平成ライダーの改変はどこまで許されるか
『仮面ライダージオウ』が第2話まで放送された。
この作品は、王様になりたい主人公の少年が魔王になるまでを描く。
あらすじ:王の誕生
2068年、世界は魔王「オーマジオウ」によって支配されていた。
未来人・ゲイツは50年後の未来を変えるため、ジオウになる前の常盤ソウゴを消そうとする。
その一方で、「タイムジャッカー」が新たな王を生み出し、「仮面ライダービルド」の歴史を変えようとしていた。
仮面ライダーになり損なった怪人「アナザーライダー」が人々を襲う。
ソウゴは謎の預言者・ウォズから変身ベルトを託され、仮面ライダージオウに変身するのだった。
祝え、新たな王の誕生を!
どこが劇薬なのか?
見出しにも書いた通り、この作品は劇薬である。
仮面ライダーの力を奪い、歴史を改変する。
描き方によってはファンを失いかねない。
劇薬ポイントを説明する。
劇薬1:ライダーの力を奪う
今作では、仮面ライダーが力を奪われる。
記者発表の段階から、レジェンドの客演が決まっていた今作。
『海賊戦隊ゴーカイジャー*1』や大戦系映画*2の功績もあり、俳優本人の客演に力を入れているようだ。
しかし、彼らの役柄は、未来の侵略者に力を奪われるヒーローである。
ライダーではなくなったことにより、現代では記憶を失い、別の道を歩んでいる。
比較的明るい内容の過去作であれば、「◯◯が××になっちゃったよ、わはは」で済む。
一方で、シリアスな作品の場合、反発する人も多いだろう。
レジェンドライダーは力を失ってしまうので、共闘するわけではない。
客演が中途半端になってしまうのも問題といえる。
劇薬2:ライダーの歴史が変わる
今作はタイムトラベルものなので、歴史の改変が起こる。
大戦系映画では、過去作との整合性がなあなあになってしまうこともある。
そういうことをよく思わないファンもいる。
今回のドラマは整合性以前の問題がある。
怒り心頭どころか困惑するファンも多いはずだ。
過去作のファンの皆さんには、今作における過去作はあくまで記号であり、必ずしも過去作の続編を描いていないことにご留意願いたい。
レジェンドライダーは共闘する先輩ではなく、存在を消される役。
過去作の歴史を変えてしまうため、地雷の人も少なからずいる。
劇薬を中和するために
とは言っても、ジオウはただ過去作を利用しているだけではない。
それなりに工夫もしているし、タイムトラベルものとしてのオリジナリティもある。
劇薬を中和できるだけの要素はあると思うのだ。
中和1:過去ライダーに変身しない
ジオウは過去ライダーの力を使うが、同じものに変身するわけではない。
ビルドの場合はドリル、ゴーストの場合はパーカーゴーストのように、一部の要素をデフォルメして利用する。
実は、平成ライダー10周年のときに、ほかの仮面ライダーに変身できる『仮面ライダーディケイド』が放送された。
今回のデフォルメは、それとの差別化と言えるだろう。
必殺技もデフォルメされていて面白いので、ぜひ画面に注目してほしい。
中和2:顔に文字が書いてある
最近のヒーローは怖すぎず、子どもに親しみやすいデザインにすることも多い。
ジオウも例外ではなく、複眼がカタカナの「ライダー」の文字になっている。
2号ライダーの仮面ライダーゲイツもひらがなの「らいだー」だ。
レジェンドライダーのフォームに変身するときは文字が変わるので、よく見てみよう。
武器やバイクやライダーキックにも注目だ。
中和3:ユニークに時間をお知らせ
時計や時間をテーマにした今作では、時間表示にもこだわっている。
画面の演出上、タイムスリップ先の年号はプロジェクションマッピングのように浮き上がる。
第1話では、牛乳の賞味期限を見て、過去に行ったことを確かめている。
日付も書いてあったので、ファンにとっては作品のどの段階なのかが手に取るようにわかった。
作品の放送年はサブタイトルやベルトにも表示されている。
今後もいろいろな方法で時間を表示すると思うので、探してみてほしい。
過去のライダーにそのまま変身するわけではなく、デフォルメした姿になる。
顔や武器のところどころにひらがな・カタカナがデザインされている。
スマートに時間を表示するなど、タイムトラベルものらしい要素もある。
広がる議論・考察
第1-2話が放送されたことで、過去作のファンは自分の好きな作品がどうなるかなどの議論を深めている。
過去作を知らなくても、魔王の誕生をめぐる攻防という縦軸の物語も面白い。
レジェンドライダーを知っている人も知らない人も楽しめると思うので、ぜひ見ていただきたい。
仮面ライダージオウはテレビ朝日系列にて、毎週日曜・朝9時より放送中。
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