ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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製作現場というブラックボックス 知ったかぶる一般人

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Photo via PEXELS

 

菱田正和監督インタビューを読んで現場への理解を深めた

 バンダイチャンネルのウェブサイトに菱田正和さんのインタビューが掲載されている。このインタビューでは『陰陽大戦記』の配信を記念して、菱田さんの演出家としての歩みについて尋ねている。そのインタビューでは、素人から演出家になった菱田さんの苦労が語られていて、以前から筆者が重要なトピックだと思っていたスタッフの役割についての無知と誤認について、考えを深める良い機会となった。

 

www.b-ch.com

 

このエントリーでは、製作者のことを知らないことについて、3つの事柄に分けて考えてみる。

 

現場を知らない

私達には、現場で手に職をつけた人の視点がない。私達はアニメやドラマの現場で働いたことがないので、現場がどんな様子か、何をしているのかを知らない。経験を積んだ人なら知っていることがわからない。そして、何よりも、職人の目がない。よく職業病で映画やビルを、いくらかかっているかという費用の視点で見てしまう人がいるが、独自の視点があることは様々な職業に当てはまると思う。現場を知っている人であれば、スタッフを的確に批判し、的外れな非難にノーと言えるはずだ。しかし、そういった視点を培っていない我々は、時に関係ない人に責任を背負わせたり、仕方のないことを非難したりしてしまう。何度も言っていることだが、現場の視点を持たないからこそ、我々は雑誌などのインタビューやスタッフトークなどで知識を補充すべきなのだ。

 

一般論として◯◯がどういう仕事なのか知らない

我々はアニメや映画業界で、その仕事がどのような役割を果たしているのかを知らない。スタッフロールに監督 ××、脚本 △△と書いてあるだけで、「これは××作品のノリだ」、「やっぱり△△脚本だった」などと勝手に決め付ける。しかし、実際のところ、それらの職業がどういった業務をこなすのかを知らない。例えば、脚本家は登場人物が何をするか、何を言うかを決めるが、絵コンテはどのような状況でそれをするかを決める。そして、それらの動かし方を決めるのが演出だ。ありがちなのは、特徴的な仕事をする一部のスタッフを持ち上げて、「△△脚本は狂気」だとか、「さすが□□コンテ」のようなことを言う人だ。しかし、それらは、ちゃんと狂気になるように動かしてもらったから狂気なのであって、脚本家の△△さんが演出して狂気にしたわけではない。基本的な分担は理解しておいたほうがいいと思う。

 

その人が◯◯の仕事の中で何をしたのかを知らない

とはいえ、その場その場によって、仕事の内容は変わる。例えば、映画では俳優がアドリブをすることがある。もしそのセリフに満足がいかなかったとして、一視聴者がそれをアドリブと知らずに脚本家を叩くのであれば、脚本家がかわいそうだ。このように、仕事内容は流動的である。脚本家が1人で脚本をこなす場合、多人数の脚本家が分担して脚本をこなす場合、監督と脚本が同じ場合など、体制・規模によって、様々に業務内容は変化していく。現場ごとの違いを把握することも大事である。どの段階で誰が何を提案したかも、作品を批判する上で大変重要だ。監督はそういう指示を出さなかったが、脚本家がそういう話に仕上げてきたという場合だってある。一般的な業務内容だけに目を向けて、その仕事に関わったであろうその人に責任を押し付けるのは、よくない。

 

役割が知りたい

我々視聴者は、スタッフの役割も知らずに、鼻を高くしてアニメ評論をやっている。だから、個別のスタッフについて言及すると、必ず事故を起こす。だから、我々は雑誌などで、現場を知る必要がある。欲を言えば、そういった職業についてまとめた本が欲しいところだ。できるだけ、自称評論家になってしまうことは避けたいのだ。

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