ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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KING OF PRISM by PrettyRhythm公式設定資料集は職業研究にもってこいです!

KING OF PRISMのすべて、アニメ映画製作のすべてが詰まっている 

『KING OF PRISM by PrettyRhythm公式設定資料集』(初版、一迅社、2016年)を購入したので、中身の具体的な内容への言及を避けつつ、本を紹介していこうと思う。所々に筆者(他人の姿煮)のコメントを入れていく。

 

GALLERY(003ページ)

オバレ・キンプリ関連の各種ビジュアルが掲載されている。速水ヒロとシン・ルヰの誕生日記念イラストもある。

 

キャラクター紹介(018ページ)

3方向から見た全身*1とバストショット*2、眼*3、主なシーンの画像、キャラクター名、キャラクターとしてのサイン、学年、誕生日、血液型、身長、出身地(東京都は地区まで)、主なプリズムジャンプ、属性、CV.、4行程度の紹介文などが載っている。

33ページ

キャラクター相関図はパンフレットと比べてアップデートされている。エーデルローズの7人の呼称表もある。

 

コメント

小物やまつ毛のデザインなど細かいところまで考えられていて、デザイナーの本気を感じる。ヒロの衣装はジャケットで隠れたベルトの部分まで公開されている。コスプレイヤーを意識した部分もあると思われる。太刀花ユキノジョウの難しい髪型も様々な方向から見ることができる。山田の情報がわかるなどファンサービスという面ももちろん強いが、デザイナーの凄さを感じさせるという面での意義は非常に大きい。

 

KING OF PRISMとその世界(034ページ)

プリティーリズム時代の内容を絡めながら、次ページ以降のKING OF PRISM by PrettyRhythm本編のあらすじに繋げている。

 

KING OF PRISM プリズムジャンプ・コンブリートガイド(042ページ)

キンプリの劇中で出てきたプリズムジャンプの画像と1-2行の簡単な説明が書かれている。プリティーリズムが初出のジャンプに関しては、関係性が書かれていないのが残念だ。

 

設定資料(044ページ)

決定稿より前のキャラクターの設定画と松浦麻衣さんによる3行程度のコメントが載っている。

 

ネタバレになるので詳しく言えないが、西園寺レオがかわいい。一部キャラクターの衣装は本編と異なり、「ただの汚い絵」とは決して言えない。自転車やシンのリュックの細かいパーツも入念に描かれており、デザイナーのこだわりが感じられる。デザイナーはただキャラクターの絵を描くだけの人ではないのだ。

 

美術ボード&設定(056ページ)

建物の間取りや外観が提示されている。部屋の位置関係や床の材質など、細かい指定がある。間取りには植え込みや芝という細かい指定(概観)も書かれていて、テキトーに作ったものとは決して言えない。シュワルツローズのページには、「あの部屋」の設定が描かれている。その他の風景のページには、映画を観ただけでは気づかないような部分にまで言及されていて、感心した。

 

西浩子×依田健 プロデューサー対談(062ページ)

A4 4ページの中に、キンプリの全てが詰まっている。これまで色々な雑誌に載っていたのだろうが、ネットでは文章化されていないような情報もある。もちろん、製作決定の経緯のようなネットでの既出事項もあるが、菱田正和監督に対するプロデューサーの想いや予算の都合で起きた思わぬ化学反応に関する話、声優オーディションの秘話、長崎行男音響監督の厳しさや応援上映ができた経緯、あるいは公開2週目の復活劇など、様々な情報が詰め込まれている。

 

コメント

この作品には様々な誤解があり、筆者(私)自身も最初は、この作品の公開決定に困惑した部分もあった。だが、スタッフの話を聞く(読む)ことで、事実に基づかず、想像だけで非難していたことに気づいた。こうしたインタビューさえも、既存ファンの反抗を抑えつけるための嘘だと思う人もいるかもしれないが、まずは一読してほしい。プリズムエリートを離脱するのはまだ早い。

 

菱田正和監督 一問一答インタビュー(066ページ)

このインタビューは前項のプロデューサーインタビューとは性質が異なる。菱田監督は富野由悠季氏のDNAを引くアニメーション監督なので、なにせ設定が膨大である。おそらく一問一答だけで1冊の本が作れるだろう。さて、この本では、「キャラクター編」、「設定編」、「プリズムジャンプ&その他編」、「菱田監督編」に分けて菱田監督にインタビューしている。3ページの中に50以上の質問が掲載されており、ひとつひとつに対して菱田監督が丁寧に答えている。もちろん、取るに足りない質問もあるが、ファンが誤解しているであろうことや、プリティーリズムを語る上で忘れてはならない設定などにも言及している。ファンは必読であろう。

 

コメント

このような細かい設定の公開となると、どうしても二次創作向けだと思ってしまうのだが、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』『プリティーリズム』という作品の世界を自分の中で広げていくのに非常に役立つインタビューであった。たしかに、聖地巡礼に役立つような情報もあったが、テレビ本編に対して、人によっては作品の解釈が変わってしまうような説明がされている箇所もあった。個人的には、テレビ本編で活躍していたあの声優への言及があったことが嬉しかった。まとめると、このインタビューは単なるファンサービスではなく、ファンを世界に組み込むためのコミットメントである。聖地巡礼や二次創作なども、世界に深く入り込みたいからするものであって、必ずしも「キモヲタ」の所業ではない。

 

アーティストコメント(069ページ)

劇伴:石塚玲依氏(4〜5段)

まず、製作時の状況や音響監督からの指示、手順などの仕事のやり方についての質問があった。その後に、楽曲についての解説、石塚氏自身のキンプリへの感想が書かれている。この記事もやはり、映画の劇伴を作る仕事の何たるかを語っている。

ドラマチックLOVE 作曲・編曲:Yu氏(2段)

Yu氏がドラマチックLOVEの曲調に込めた想い、目的、楽曲に対して抱いた感想、キンプリに対する感想などが書かれている。この記事に関しては、あまり楽曲製作の大変さというものを語っていないが、作曲者が楽曲に込めた愛というものが鮮明に浮き出ている。

ドラマチックLOVE 作詞:宮嶋淳子氏(2段半)

宮嶋氏の場合も、仕事がスムーズに行ったような印象を受けるが、作曲家と作詞家というものの関係を短いインタビューの中から感じ取ることができた。よく「作詞なんて素人でもできるじゃないか」と言う人がいるが、プロの作詞家は違うと思わせるような部分もあった。

Over the Sunshine! 作曲・編曲:AstroNoteS氏(2段)

ドラマチックLOVEのコンビとは対照的に、修正の指示があったことなど、苦労について語っていた。楽曲のイメージやキンプリの感想についてももちろん言及している。

Over the Sunshine! 作詞:真崎エリカ氏(2段半)

同じく、作詞する上での苦労や工夫について答えている。プリティーリズムシリーズ自体が初めてということもあり、苦労した部分もあったようだ。

 

コメント

全体的に、劇伴や楽曲製作の厳しさ、楽しさ、やりがいについて触れられていた。映画の感想の部分を読むと、ファンとして嬉しくなるところもあるが、愛を持って曲を作ってくださっていることに言及されているので、名前も知らなかった楽曲スタッフとの溝が狭まったように感じた。

 

キャストコメント Part1(072ページ)

Over The Rainbowの3人(柿原徹也氏、前野智昭氏、増田俊樹氏)のキャストコメントである。定型の質問9問に答える形式で、演じる上での工夫やキャスト本人の作品に対する想いも述べられている。見た感じ、メール回答のようで、生の声を貰えていないのが残念だ。

 

寺島惇太×蒼井翔太 キャスト対談(074ページ)

寺島・蒼井両氏から見たキャスト決定の経緯、演じる上での工夫、収録時のエピソード、お気に入りのシーン、自分が歌唱した楽曲に対するコメント、ルヰのprideで聴こえる「ごめんね」の正体、自身の感想や周囲の反響、次回作の展望について述べられている。新キャラの声優ならではの視点で、キンプリについて戸惑ったこと、周囲のちょっぴり辛辣な反響にも触れながら、楽しく対談している。この記事の面白いところとしては、雑誌のようなタレントとしての声優の宣伝商材と違い、キャストの写真はプロフィール写真で済まされ、空いたスペースには絵コンテが載っているということが挙げられる。だが、おそらく読者が求めているものは絵コンテだろう。

 

キャストコメント Part2(078ページ)

寺島・蒼井両氏と山田役の浪川大輔氏を除く7人*4のコメントが掲載されている。内容は、オバレと同様に、新キャスト向けの定型の質問7問にキャストが回答するである。具体的な内容は、演じる上での工夫、キンプリの感想……それから、印象的な質問として、それぞれのプリズムジャンプ(人気投票コメント時のもの)に対する予想を聞かせてほしいというものがあった*5ことは言及しておく。だいたい1段かそれを少し超えるぐらいの分量だが、十王院カズオ役の八代拓氏の分は2段近くに及んでいる。あんな台詞の分量で感想なんかあるものかと思うが、実際のところ、面白いエピソードを持っているキャストもいる。キャラクターの優先順位の都合上、涼野ユウ役の内田雄馬さんのインタビューが少ないのが残念だ*6

 

全体的なコメント

全体的に、ファンサービスと現場の苦労を知らせる内容が両立されている。あまり名前の知られていない楽曲スタッフやセリフの少ないキャストは、作品に対する想いも薄いのではないかと勘ぐってしまうが、実際には大変な苦労をしたり、作品に愛情を注いでくださったりしている。「金を払ったからどのように踏みにじってもよい」と思うのではなく、金銭で表せない感謝の気持ちを持つことが大切なのだと実感させられた。映画業界やアニメ業界への就職を希望する人、あるいは、そうした業界を夢見ている子ども(中高生)には絶対読んでもらいたいし、普段、有象無象有る事無い事を言いふらして、アニメ業界を批判する人には是非読んでもらいたい。

 

残念な部分としては、意外とキャラクターの設定資料が少ないことを敢えて挙げておこう。ひとつひとつ完成度は高いが、全部を出しているわけではない。もちろん、全部を出せるとは思わないが、もう少し多い方が見ごたえがあったのではないだろうか?特に、制服の着こなしなど、複数のファッションがあっても全部が触れられていないキャラクターもあったのでそこが残念だった。

 

しかし、出されている資料は、建造物やペンダントなどの小物の設定を含め、非常にクオリティが高い。Wikipediaには文章は載っても、ビジュアルは乗らないと思うので、是非現物を見てもらいたい。

 

[rakuten:book:17920461:detail]

 

*1:プリズムショーをしたキャラクターはその時の衣装もあり。

*2:新キャラの多くは特別な衣装がないので、表情の設定画が描かれている。

*3:あのキャラ×2のまつ毛とあのキャラ×2の眼の設定画に注目。

*4:斉藤壮馬氏、畠中祐氏、八代拓氏、五十嵐雅氏、永塚拓馬氏、内田雄馬氏、武内駿輔氏

*5:大和アレクサンダー役の武内駿輔氏には、別の質問が用意されていた。

*6:当ブログの他の記事で触れている通り、雄馬氏は、プリティーリズム・レインボーライブで森園わかなを演じていた内田真礼氏の弟に当たる。プリティーリズム・レインボーライブについても当然知っていた。雄馬氏が演じる涼野ユウは、レインボーライブ本編に登場していて、当時のキャストは高山みなみ氏(プリティーリズム・ディアマイフューチャーで準レギュラーのヨンファを演じており、その関連のファンサービス)だった。そのため、語る要素が非常に多い。その部分に関しては、他の雑誌や映画のパンフレットで補えるのだが……。もちろん、他のキャストと同じ分量なので、雄馬氏のコメントが極端に少ないわけではない。

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