『バトルスピリッツダブルドライブ』第31話「究極の牙!」
茂上駿太とヨク・アルバトロサに敗北した大牙和巳は、カブトーとイヌイ将軍に馬鹿にされたことから、タツミに決闘を申し込んだ。コアがひとつのスピリットが並ぶ和巳のフィールド上に海魔神が召喚され、さらに「海王神獣トライ・ポセイドス」の効果でフィールド上のスピリットが最高レベルになった。和巳の勝利は確実かのように思われたが、マジック「ポイズンブレス」でコア1個のスピリットではライフが減らなくなり、ターンが終了した。
次のターン、タツミは辰の十二神皇ウロヴォリアスを召喚し、ソウルコアをライフに封印した。和巳のターン、ウロヴォリアスの「呪縛」の効果でコアが1つのスピリットたちが全滅し、和巳はなすすべもなく敗北した。癇癪を起こして机や椅子を破壊する和巳に対し、シシは「禁断の大いなる力」を授けようとする。
明らかになる和巳の過去
和巳が駿太を憎んでいるのは、自分から愛(の根源である勝利)を奪ったためであった。駿太自身には何も罪はないのだが、それは逆恨みに近かった。和巳は両親が離婚して以来、ひとりぼっちだった。いつも食卓の上には、冷たい食事と「温めて食べてね」という母の書き置きだけが残されていた。
しかし、それを埋め合わせてくれたのが、バトスピで勝利した自分を認めてくれる友達だった。和巳は、出ていった父からプレゼントされたバトスピのカードを大切にし、いつか父が帰ってきてくれることを、みんながずっとそばにいてくれることを信じ続けていた。
ところが、彼の前に、幸せな家庭で暮らす少年・茂上駿太が現れた。和巳は駿太に敗れ、連勝記録を失った。和巳は愛を奪われたも同然だった。午の十二神皇エグゼシードにあれだけ執着していたのも、強いカードさえあれば愛を取り戻せると思ったからだろう。このように、和巳は仇としての駿太に憎しみを募らせていくのだった。
アルティメットが登場しなかったメタ的説明と本筋への接続
和巳が絶望していく様を描く中に、サンドラッドが暗黒バトラーから子の十二神皇マウチューを奪われないように、駿太たちがデッキを組むというシーンが挿入された。勘のいい人であれば、メインキャストにギャラを発生させるためとか、アルティメットがなぜ登場しなかったのか言い訳をするためという裏の事情を察することができるだろう。だが、実はこれこそ本筋につながる話だった。
駿太とヨクの世界では、アルティメット*1は一般に普及したカードだった。しかし、スピリッツワールドでは畏れの対象であり、人間が触れてはならないものとして忌避されている。
その説明が入った後で、和巳がそのアルティメットと対峙するシーンが入る。実際にアルティメットは、椅子を粉々にできる人間を吹っ飛ばすほどの力を発揮していた。まさに計算尽くであり、要らないシーンではなかった。そして、前述の和巳が駿太を憎む理由が説明される。ソウルドライブの効果を持つであろうアルティメットたちが和巳に魂を捧げるよう迫るが、和巳はためらいなくソウルコアを砕いた*2。一見不要に見える日常シーンが見事に本筋への接続になっていたのだ。
究極の力に立ち向かうために
次回、和巳の新たなキーアルティメット「ブラム・ザンド」が登場する。この世界の人物はアルティメットに対する耐性はない。それどころか、前作の登場人物を苦しめたソウルドライブの効果すら知らないはずだ。駿太たちやタツミが、魂と引き換えに発揮する究極の効果にどう立ち向かうかにも注目が集まる。そして、第三勢力の登場に、エトの陣営とタツミの陣営がどうしていくのか気になるところだ。