新シリーズ開幕!内容もパワーアップ
ベイブレードバースト新シリーズ第1話「世界へ!ヴァルキリー進化!!」は新しい舞台、キャラクター総入れ替えで、かつ主役機を入れ替えるというたくさんの要素が組み入れられた回だった。強豪チームにスカウトされ、新天地・スペインに足を踏み入れた蒼井バルトは海外のベイブレーダーに勝負を挑む。
今回は、オーソドックスな海外編でありながらも、ベイブレードバーストというシリーズのカタログでありつつ、これまでよりも強化された内容になっていた。前作の内容に触れつつ、この1話を振り返る。
ベイブレードバーストの特徴
ベイブレードバーストを見る上で必要な情報は2つある。ひとつは、今シリーズのベイブレードは構造が分解しやすくなっており、相手のベイの分解によって勝つ決まり手を「バースト」と呼ぶこと。もちろん、場外や回転が止まることによっても勝利する。
もうひとつは、このシリーズにおけるベイブレードは競技の道具であり、ベイブレーダーの声援に応える以外の神秘的な行動は一切起こさないことである。ベイブレードをただのスポーツに見立てた現実的な世界観であり、作中のほとんどのバトルが実戦か、実戦形式の練習試合である。以下は、1年目のあらすじである。
1年目のあらすじ
『ベイブレードバースト』は、ベイブレード競技に全力を注ぐ小学生の青春を描いた物語である。主人公・蒼井バルトはベイブレードが好きだが、全然強くない小学5年生。ベイブレード全国大会の地区予選で幼馴染の凄腕ブレーダー・紅シュウと戦うために、特訓と実戦を重ねる。トーナメントを戦っていく中で、バルトは様々な仲間やライバルと出会い、学校にベイクラブを設立した。そして、ついに決勝に進む。しかし、シュウは肩を痛め、ドクターストップを受けていた。シュウは怪我を押して出場しながらも善戦し、バルトは敗れた。
wbba(世界ベイバトル協会)エリア選抜大会に出場し、敗者復活を狙うベイクラブのメンバーたち。バルトを含む数人は個人戦への切符を手にした。その上、部員の善戦が認められ、全国大会団体戦に出場することも決定する。これを受けて新しくベイクラブに入ったメンバーとの衝突もあってチームはギクシャクするが、見事決勝に進むことができた。決勝の相手は、日本最強と謳われるベイブレーダー・白鷺城ルイ率いるライドアウトである。
ルイに敗れたベイクラブは気を取り直して個人戦に挑む。バルトは卑怯な手を使う敵に翻弄されながらも、全国大会を勝ち抜いていく。その中で、全国のトップ4にあたる四転皇を次々と倒していった。そんな中、同じく四転皇であるシュウ(左撃ちに転向)はライバルのルイを前に敗れるどころか、ベイまで壊されてしまう。親友の無念を胸に、ルイに挑んだバルト。スタジアムにヒビが入るほど白熱したバトルは、衝撃の結末を迎える。
ベイブレードバースト神はここが神
ベイブレードバーストゴッドは、いろいろな点でパワーアップしている。
自然なインフレ
いきなり世界編に突入するためか、パワーインフレが自然である。全国大会での活躍を機にスペインのBCソル*1にスカウトされたバルトは、街角のベイブレーダーにバトルを挑む。しかし、世界レベルのブレーダーに歯が立たず、しかも運悪くベイを壊してしまう*2。新シリーズに入って主人公が弱体化するという展開もよくあるが、今回は世界レベルの強敵を前にベイが破損するという展開を挟んできた。バルトが加入するBCソルは強豪という設定だが、バルトはついていけるのだろうか?
解説による販促の強化
今回、目についたのが解説パートである。クライスサタンには、レイヤー(上部パーツ)とドライバー(下部パーツ)にローラーが付いているというわかりやすい特徴がある。それを、映像を使って視聴者の目に焼き付けた。ベイの持ち味を効果的に宣伝していると言える。
前作では「◯◯は××な構造になっているので、△△する」というような言葉での説明があるだけだった。語彙が難しいので、小さな子どもには理解しづらいかもしれない。だが、今回は文字情報と映像を同時に流しているので、すごくわかりやすい。ベイバトルの正式なプロセスである相手のベイに不正がないか確かめる時間も解説に使われていた。
一方のゴッドヴァルキリーもバネの付いたレイヤーを使って効果的に攻撃している。ヴァルキリーのときにはローラーで無力化された攻撃が、バウンドアタックによって有効になっている。まさにゴッドヴァルキリーの強みを活かせるよう計算し尽くされた対戦カードだった。
スタイリッシュに魅せる
前作に比べ、CGが進化している。前述のベイのギミックが効果音とともにアップで描写されるだけでなく、バーストのシーンがあたかも神技のようにスローモーションで表現されていた。格好良さが10倍増しぐらいになっている。前述のように、CGエフェクトで商品の特徴を視聴者の目に鮮烈に焼き付けているわけだが、これは宣伝だけでなく、キャラ付けの理解にも繋がる。
例えば、普通のバトルアニメであれば、登場人物ごとに剣であったり、銃であったりと様々な武器を使う。しかし、ベイブレードにおいては全員が同じ形のベイを使う。そのため、細かなディテールを表現しないと、どのベイが誰のもので、どのような特徴を持っているのかを理解してもらえない。すでに色被りが発生しているので、細かい特徴を押さえておかないと覚えづらい。
もちろん、新シリーズの第1話であり、初めてベイブレードバーストに触れる人もいるはずだ。そういう人にどういうところがこのホビーの醍醐味なのかもわかってもらえたと思う。CGの魅せ方のおかげで、パワーアップしているというのが今作の特徴だ。
ここが残念
ベイブレードを乗り換えてしまう
おもちゃを販促するアニメである以上、主役機の交代は仕方ない。しかし、バルトは長年共に戦ってきた相棒・ビクトリーヴァルキリー*3を手放すこととなる。相棒を乗り換えないで新しい商品を出すには、進化という設定が一般的だが、現実的な世界観のベイブレードバーストにおいて、ベイブレードの進化は望めない。その結果生まれてしまったのが、「進化」の名の下に新しいアップデート版のベイを作るという展開だ。
ゴッドヴァルキリーはヴァルキリーの名前こそ受け継いでいるものの、ほとんど別物になっている。バルトのアイディアを元に謎のテクノロジーでレイヤーと呼ばれる上部パーツを生成し、それに既製品の新しいディスク・フレーム・ドライバーを組み合わせてできたのが、ゴッドヴァルキリーである。
異国感がない
もうひとつ残念なのは、販促に時間が割かれている影響で、異国での驚きや新発見、あるいは困難や苦悩が描写できていないことだ。言葉は通じるし、外国語(スペイン語)も出てこない。料理の屋台はいくつかあったが、イタリア料理のピザが最前面に出ていた。無理にスペインにせずに、架空の国にすればよかったのではないかとすら思う。場所がわからないというシーンや人混みで迷うシーンはあったが、もっと外国が活かせるシーンはあったはずだ。それから、ナチュラルにひとりで海外に行っているが、保護者はつけたほうがよかったと思う。あ、そのためのゾロか。
リアリティが失われている
スポ根の中にあるリアリティがこのアニメの特徴だった。だが、バルトの下手な絵をスキャンすると新しいレイヤーが自動的に設計されたり、ベイの声を聞くことがほとんど超能力のように描かれてしまったりと、現実味に欠ける描写が増えてしまった。ヴァルキリーの声を聞くだけではなくて、バルトが無意識にベイの特徴を掴んで実戦に反映させたことを明示したほうがよかった気がする。(あくまで一視聴者としての意見だが。)
一方で、CMでは「神の力で進化」と宣伝されていたゴッドシリーズのベイは、エンジニアの手で進化していたので評価できる。急に神というファンタジー要素を出すかと思ってヒヤヒヤした。いずれにしても、前作・バーストが比較的現実的だっただけに、ファンタジーに寄りすぎるのはよくないと思う。
エンディングのダンスが実写
エンディング(ED)は玩具のCMなどで活躍している白人と黒人の男性によるダンスである。EDがベイササイズであることは公式サイトのオープン時からわかっていた。だが、それがこのような形になることはほとんど告知されていなかったと思うので、不意打ちである。同じタカラトミー作品では、『デュエルマスターズVS』や『プリパラ』、『カミワザワンダ』でも似たようなEDをやっているが、今回は反則に近い。てっきりバルトの絵(もしくはCG)が踊るものだと思っていた。次番組の『パズドラクロス』でも先週あたりから走るEDがダンスになっている。もはや踊らせたいのか笑わせたいのかわからない。ダサいほうが子どもに人気が出るという先人の知恵があるので、子どもにはウケている(面白いという意味ではなくて)と思いたいが。
寄り道:ダンスエンディングの効果
一般に、ダンスEDには次のような効果があると思われる。
- 幼稚園のお遊戯会や小学校の運動会などでダンスを踊ってもらうことで、作品の宣伝になる。
- 動画サイトにダンス動画を投稿してもらうことで、作品の宣伝になる。
- 番組にダンス動画を投稿してもらうことで、優良な顧客の存在を確認することができる。視聴者に一体感を持たせることができる。
- (CGを使う場合は)視聴者にCGを楽しんでもらうと同時に、技術を誇示することができる。
- (プロモーションビデオを流用することで)アーティストの宣伝になる。
- 奇抜なダンスをすることで視聴者の気をひくことができる。
新たなベイとシュートに期待
『ベイブレードバースト神』第1話はベイブレードバーストという作品をよく表しつつも、宣伝すべき新しい要素をしっかり詰め込んだ回だった。舞台を世界に移して白熱するだけでなく、ベイブレードの特徴をよりわかりやすく描写し、販促に繋げている。たしかに相棒を平気で手放したり、せっかくの海外を美味しく料理しなかったりと残念なところはあるが、世界を舞台にして更に面白くなることを期待したい。
ところで、他にも「進化」したベイが登場することはCMですでに明かされている。そうしたベイの特徴をいかに効果的に表現できるかもそうだが、この作品の特徴であるシュート技にも注目が集まる。今はゴッドヴァルキリーの特徴を掴み、慣れるため、特殊なシュート技を封印している。バルトはゴッドヴァルキリーのバウンドアタックを活かすシュート技を編み出せるのだろうか?
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