ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『アイドルタイムプリパラ』第14-15話 今の世相をよく表している!? 不幸アイドル・幸多みちる

無理矢理アイドルをやらされるアイドル

『アイドルタイムプリパラ』の14-15話はあまりにも強烈だった。意志が弱くて不幸体質な中学生・幸多みちるが、初等部の6年生(しかも転校生)からマインドコントロールを受け、古代文明の姫君という設定でアイドルデビューしてしまうという話だ。その小学生というのはゴス系で、みちるは彼女の言っていること(右肩に霊が乗っているとか、前世は古代文明の姫君とかいう嘘)を信じ込んでしまう。


周りが静止してもなお不幸体質と右肩の肩こりを治したいみちるは、小学生のいいなりになってしまう。彼女はこのままでよいのだろうか? そして、先輩と知らずに強い態度をとってしまい、引くに引けなくなった黒須あろま。彼女はこのままでよいのだろうか?

 

 

 

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東洋社会の闇がいっぱい詰まった残酷なコーデね!

今回の話がいたたまれないと思ったのは私だけではないだろう。後輩からいじめられるみちるが不憫すぎるし、先輩をいじめざるを得なくなったあろまも同情の余地がないわけではない。気を強く持つことを要求する後輩。どちらにしろ、変わる手段としてプリパラの利用を要求してくる後輩。変われない自分を擁護し、匿ってくれる先輩(ただし、プリパラの撲滅を願う)。いろんな闇が詰まった素敵なコーデね!

 

やめられないいじめ

日本社会は一度始まった悪習をやめられない。今回の構図はとても滑稽で、後輩のいじめから抜け出せない先輩と、先輩だと気づかずにいじめてしまい、引くに引けなくなった後輩の関係が泥沼化したというものである。


みちるはあろまのことをあろま様と呼んでしまう始末で、ほとんど洗脳されている。逃げたくても相手が追ってくる。それはまるで退職を認めないブラック企業のようだ。おまけに、みちるはあろま様についていけば自分に利益があると思い込まされている。逃げたくても逃げられないので、思い込まざるを得ないのだ。


一方のあろまの側も、やめたくても、やめたら自分に制裁が下るのでやめられない。支配が成功すると思い込んでいる。やがてその快楽に嵌っていく。廃業したブラック企業の残党が新たなブラック企業を立ち上げたなんていう話もよく聞くので、一度構造化した支配から逃れることは支配者にとっても容易ではないのだろう。スタンフォード監獄実験やアイヒマン実験がそれを証明しているように。


日本社会ではそれにプラスして、構造や上層部が腐敗しているので誰も助けてくれないという諦念や、告発が恥である(集団の和を乱す)という思い込みがある。これは後の話にも関わってくるが、日本の全体主義と年功序列は悪い文明だ。

 

強くあれという要求

人は強くなければならないという風潮がある。ビジネスなどの公衆の面前では、どんなに気弱であっても、強い自分を演じなければならない。みちるの場合も本当は気弱なのに、アイドルとして公衆の面前に立つ以上気高くなければならない、という暗黙の要求に答える形で強気のキャラを演じている。


それで、いざ舞台から去れば、自分がやったことに恥じらいを覚えるようになる。この後の話にも絡んでくるが、日本の場合、適材適所というよりも年功序列で、ある一定の年齢になれば特定のことをできるようにならなければならない。そして、年次に応じて自動的に昇格する。どんなに弱い人でも長にならなければならないのだ。


後輩の虹色にのからも、あろまに対してきっぱり言えという要求が"降る”。あろまのいじめから逃げたところで、後輩の真中らぁらと夢川ゆいがプリパラに誘ってくる。どちらに転んでも強くなければならないし、地獄だ。地獄委員長に匿ってもらうのが、一番安全で天国である。

 

後輩においていかれる先輩

みちるが後輩であるあろまにものが言えない様子は、まさに若々しい後輩の勢いに勝てない先輩そのものではないだろうか? 後輩の方が自分よりも技術や知識を持っていて、先輩である自分の面目が立たないということはよくある。特に、IT化が進むにつれ、文明の利器を巧みに使いこなし、自分よりも成果を挙げる後輩が多くなったように思う。


みちるとあろまの関係で言えば、学校の学年で言えばみちるの方が上だが、アイドルの技術(Excelとかコミュ力とかそこらへんで置き換えてほしい)その他ではあろまがみちるに圧倒的な差をつけている。結果として、みちるは後輩であるあろまに頭が上がらない。


たしかに、西洋においては先輩・後輩の関係はあまり重視されず、年長者が年少者よりも能力が低いことに恥はないらしい。だが、儒教社会の日本においては、先輩は常に後輩の優位に立たなければならないという風潮がある。そのため、後輩よりも劣っているみちるは恥を感じざるを得ないのだろう。これが気の強い先輩であれば後輩いじめになるのだが、気の弱いみちるの場合、本当に頭が上がらない。

 

構造的暴力への諦念

結局、みちるはあろまの小悪魔として、プー大陸の姫・ミーチルとして生きることを決めた。彼女はいつまで続くだろうか? それから、あろまはいつ謝るのだろうか? そして、番組の最後に出てきたファララ・ア・ラーム。一体何川ゆいなんだ……?

 

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