「生徒会の先輩がライバル校に転校」の衝撃
『アイカツスターズ!』第97話「Bon Bon Voyage!」について、一部から疑問の声が上がっている。
この話数では、エリート養成校の解体と再編を描いた。
そのストーリーの中で、1人の名脇役が犠牲になった。
芦田有莉(あしだ・ゆり)である。
芦田有莉とは
芦田有莉は学園*1の優等生「幹部」として、主人公たちを導いた。
生徒会の仕事にも率先して取り組んでおり、学園の模範となる生徒だった。
2年目は主人公たちがトップアイドルになったことから、指導者としての役割がなくなってしまう。
だが、イベント回や画面の脇にちらほら登場していた。
主人公たちも生徒会の役員になったため、その関連で出てくることも多かった。
そんな中で、今回突然に芦田有莉は転校することとなる。
ヴィーナスアークとリスト・ユーリ
ここで言及しなければならないのが、ライバル校ヴィーナスアークとリスト・ユーリの存在である。
ヴィーナスアークとは
ヴィーナスアークは、「パーフェクト・アイドル」エルザ・フォルテが組織したエリートアイドルの養成校だ。
結果重視の厳しい教育をしており、劇中で退学者が出ていた。
その実力主義社会の実態は、エルザが母からの愛を受けるための道具にすぎなかった*2。
ヴィーナスアークの廃校
最強のドレスを手に入れ、目的の達成をほぼ確実にしたエルザはヴィーナスアークの廃校を宣言する。
だが、エルザと親しい関係だったアイドルたちはそれに反対し、学園を存続しようとした。
仲間たちの想いは届き、ヴィーナスアークはネオヴィーナスアークに生まれ変わった。
これからはエリートだけでなく、すべての入学希望者に門戸を開放する。
リスト・ユーリ
ヴィーナスアークが誇るエリートのひとりがリスト・ユーリだ。
芦田有莉と瓜二つで、口癖を英語にしただけという雑なキャラ付けである。
主人公たちが芦田有莉と間違えるというネタキャラだったが、その2人は出会ってしまった。
雑な退場
そして、卒業式を前に有莉がヴィーナスアークに転校するという衝撃の結末となった。
しかも、ノリノリで。
ネオヴィーナスアークがすべてのアイドルに開かれた以上、有莉にも入学の権利はある。
だが、3月のこのタイミングでヴィーナスアークに行くのは展開が雑すぎないか?
有莉がヴィーナスアークへ行くことの問題点
有莉がヴィーナスアークへ行くことの問題点としては、
- 学園を守る生徒会役員の役割と正反対の行動であること
- 有莉自身が先輩から後輩への橋渡しを大事にしていたこと
- 卒業式を前にして、展開が雑すぎること(伏線がなかったこと)
が挙げられる。
2つ目に挙げた橋渡しについては、ドレスメイクの仕方、会場の押さえ方などを後輩に教えていた。
有莉は学園のトップアイドルであり、生徒会役員でもあるため、情報が豊富にあった。
彼女自身も1年次から幹部の先輩に師事しており、それを恩に着ている。
彼女にとって、アイカツの輪を後輩につなげていくのは大事なことだった。
シリーズ全体としても、先輩から後輩にアイカツの輪(SHINING LINE)を広めていくことを大切にしており、芦田有莉はそれを体現していた。
各種ツッコミへの返答
はっちゃける場面はあったものの
芦田有莉は元からチャランポランなキャラだったのではないかという声もあるだろう。
有莉が生真面目なキャラかといえば、100%そうとはいえない。
幹部ーズというユニットを組んだり、食べ過ぎで体調を崩したりしていた。
だが、やりがいと業績が比例しないことを後輩に教える*3など、真面目な部分もあった。
少なくとも、何にもなしに転校するような人ではない。
ゲームでの活躍も
「サブキャラならば、退場しても問題ない」という批判もあるかもしれない。
たしかに、芦田有莉はメインキャラクターではなく、アニメやゲームでの歌唱シーンもなかった。
アクリルキーホルダーなどのグッズ展開もない。
だが、データカードダス「アイカツスターズ!」では有莉が登場するモードがあり、最近ではプレイアブルキャラクターにもなった。
アプリゲーム「アイカツ!フォトonステージ」でも、有莉が使えるようになっていた。
それなりのよい立場にあった有莉は、雑に退場した。
どうせ3年生でしょ?
芦田有莉は3年生である。
しかも、この番組は3月末で最終回を迎える。
だから、この先どうなってもよい気もする。
なら、有莉の行く末は描かずに、視聴者の想像に任せることはできなかったのか?
あるいは、他にヴィーナスアークに興味がある生徒を登場させ、描写を積み重ねていくことはできなかったのか?
3月じゃないんじゃね?
一方で、今の時系列が3月ではない可能性も考えられる。
だが、「S4戦*4」が近いことへの言及があることから、3月なのは確実だ。
ヴィーナスアークに高等部があるか、6月卒業なのかは不明である*5。
だが、少なくとも、3年3月のこの時期に四ツ星学園中等部の卒業を放棄してまで行くべきとは思えない。
今回の流れは、脚本会議などのその場のノリで決まったのではないだろうか?
ファンの気持ちも考えて
いずれにせよ、芦田有莉は雑に退場させられた。
有莉ちゃんファンとしては、今回の事件は許せない。
以前にも、一時的に登場する予定だったモブキャラが人気になった例があった。
そのキャラは交換留学でいなくなるなど不遇な扱いを受けたが、ゲームで救われた。
でも、芦田有莉はもう帰ってこない。
ファンはこの切なさをどうすればよいのだろうか?
製作陣はファンの気持ちを考えてほしい。
*1:主人公の所属する「四ツ星学園」は入学試験にさえ合格すれば誰でも入れるアイドル学校。今回問題になっている学校をライバル視している。
*2:エルザは最強のドレスを着る選ばれしアイドルになろうとしていた。そうすることで、選ばれしアイドルであった母の愛を受けられると思っていた。そのために、最強のドレスを出現させる「鍵」を解放できるアイドルを養成する学校を作った。
*3:1年目で、1年生のアイドルが子どもの笑顔と大きなステージを天秤(てんびん)にかけるシーンがあった。そのとき、大きなステージを蹴れば、今後のキャリアに影響が出ると忠告した。
*4:学園トップを決める学内大会。3年生も参加できるが、結果のいかんを問わず、下級生がトップになる。
*5:エルザの出身国はモナコ公国と考えられるが、中等教育は11歳から17歳の間に行うとされ、9月入学・6月卒業である。