ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『レゴニンジャゴー』が伝えたいこと

レゴニンジャゴーいろいろ

『レゴニンジャゴー』の無料配信がそろそろ終わりそうだということで、まだ全く観ていないシーズン1-2を一気に見た。テレビ東京版はシーズン4から始まり、プロローグとシーズン3の総集編しか流していなかったため、ガーマドン一家の背景やヘビヘビ族の話が一切抜け落ちていた。シーズン1-2を見たことでガーマドン先生やロイドが何者なのかわかったし、シーズン6でジェイの身に起こったことがどういう意味を持つのかもわかった。この記事では、シーズン1-2がなかなか観られないことを前提に、話をまとめていく。

 

 

ガーマドン一家

レゴニンジャゴーのシーズン1-2の大きな柱のひとつがガーマドン一家の動向だ。ガーマドン卿は悪の王であり、ホネホネアーミーを率いて、悪事を行っていた。一方、その息子・ガーマドン小僧ことロイド・ガーマドンは「悪人学校」を抜け出し、街で悪さをしていた。親のいない寂しさと自己承認欲求を強く感じていたロイドは、かつてニンジャゴーの世界を襲ったヘビヘビ族を復活させてしまう。自分の言うことを聞かなくなると、ロイドは次々に異なる種族のヘビヘビ族を復活させ、ついに最強のアナコンドライ種族のパイソーに裏切られる。ロイドは伯父のウー先生とニンジャ達に引き取られ、共同生活を始めた。一方、パイソーはヘビヘビ族を結集させ、伝説の古代都市を復活させてしまう。ロイドはヘビヘビ族に囚われてしまうが、ウーはガーマドン卿を地上に呼び戻し、ニンジャと共闘させた。

 

そんな中、力を覚醒させロイドを救ったカイは、ロイドが伝説のグリーンニンジャ*1であることを悟る。こうして、皮肉にもガーマドン親子は、正義と悪の長同士の戦いを運命付けられることとなった。ニンジャと(自分以外がニンジャゴーの世界を支配することが許せない)ガーマドン卿はヘビヘビ族の王者・グレートヘビヘビをやっつけるために共闘したのだが、ガーマドンは再び悪に堕ちた。残ったヘビヘビ族を支配し、ニンジャゴーの世界で暗躍する。だが、ガーマドン卿は決してロイドを傷つけようとはしなかった。グリーンニンジャを倒すことに託けて、ロイドを傷つけない巧妙な方法でニンジャ達を苦しめたのだ*2


一人前のニンジャになるため修行を続けるロイドは、まだ子どもであるため、仲間に迷惑をかけた。しかし、ある事件をきっかけに大人に急成長してしまう*3。子ども時代よりも精神が向上し、強くなったのだが、人にとって大切な子ども時代は永遠に失われた。ロイドがグリーンニンジャとして立派に成長しつつある頃、歴史博物館での任務の最中に、ニンジャ一行はロイドの母(=ガーマドン卿の妻)・ミサコに出会う。ミサコは歴史(考古含む)学者で、ロイドがグリーンニンジャになることを予見し、ロイドを1人残して研究を続けていたのだ。最初は母に反発していたロイドだったが、任務を通じて、母との絆を取り戻した。ロイドは立派にミサコを守り抜いたのだった。


ある時、ヘビヘビ族の失敗によって、古代の戦士ワルワル・サムライが復活してしまった。ワルワル・サムライを倒せるのは今のところ、グリーンニンジャであるロイドだけ*4。しかも、ワルワル・サムライの主導権を握ったのは、ガーマドン卿だった(ように見えたが、実はガーマドンの主導権を握っていたのは闇の大帝だった。)。ワルワル・サムライを倒す力を手にするため、ニンジャ達はガーマドン卿が復活させた闇の島へと征く。闇の島で力を手にしたニンジャ。その一方で、終焉への秒読みは始まっていた。時計の針が0になった時、ロイドとガーマドン卿は戦わなければならない。そのガーマドン卿は闇の大帝によって肉体を乗っ取られていた。ロイドは、闇の大帝の中に眠る父の真実の声に耳を傾けながら大帝と勇敢に戦った。一旦は敗北し、傷を負ったが、黄金のスピン術マスターの力に目覚め、闇の大帝に勝利した。

 

相互理解と共生

共生はレゴニンジャゴーの世界の中でも重要なテーマのひとつだ。この作品には様々な背景を持つキャラクターが登場する。まず、味方側には、ある事件をきっかけに自分がアンドロイドだと知った青年や、家業を継がずに親から逃げている青年、悪の親玉を父に持つ孤児の少年、エレメントパワーに目覚めておらずニンジャになれない女性がいる。一方で、敵側には封印から目覚めた対立する種族の民とその長、それから、人間の妻子を持ち、蛇の毒のせいで悪に染まってしまったという悪の親玉がいる。様々な事情を持つ彼らには、敵同士・味方同士ですら理解し合うことが難しい。


例えば、ホワイト・ニンジャ/ゼンは、自分を記憶喪失の孤児だと思っていたが、実はアンドロイドだった。ゼンは人間の社会常識を知らないため、時々おかしい行動を取っていた。この世に生きる人々は多様である。自分の常識と異なることをしている人がいても、ある程度は寛容になるべきだ。なのに、ニンジャ達はゼンを笑っていた。ゼンが孤児やアンドロイドだと知らなくても、おかしい行動をとる人を見だりに笑ってはいけないはずだ。その人の生きる背景を察する力はこの世で生きる上で重要なのだ。


同様に、敵側にも問題がある。ヘビヘビ族には種族内・種族間の対立関係があり、それをアナコンドライ種族のパイソー将軍が無理やり統一した。他の種族の将軍たちはパイソーのことをよく思っておらず、パイソー亡き後は別の将軍が指揮をとるようになった。それ以前にヒプノブライ種族では種族内で下剋上が発生した。ロイドに従うスリスラ将軍に反感を抱いたスケールズはスリスラを倒し、自分が将軍になった。平和な世の中を作るためには、互いを理解し、共生することが必要だということだ。

 

ニンジャゴーの世界における善悪論

ニンジャゴーの世界では、悪を滅ぼすことが勝利ではない。ニンジャゴーの世界には様々な悪が存在する。悪を倒せば世界が平和になるかといえばそうではなくて、善と悪がバランスを保たなければならない。大いなる悪が現れた時、悪の一部は大いなる悪を滅ぼすため善の側につく。善の側も、力や心を利用されて悪の側につくことがある。そうやって、善と悪がバランスをとっているのだ。一方、ニンジャゴーの世界においては、善と悪で大陸が二分され、悪の大陸が封印されたという伝説がある。善の大陸に悪が蔓延る今、悪の大陸が復活してしまえば当然善悪のバランスが崩れるわけで、善と悪は秩序の崩壊を防ぐために戦わなければならない。それがシーズン2のクライマックスにおける戦いだ。

 

*1:グリーンニンジャはファイヤー・イナズマ・アイス・大地の4つのエレメントを合わせて第5の力を作ることができる。

*2:過去に飛んでレッド・ニンジャのカイがニンジャになるのを阻止する、ロイドが修行している道場に取り立て屋を派遣する(&金を払えるだけの賞金が出るレース大会に出場し、妨害行為をする)など

*3:不思議な杖・メガウエポンを手に入れたガーマドン卿は、骨の化石から古代生物を復活させる。古代生物を復活させるのを阻止しようとしたニンジャは、若返りの術に巻き込まれて幼児化してしまう。その場にいなかったロイドは巻き込まれずに、元の年齢のままだ。年齢を元に戻す「明日の茶」を使ったことで、ニンジャ達の年齢は元に戻り、古代生物も骨に返った。だが、同時にロイドも大人の姿になってしまった。

*4:そもそも、グレートヘビヘビを倒すのにガーマドン卿の力が必要だったのは、ガーマドンが4つの腕を持っていて、ニンジャの4つの「ゴールドの武器」を同時に使えたからだ。ゴールドの武器があれば、ニンジャは真の力を発揮できる。しかし、その武器はガーマドンの手に渡ってしまい、メガウエポンに作り変えられてしまったため、今は存在しない。つまり、4人のニンジャは真の力が使えないのだ。

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