まだ追いつける!『アイカツスターズ!』の魅力
他の方が布教記事を上げていたので、私も怪文書を作った。すでに半年以上放送した『アイカツスターズ!』だが、少し長い深夜アニメ+OVAぐらいの感覚で観ていけば、まだまだ追いつける。髪の長いお姉さんなど、女児人気を意識したキャラクターもいる一方で、特殊能力に苦悩する少女など、成人男性の男心をくすぐる要素もある。
放送開始当初は前作『アイカツ!』の優しい世界が失われたという悲観的な意見も多かったが、今は独自の感性を持つ別の作品として受け入れられている。この記事では、用語とキャラクターを中心にだらだら解説していきたい。
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用語
四ツ星学園
今作の舞台となるアイドル学校。専門分野によってクラスを分けるシステムや、ドレスを生徒自らデザインする「ドレスメイク」など、前作の学校と異なる部分がある。学内にテレビ局があり、(内か外かは不明だが)専属のレコード会社もあるようだ。学園長の諸星ヒカルは男性であり、眼鏡をかけていて怖そうな見た目である。デスクの上には、S4の制服(後述)を着た少女の写真があり、過去になにやら会ったことをうかがわせる。
組
「組」はホームクラスのことではなく、レッスンクラスを指す。4つに分かれていて、各組のトップが学園のトップアイドルS4となる。レッスンクラスは専門ごとに分かれているが、それだけをやるわけではない。また、ホームクラスでも各分野の基礎レッスンはする。アイドルのタイプ(属性)やブランド*1とは関係ない。
花の歌組
歌を極めるクラス。担当教員は元S4の響アンナで、現S4は白鳥ひめ。ひめはひめトレと呼ばれる、一見優雅に見えて実は厳しいトレーニングを課す(空気椅子で紅茶を飲むなど)。
鳥の劇組
演技を極めるクラス。担当教員は元S4の八千草桃子で、現S4は如月ツバサ。八千草は抽象的な指示を出すが、ツバサは要求を形にできる。
風の舞組
ダンスを極めるクラス。担当教員はデーブ佐東。現S4は二階堂ゆず。現在、舞組の1年生メインキャラがいないため、描写が少ない。だが、熱血漢の佐東が熱く教えているようだ。
月の美組
ファッションモデルなど、美しさ全般を極めるクラス。担当教員は美羽玉五郎。頭にペットボトルを載せて平均台を渡るなど、相変わらずのアイカツである。現S4の香澄夜空は2Lペットボトルを頭に載せる。
S4
S4は前作の神崎美月*2の役割を4分割したキャラである。前作では先輩キャラが実質、美月1人しかいなかったため、これまた珍しい立ち位置である。高い地位にあるため、憧れの対象となっているが、彼女たちが完璧な存在ではないことは、番組を通してわかってくる。全員髪が長いお姉さんキャラだが、性格や後輩との接し方が少しずつ違う。
4人でネット番組を配信していて、生徒たちにとっては遠すぎない存在になっている。4人の仲は良く、いつも4人だけで星々の集いというお茶会を開いているようだ。一方で、ソロでも活躍している。彼女たちが1人で輝けるのは、仲間がいるからである。
前作ではデザイナーが許せば誰でももらえた「プレミアムドレス」(最高級のドレスで、一点もの)は、今作ではS4のみに許されていて、S4がプロデュースに関わる。つまり、販促の都合上、序盤から先輩のライブがある。制服はS4専用の赤色(どこの大佐と同じとは言わないが)のものになっていて、夏服がない。後述する幹部服も含め、データカードダスでカード化されている。
キャラクター
メインキャラクターについては、ビジュアルとともに公式ウェブサイトなどに掲載されているが、前述の先生やサポートキャラクターは載っていない。本編で確認されたい。
虹野ゆめ
キュートタイプの主人公。白鳥ひめに憧れて、S4になるために四ツ星学園に入学した。小学校の授業のとき、作文に夢が書けない七倉小春に一緒にS4になろうと誘っている。小春とともにS4のライブを観に行き、S4になることを誓った。組もひめのいる歌組、タイプもひめと同じキュートタイプである*3。
謎の特殊能力
第1話のお披露目ライブで「あの力」*4を発動したことで注目される。ただ、力が発動しないと、アイドルとしては人並みだった。実力が上のローラに追いつこうと頑張った結果、現在は素の状態でも上位に食い込めるようになっている。しかし、「あの力」が発動するとゆめは倒れ、喉を痛める。その力のために当初より諸星学園長から目をつけられていた。
嫌なことには嫌と言う主人公
前作までは聖人のような主人公(星宮いちご・大空あかり)だったが、今作はやや俗っぽくなっている。M4の結城すばるに対しては、「私をからかってくる男子」と認識して高圧的に接している。また、気に入らない子にも高圧的に接している。それから、名前の通り夢見る女の子として描かれていて、妄想癖がある。大食いキャラはいちごから引き継いでいるようだ。
髪はツインテールのゆるふわヘアで、金髪にピンクのグラデーションがかかっている*5。家もケーキ屋さんと、俗っぽくない部分もある。だが、ひめとS4のこと以外アイドル業界に無知であったり*6、まだ男の子に興味がなかったりするなど、視聴者に近い属性を持たせて、バランスを取っている。そうした子どもっぽさはあるものの、近所の小さな女の子に対しては、優しく、お姉さんらしく対応できている。
桜庭ローラ
クールタイプのライバル。プロ意識・エリート意識が高く、実際に名家の令嬢である。歌組では1年生トップの成績だが、あの力を発動させたゆめには敵わない。遅刻癖があり、入学式から遅刻していた。
覚えやすい口癖とわかりやすいライバルキャラ
「面白いじゃない」が口癖であり、前作の霧矢あおい*7を彷彿とさせるが、実際のポジションは音城セイラ*8や紫吹蘭*9に近い。少年漫画にもよくあるが、努力一筋のシビアなライバルである。
髪色は濃いピンクで、髪は巻いている。同い年のゆめよりややお姉さんに描かれていて、食べ過ぎであったり、無知であったりするゆめによく呆れている。その一方、酢昆布が好きで、仕事のためなら鯛焼きの着ぐるみを着て踊る(仕事にシビアだから!)というギャップや面白さも兼ね備えている。
個性や能力に対する葛藤
ローラは、実力の高い凡人である。ゆめのような特殊能力もなく、ただただ成績がよいだけだ。そのため、自分の個性や能力について葛藤する場面が多い。ただし、1つの席を争うゆめとの関係については、そういうものだと割り切っているようだ。私が勝つと言われれば、「面白いじゃない」と挑戦に乗るが、一方で、友人としての関係を断ち切ることはしていない。
ライブでゆめと初めて組んだ際は、体力や知識がないゆめに高圧的な態度をとった。だが、ライブ以降はきちんと特訓したゆめの実力を認めている。「あの力」を発動しなかったゆめに対して他の生徒が期待外れだと陰口を叩いた際も、ゆめの実力は本物だときっぱり言っている。プロ意識ゆえに、自分が認めた相手を批判することは許せないのだ。
七倉小春
主人公の幼馴染で解説キャラ。知識はあるものの未熟な面も多く、大人っぽさがテーマのセクシータイプには異端の存在。ポケットに飴を隠し持っており*10、持ち物検査に引っかかっている。ゆめからは「小春ちゃんのポッケはびっくり箱」と言われている。眼鏡キャラで、眼鏡を外した素顔は絶対に見せない。
あくまでサポートキャラという立ち位置
メインキャラの中で唯一、CGと歌唱担当*11が存在しない。4という数字にゆかりの深い『アイカツスターズ!』において真昼と同じ美組であり、そもそも5人の曲というのが歴代でも稀である。しかも、スクールドレスも真昼とお揃いの色違いになっている*12。髪色は紫という人気色だが、髪が短いことはメインターゲット層にとっては大きな汚点かもしれない。眼鏡キャラも同様だ。
ただし、ゆめのルームメイトであるため、出番はほぼ毎回ある。業界のことはよく知っているので、前作の霧矢あおいの解説ポジションを受け継いでいる。ゆめとはホームクラスもレッスンクラスも違うため、レッスンで一緒になることはない。だが、食事や学校行事ではいつも一緒になる。
ゆめとの関係
そもそも、小春が四ツ星学園に入学したのは、ゆめの後押しがあったからだ。小学校の授業で作文に夢を書けなかった小春に手を差し伸べたのは、ゆめだった。その後、「組活動」(見学)で香澄夜空に一目惚れし、ゆめとは違う美組を選んだ。前述の設定面や体力の面など、不遇な要素が多いが、健気にアイカツを頑張っている。そして、第29話では、ついに父の長期海外転勤が明らかになった。小春がどのような選択をするのかに注目が集まる。
早乙女あこ
同世代の少年に恋をするというアイカツシリーズにおける異端キャラ。M4の結城すばるの追っかけで、自室はすばるグッズで溢れている。劇組に所属しているのも、大女優になるためとは言っているが、すばると共演するためであることを仄めかしている。プライドは高いが、プロ意識は低い。頭が良く回るが、知識面はややM4に集中しているようだ。
萌え路線に見えるがそうでもない
萌えキャラにありがちな猫耳キャラだが、上にも書いた通り、男子に恋している。大きなお友達の中には、残念に思う人もいるだろう。一方で、M4と番組で共演した際、M4の吉良かなたにアイドルとしての自覚に欠けることを指摘され、考えを変える場面もあった。だが、その後もすばるへの気持ちは変わっていない。
恋する女の子 高飛車系アイドル
今のところ、異性に恋をしている女の子はあこだけである。その上、すばるに気に入られているゆめに嫉妬するなど、主人公の恋のライバル的な役割も担っている。いわば、ジャイアンやロケット団のような、話のための必要悪だ。劇場版では小春とともに伝説のコーデを巡る冒険をしていたが、実は観光客向けのアトラクションだった。
また、性格だけで言えば、前作の藤堂ユリカ*13に近く、女児に人気が出そうなキャラクターになっている。猫耳キャラではあるが、語尾に「にゃ」をつけているわけではなく(ですわ、ますわよ口調で話す)、猫の毛高き部分を模っている。
香澄真昼
アイカツどころか女児アニメでもそこそこ珍しい妹キャラ*14。プライドとエリート意識が強いが、瓦を割ったり、スイーツ(チョコレート)が好きだったりするなどギャップがある。登場時は小春のクラスメイト「真昼」扱いだったが、香澄真昼というフルネームが明かされ、香澄夜空の妹であることがわかった。姉と見た目や性格が異なることから、登場人物は妹と認識していなかったようだ。
厳しさと姉への想い
本格的な登場はちょうど七夕の時期だが、短冊に願いを書くことを拒否している。これは願掛けに頼らず、自分の力で物事をやり抜く姿勢の表れだ。兄や姉にはうんざりしており、姉の愛を強く拒絶した。常に姉に勝負を挑んでおり、敵対心を露わにしたこともあった。その真意は遊び相手だった姉が四ツ星学園(全寮制)に行ってしまい、寂しかったからだそうだ。ただし、和解した後も姉に負けたくない気持ちは変わっていない。
大人っぽい妹キャラ
登場時は、『アイカツ!』の人気キャラ・夏樹みくる*15に似ているという声もあった。真昼の髪は長く、メッシュが入っており、女児の好きな要素をカバーしている。(本来憧れの対象ではない)妹キャラではあるが、姉に負けじと美容を意識している素振りもあり、ちょうどよい大人っぽさになっている。ちなみに、アイカツキャラに珍しく、明確に胸が描かれている。
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参考文献
*1:現状、1タイプに1ブランドしかない。ブランドはタイプに依存しているので、キュートタイプのAブランドとクールタイプのAブランドが並立することはない。タイプはブランドにつき1つである。逆に、クールタイプのアイドルが劇中劇などのためにセクシータイプの衣装を着る場合がある。
*2:番組開始当初2年生だったトップアイドル。1年生のときからスターライト学園のアイドルの頂点「スターライトクイーン」であった。才能の塊というわけではなく、専用寮「美月パレス」のレッスン室の床を削るほど練習をしていた。深夜に及ぶ仕事の連続で倒れたこともある。3年次にスターライトクイーンに再々選出された際に退学し、新しいアイカツの形を探り始めた。
*3:前述の通り、現時点でブランドは1つしかないので、ひめと同じMy Little Heartのドレスを使用する。
*4:サビに入る瞬間にゆめの顔のカットが入る。ゆめの目が虹色に輝いていて、CG画面に戻ると虹がかかっている。1話ではすごいものと受け入れられていたが、その後、問題のある力であることが徐々に明らかになっていく。
*5:前作でもとられた手法だが、髪にグラデーションをかけたキャラは人気が高い。
*6:オフが何なのか知らなかった。
*7:主人公・星宮いちごの幼馴染で、通称アイドル博士。レアなアイドルや、アイドルのレアな表情を見ると興奮する。口癖は「穏やかじゃない」。
*8:2年目に登場する星宮いちごのライバル。ロックが好きで、物事を音楽に例えることが多い。ライバルとは言いつつも、喧嘩腰での衝突という表現は避けられていたので、ローラとは少し異なる。
*9:幼い頃から芸能活動をするジュニアモデル。中途編入のいちごとあおいを厳しく指導する。一方で、乾物やえびポンというゆるキャラが好きだったりするなどギャップがある。
*10:飴といえば、ポップ属性の要素。
*11:アイカツシリーズでは、声優ではなく、ディアステージのアイドル(でんぱ組.incの同僚ないし後輩)が歌唱を担当する。
*12:スクールドレスは、基礎のコーデ・初期装備のこと。アイカツでは、多人数ステージで同一ブランドの同一シリーズにコーデを統一することもあるが、スクールドレスが一番均整を保てる。
*13:吸血鬼の末裔という設定でキャラを作っている少女。運動が苦手なところや少女漫画が好きなところは後述の白銀リリィが受け継いでいるが、高飛車なキャラはあこのものになっている。
*14:前作の北大路さくらや氷上スミレは妹でこそあったが、兄や姉はアイドルではないので、真昼のような状況にはなっていなかった。
*15:ポップタイプだが、鮮やかな色使いで大人っぽい感じの服を身につけている。花屋のお仕事やサーフィンを意識した技を使うなど、大人っぽい印象がある。主人公たちより年上で、ギャルっぽい。口調からは普遍的な「女の子らしさ」があまり感じられないが、ちょうどよいお姉さんらしさが人気になっていた。