スクールガールストライカーズの入門本!
人気アプリゲーム「スクールガールストライカーズ2」(スクスト2)には、漫画版がある*1。
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スクスト2は、平行世界を股にかけ、少女たちが時空の平和を乱す悪に立ち向かう作品だ。
一方、漫画版では公式シナリオライターの監修のもと、少女たちの日常を描く。
全5巻(実質6巻)で、スクストの世界観とキャラクターを知ることができる良本だ。
今回は、コミックのことを紹介したい。
コミック版の特徴
ゲームでは表現できないコト
スクストのゲームは3Dポリゴンなので、だいたいの動きは表現できる。
しかし、細かい表情や少女たち以外の人物を描くのには、制約がある。
そこで、コミックでは少女たちの過去など、ゲームでは描けない部分にスポットを当てる。
ゲームとのリンク
コミックの内容をゲームで回収したり、ゲームの内容をコミックで広げたりしている。
そのため、ゲームとコミック、どちらから入っても楽しめる。
印象的なのは、味覚狩りに行くエピソードが漫画とゲームで連動していること。
漫画に登場した「ドルチェフォーム」のコスチュームがゲームでも登場している*2。
ほかにも、漫画で出たものをゲームで回収している例がいくつかある。
一方で、敵に操られていた「降神三姉妹」の過去など、ゲームでは仄めかす程度だった内容も扱われている。
ゲームでほとんど語られていない内容を回収するのも、コミックの役割だ。
とはいえ、キャラクターなどの説明はしっかりしているので、コミック単体で楽しめることは誤解のないように。
アニメではカバーされないキャラも
ちなみに、スクストはアニメ化もされている。
ゲームとは別の平行世界のお話だが、エッセンスはだいたい一緒である*3。
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ただし、アニメはゲームのストーリー第1章をもとにしているため、第2章で登場するキャラの描写がない。
それから、2018年9月時点で、ガチャの商人「ハナちゃん」の日常が描かれているのはコミックだけだ*4。
コミックチャンネルは少女たちの過去と今を表情豊かに描く。
ゲームとつながる内容もあるが、ゲームをやっていなくても大丈夫。
アニメ版にはいないキャラの話もある。
いろいろなシーン
日常シーン
アニメでは「アルタイル・トルテ」中心、ゲームでもポリゴンと背景で描かれる日常シーン。
コミックでは意味深な過去話がありながらも、何気ない日常も描かれている。
雪合戦や将棋などを通じたキャラクター同士の交流は名作ぞろい。
川下りやお神輿など、大人数のレクリエーションは漫画だからこそ描ける内容ではないだろうか?*5
等身大の少女たちを描く回想シーン
スクストには多彩なキャラクターがいて、さまざまな人間関係がある。
しかし、どういう経緯で友達になったのかなどは、語られないことも多い。
また、別の平行世界の話で描かれても、それはしょせん別の世界の話であって、「正史」ではない。
そういう意味では、コミックの世界は主人公たちの世界と同一なので、信用できる。
さて、回想シーンを一言で表すとすれば、「等身大の少女たち」である。
- 親に将来を定められた少女
- 高校生でありながら、家を支えなければならない少女
- 早く自立したいと生き急ぐ少女
などのゲームでは語られなかった過去が明かされる。
彼女たちを救ったのは紛れもない、仲間だった。
辛い過去の回想で垣間見えるエモーショナルな表現も見逃せない。
変身&戦闘シーン
変身シーンと戦闘シーンは、漫画というプラットフォームを活かして描かれている。
例えば、ゲームでは変身シーンは効果音とともに衣装が切り替わるだけだ。
しかし、漫画ではメモカ(収集アイテム)をパトリ(変身アイテム)に挿すところを印象的に描く。
しっかりした変身バンクに関しては、ゲームの「幻装変身」およびアニメチャンネルでご覧いただきたい。
戦闘シーンは、激しいタッチで躍動感豊かに描かれている。
アニメでも「動いていた」が、コミックでは静止画ならではの迫力がある。
- 戦いの激しさを表す「ドォン」「オブ!」という擬音。
- 線を活かしたすさまじい斬撃の描写。
- 白黒だから表現できる激情。
ゲームやアニメには出せない臨場感が漫画にはある。
日常シーン……漫画だからこそ描ける日常も。
回想シーン……ゲームと同一の世界で、等身大の少女たちが描かれる。
戦闘シーン……漫画ならではの躍動感・臨場感。
8話にわたるイミナとマリの描写
驚異とも言えるのが、特定の2人の人物を描くエピソードが30話中8話を占めることだ。
どちらかにスポットが当たるものを含めれば、もっとある。
- 「刹鬼」と言われた少女・居吹イミナ
- 命を顧みない少女・雪代マリ
作者の趣味もあり、この2人の登場回が全体の4分の1を超えている。
イミナはパティシエールを目指しているが、不良だった過去の呪縛から逃れられずにいる。
マリはクールに振る舞うが、本当は孤独だった。
そんな2人が敵に幻を見せられたことで、互いの過去と今を見つめ直す。
ゲームではほのめかされる程度だった2人の出自が、漫画による詳細な描写で明かされる。
ラスト7話(いずれも第5巻に収録)が全部イミナとマリの話という衝撃の構成となっている。
第1巻にも2人の話があるので、ぜひ1巻から5巻まで読み通してほしい。
居吹イミナと雪代マリの話に力を入れている。
ゲームでは平行世界SFが展開
スクスト Comic Channelを読めば、スクストの少女たちのことを知ることができる。
ゲームのストーリー第1章の主人公であるアルタイル・トルテについて知りたいのであれば、アニメもおすすめである。
一方で、スクストは平行世界をめぐる哲学的な話でも注目されている。
その辺の話は、ぜひゲームで補完してもらいたい。
異世界転生の話、平行世界が消えたらどうなるかなどにも言及されていて、なかなか興味深い。