ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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ベイブレードバーストの熱血主人公について

熱血主人公が嫌われるのはなぜか

熱血主人公といえば、コロコロコミック掲載作品の定番という印象がある。無邪気に、一直線に、勝利に向かって突き進むという単純明快なキャラクターパッケージは、ホビー玩具の販促において非常に役立っていると思う。シリアスな流れになれば、当然玩具ではなくストーリーに大人の関心が傾いてしまい、一方で、メイン層の子どもは退屈してしまう。ベイブレードバーストもコロコロ系列の漫画であり、単純明快な「ノリ」でストーリーが展開されている。しかし、単純明快なストーリーは一部の大人視聴者には物足りないか、違和感を抱かせる。熱血主人公には、大人が求める同情に値する感情や行動の合理性がなく、また、熱血キャラそのもののノリについていけないのだ。

 

感情移入できない

対象年齢層の少年(ベイブレードの主な対象層)には、単純なキャラクターの方が分かりやすいはずだ。たしかに、大人のファンからすれば、バカのように失敗をし、バカのようにつまずき、バカのように立ち直る主人公は感情の理解に値しない。しかし、対象層は、主人公が困難を乗り越えるまでの過程よりも、玩具を使い熱いバトルをする展開が見たいのだ。彼らにとって、トンデモ特訓は遊びの一部であって、決して無駄なシーンではないはずだ。同様に、10代〜20代の実況ネイティブ世代の中には、感情移入せずに外観を見て楽しむ文化がある。彼らにはキャラクターに感情移入して感傷に浸っている時間はなく、画面に動きがあればすぐさま実況をしなければならない。そういう意味では、単純明快な熱血主人公は実況ネイティブ世代向けのキャラクターでもあるのだ。

 

行動が合理性に欠ける

蒼井バルトの行動は、論理や合理性に欠け、子どもが好きでない大人にとっては不愉快かもしれない。2話ではラッシュシュートを覚えたことに現を抜かし、学校に遅刻しかけた。ベイブレードがスポーツとして捉えられていることを考慮に入れても、ゴールを決めたり、ホームランを打ったり、土壇場でラインスレスレにサービスを決めたりしたことで嬉しくなって、学校に行くことを忘れる人は、たとえスポーツに命を賭けていてもなかなかいないだろう。一方、1話では、「基本がなっていない」と言われ、バルトは基本が何なのかも理解せずに、ひたすらシュートの練習をしていた。大人の世界では、どこがダメだったのかを徹底的に洗い出し、その上で、「基本の◯◯という動作がよくできておらず、練習が必要だ」という結論に至るのだと思う。だが、子どもの考えをアニメに落とし込めば、シュートの練習をすればベイブレードが強くなる。こうした子どもの世界観を理解できないでいると、大人には観るのが辛いかもしれない。
辛い

 

見苦しい

蒼井バルトは常に声を張り上げていて、不愉快かもしれない。だが、声を張り上げるぐらいでないと、熱血は表現できない。バトルスピリッツ烈火魂で、熱血のはずだった主人公が常に落ち着いたトーンで話していて、熱血という感がまるでなかったのは記憶に新しい*1。熱血を表現するには、常に心が高揚しているぐらいがちょうどいいのだ。ホビーアニメと同様に熱血主人公を多用するシリーズといえば、スーパー戦隊シリーズだ。肉体的強さを重視し、論理性に欠ける行動をする熱血主人公は、たしかに大人から好まれるとは限らない。獣電戦隊キョウリュウジャーのキョウリュウレッド/桐生ダイゴや、獣拳戦隊ゲキレンジャーのゲキレッド/漢堂ジャンは好き嫌いが分かれるキャラクターかもしれない。特にゲキレッドは、前年の達観した大人の「熱血主人公」ボウケンレッド/明石暁とは打って変わって、野生児で、擬音語を多用して喋る、やや視聴者層の幼児に近い性格の主人公だった。そのため、大人なら当然できること、大人なら当然わかることが分かっておらず、ついていけなかった人も多いと思う*2。キョウリュウレッドも、肉体的に強いだけならよかったが、自らをキングと呼ばせる傲慢さがあり、自分だけ活躍しておいて「俺たちは戦隊だ」と言い張るところが気にくわないという人もいただろう。一方で、闇を抱えた(基本的にシリアスの)ワケアリ主人公と違うのは、わかりやすくて爽快感があることだ。子どもはヒーローが(玩具を使って)戦うシーンが見たいわけで、鬱々しいシリアスシーンはどうでもよいのだ。そうであるからして、単純な方が子どもにとっては愉快なのだ。

 


このように、熱血主人公は感情移入や合理的行動という大人が好む要素に欠け、熱血というキャラ属性自体が持つ独特の雰囲気に大人がついていけないという意味で、大人から敬遠されるキャラだった。極論を言ってしまえば、大人がホビーアニメを見るな、どうせ買わないんだし、ということになってしまうが、ホビーアニメというパッケージ自体は嫌いにならないでほしいものだ。

 

 

 

以下、各種公式サイトへのリンク

www.beyblade.jp

www.beyblade.tv

www.tv-tokyo.co.jp

beyblade.takaratomy.co.jp

 

*1:だからこそ、好感が持てるキャラに仕上がったのだと思うが。

*2:海賊戦隊ゴーカイジャーにゲスト出演した時は、一転、大人びた戦士としての漢堂ジャンが垣間見えた。

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