎると、子どもも購入者である祖父母も理解できない。)

 

正義のない世界

ここまでで仮面ライダーエグゼイドのコンセプトの話を終えて、本題に移ろう。平成ライダーでは、正義が1つに収斂しないことが多い。わがままと言ってしまえば意味が変わってくるかもしれないが、それぞれの仮面ライダーが自分の信じた道を進む。悪を前にしても必ず結束するわけではなく、ライダー同士の騙し合いも起こりうる。平成ライダーとは(あるいは、仮面ライダーエグゼイドにおけるライダーとは)、そのような正義のない世界に生きる戦士なのだ。

 

考え方の違う戦士

エグゼイドでは、思想の異なる医師が想いをぶつけ合う。そもそも、平成ライダーでは、ライダーごとに思想が異なっている。善意の戦士、偽善の戦士、怪人であれば善人であろうと倒すことを厭わない戦士、戦闘狂など様々だ。今回も、第5話時点で様々な戦士が登場している。それが医者という属性を通じて、分かりやすくなっているのだ。


例えば、主人公の宝生永夢(ほうじょう・えむ/仮面ライダーエグゼイド)は小児科の研修医ということで、患者の声に耳をすませることに長けている。未熟ながらも、患者の意思を読み取ろうとしているのだ。一方、飛び級の天才外科医・鏡飛彩(かがみ・ひいろ/仮面ライダーブレイブ)は、患者の声ではなく、身体の状態を見て判断する。永夢はときに人の嘘も素直に信じてしまうが、飛彩はそれを咎めている。

 

正義が共闘するとき

このように、平成ライダーでは「正義のヒーロー」がたくさんいたとしても、同じ正義というわけではない。だが、巨悪が現れたときには共闘する。その巨悪こそが前回素性が明らかになった檀黎斗(だん・くろと/幻夢コーポレーション社長/仮面ライダーゲンム)である。黎斗は一見善人のように見えて、裏では悪事を働いている。彼は他のライダーを無差別に攻撃するので、他のライダーは一緒になって攻撃せざるを得ないのだ。


ただし、怪人を前にして他のライダーを攻撃する面倒臭いライダーもいるので、巨悪がいるから必ず共闘するというわけでもない。例えば、主人公を人類の脅威と判断したライダーがいた場合、そのライダーは怪人よりもまず、主人公を攻撃する。それから、知能を持つ怪人は今回の黎斗のように人間と組むので、ライダーと怪人の共闘という異様な事態も起こりうる。倫理に反するとか、教育に悪いとかではなくて、そういうドラマなので受け入れてほしい。いずれにせよ、ライダーたちは同じ正義の元に結集しているわけではないのである。

 

アイテムは奪うもの

実は、平成ライダーにはアイテムを奪い合うシーンが多く存在する。第3話では、仮面ライダースナイプ/花家大我(はなや・たいが)に負けた永夢がライダーガシャットを奪われた。全てのライダーが「正義」というわけではないという話から納得がいっている人もいるだろう。このように、平成ライダーでは、他のライダーからアイテムを奪うという展開もあるのだ。前作序盤でも、仮面ライダーゴーストから「エジソンゴーストアイコン」を奪った仮面ライダースペクターが、「エジソン魂」に変身した。


それどころか、『仮面ライダー鎧武』では、呉島光実/仮面ライダー龍玄が兄(呉島貴虎/仮面ライダー斬月)のカバンから、「ロックシード」をトンズラしている。平成ライダーにベルト以外のアイテムが登場した頃から他人からアイテムを奪う伝統は続いていて、一部のライダーでは他のライダーを使うことがベルトのギミックになっている。平成ライダーではアイテムは奪うものになっているのだ。

 

正体不明の騙し合い

それから、平成ライダーでは、正体を知らないことを利用した騙し合いやすれ違い展開も多い。第4話では、九条貴利矢(くじょう・きりや)/仮面ライダーレーザーが素性を隠して主人公に近づき、共闘を持ちかけた。もちろん、第5話でも、黎斗がゲンムであることを隠して、しかもアイテムが盗まれたと嘘をついて、主人公たちに「奪還」を命じている。怪人・グラファイトも、ゲーム病患者を装って主人公たちに近づいており、序盤から騙し合いが多い。


前述の仮面ライダー龍玄も兄に正体を明かしていなかった。しかも、主人公(仮面ライダー鎧武)たちには、巨大な陰謀である不動産デベロッパー企業・ユグドラシルの関係者であることを隠しており、非常に悪賢かった。また、他のライダーでは、怪人を大切な人(大切な人=人間に擬態した怪人)であることを知らずに攻撃してしまう悲劇もあった。何が起こるかわからないのが平成ライダー特有のスリルである。

 


このように、平成ライダーにおいては正義がひとつに定まらず、悪のライダーも存在する混沌とした世界が描かれる。保護者にとっても理解が難しい展開があるかもしれないが、ライブ感ある平成ライダーの世界に引き込まれているお子様を暖かく見守っていただきたい。

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