怪人の死は勝利ではなかった……
『仮面ライダービルド』の衝撃的な展開と役者の演技が話題になっている。
第21話「ハザードは止まらない」の見逃し配信は、東映特撮ファンクラブから有料視聴できる。
今作はもともと、戦争をテーマにしていて、仮面ライダーシリーズの中でも挑戦的な作品だった。
しかし、人間の死をストレートに描いたことから、視聴者が衝撃を受けている。
今回はこの番組について書く。
ここまでの設定
3つに分かれた日本のうち、「東都」と「北都」が戦争をしている。
主人公の「仮面ライダービルド」と「仮面ライダークローズ」は、東都の仮面ライダー。
ビルドは相手を傷つけるための戦争や、仮面ライダーを兵器として扱うことに反対の立場だ。
一方のクローズは、ビルドや国を守るためなら攻撃をいとわない。
「仮面ライダーグリス」と3人の怪人は北都に所属している。
3人の怪人(人間が変身する)は、グリスの部下であり、長年の付き合いであった。
宣戦布告してきたのは北都であり、4人は戦争に対して肯定的な立場である。
ここまでのあらすじ
強敵・グリスに手こずるビルドたち。
それに加え、強力な変身ベルトを使うクローズは、力を制御できずに暴走するというデメリットを抱えていた。
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東都では、ビルドを助けたいクローズが1人で戦おうとするが、クローズを助けたいビルドもまた、禁断の力を手に入れようとしていた。
一方の北都でも、グリスを助けたい3怪人が死と隣り合わせの禁断の力を手に入れたのだった。
そして、今回、クローズを止めようとしたビルドがついに禁断の力を解放してしまう。
暴走したビルドは目に映るものを見境なく破壊しはじめ……
話のポイント
危険物には扱う者の資質が不可欠
この話の教訓は、危険物を扱うにはそれ相応の能力が必要であるということだ。
ここで、ドラマの設定を振り返りたい。
今作にスリルを与えている設定のひとつに、「ハザードレベル」がある。
これは、危険物を扱う資質を数値化したものだ。
クローズが強力な変身ベルトを使えるのはこの数値が一定の基準を超えているためで、暴走するのは制御できる水準に達していないからである。
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ビルドはこの数値が低いので、強力な変身ベルトを使えない。
その代わりに、ハザードレベルが低い人でも使える禁断のアイテムがある。
もちろん、ハザードレベルが低い人は危険物を扱う能力も低いので、より暴走しやすい。
結果として、3怪人のひとり「スタッグハザードスマッシュ」の命を奪ってしまった。
ハザードレベルを上げる方法
暴走を止めるためには、ハザードレベルをあげなければならない。
そのために必要なのは、戦闘の経験値を積むこと。
それに加え、ビルドは2つの「フルボトル」を組み合わせることで数値では測れない力を発揮する。
グリスにはそれがないので、2つのボトルの組み合わせを活かすことが勝利の鍵となる。
「おやっさん」は失意のビルドを鍛え、二度と暴走しないようにしたようだが……
その結果は来週2/11の22話で判明する。
犬飼貴丈 迫真の演技
仮面ライダービルド/桐生戦兎を演じる犬飼貴丈さん。
人の命を奪ってしまい絶望する演技は素晴らしかった。
上ずりながら花を手向けるシーン、武田航平さん演じる仮面ライダーグリス/猿渡一海に泣きつくシーンなど、よかった演技は枚挙にいとまがない。
一方で、スタッフ側もシーン構成が優れていて、戦兎の心情と物語の流れがベストマッチしていたと思う。
戦兎が自分の罪に気づいたシーンから数日後の場面に移り変わる流れは、戦兎の絶望だけでなく絶望的な戦況(=ヒーローの必要性)も表している点で優れている。
ラビットタンクハザードフォームの暴走が始まるシーン、スタッグハザードスマッシュ/青羽の幻影が戦兎を苦しめるシーンなどの演出も最高で、平成ライダー史に残る神回と言って間違いないだろう*1。
両国は和解できるのか
近年、仲間になることが通例になっている3号ライダー。
ところが、今年は1号が3号の大切な人を奪ってしまうという衝撃的な展開になった。
果たして、東都と北都は和解できるのか?
そして、ビルドたちとグリスたちは、同じスカイウォールの惨劇の被害者*2として和解できるのか?
今後も、二国の関係から目が離せない。
ところで、『仮面ライダーエグゼイド』のVシネマが期間限定で劇場公開中。
劇場で観られるのは今だけなので、お見逃しなく。