YouTubeの動画配信へ移行する意味
人気アニメシリーズ『ベイブレードバースト』が今後テレビ放送を主軸としない、またはテレビ放送をしない可能性が濃厚になった。
人気玩具「ベイブレードバースト」のアニメ展開は2016年から始まっていた。
この度、新作アニメ『ベイブレードバーストGT』が「配信」を開始することが告知された。
YouTubeのコロコロチャンネルやタカラトミーチャンネルで配信することしか明らかになっておらず、テレビ放送がない可能性がある。
あったとしても、配信が先に告知されている。
いわば、テレビ放送は二の次になっている。
【ベイブレードバースト】ガチ1話 YouTubeを意識した15分アニメ
テレビ終了は左遷なのか?
ベイブレードバーストの立ち位置:主力商品
仮にテレビ放送をやめるとしよう。
人気がなくなったから、テレビ放送をやめるのか?
いや、ベイブレードバーストは現役の人気玩具だ。
Amazonランキング大賞2018のおもちゃ総合部門では、1位・2位をかっさらっている。
Amazonランキング大賞2018(年間) | おもちゃ | 通販
合わせて、海外輸出も好調のようである。
2018年には、フランスで世界大会も開催されている。
したがって、「人気が下火になったから動画配信に左遷した」ということは考えづらい。
もはやテレビは必要ない 15万人が見にくる
左遷ではないとはどういうことか?
ベイブレードバースト超ゼツの最新話(2/18配信)は、執筆時点で15万回ほど再生されている*1。
全国の15万人の子どもがわざわざYouTubeに足を運んでまで、アニメを見たいと思っているのだ。
そう考えると、動画配信は意識の高いユーザーを集める絶好のチャンスといえる。
放送枠を確保できなかったのではなく、放棄したという方が適切ではなかろうか?
テレビ東京系列の限界
テレビ東京系列は、東京都や岡山県など一部の大都市圏でしか映らない。
現状ではBSテレ東での放送もなく、2ヶ月遅れのキッズステーション(CS)が頼みの綱だ。
いうなれば、ベイブレードバーストのテレビ放送は、日本の国土の半分には届いていない。
もちろん、2ヶ月待てばアニメは見られる。
だが、アニメの目的はおもちゃの販促である。
販促番組を2ヶ月遅れで放送しても、あまり旨味はないだろう。
日本全土に同時に届く動画配信を選択したのは、合理的と言える。
(現行シリーズも、テレビに並行して動画配信されている。)
ベイブレードバーストは主力製品であり、左遷とは考えづらい。
わざわざ動画を視聴する、意識の高い子どもがいる。
未放映や2ヶ月遅れの地域も多く、テレビ放送は販売促進の目的にそぐわない。
動画配信にこだわる意味=拡散力と導線
小学生でも十分 スマホの拡散力
今の子どもが動画を見るのは、スマホやタブレットだ*2。
対象年齢の子どもはTwitterやInstagramのアカウントを作れず、一見すれば拡散能力が低いように思われる。
しかし、LINEが使える。
友達にスマホの画面を見せれば、動画を共有できる。
子どもの拡散力をナメてはいけない。
従来のテレビのように、見なければクラスの話題についていけないことも付け加えておく*3。
今後の課題としては、2つあるYouTubeチャンネルの統一が挙げられる。
2つが一緒になったほうが、ユーザーの行き先が分散せず、ネット上で話題になりやすい。
YouTuberレビュー動画とのシナジー
なぜYouTubeなのか?
YouTubeには、公式による玩具の紹介動画や、第三者によるレビュー動画がある。
どの動画も玩具への強い興味・関心を抱かせるものとなっている。
そのため、ユーザーを玩具の購入に誘導しやすい。
ただし、ユーザーの視点に立つと、公式もYouTuberも一定の胡散臭さがある。
おうちの方におかれては、子どもに買い与えてよいものか、中立的な立場からご検討いただきたい。
小学生にも、ベイブレードのアニメという話題を共有する力がある。
YouTubeにはレビュー動画などもあり、ユーザーのほしい気持ちを刺激しやすい。
ライトユーザー離脱の懸念も
仮にテレビ放送がなくなっても、熱心なユーザーはついてくるだろう。
一方で、意識の高くないライト層にはテレビが必要かもしれない。
「テレビで放送しているので見てみよう・買ってみよう」という新規ユーザーが減る可能性がある。
ただ、YouTubeはライブ配信に対応しており、任意の時刻にアニメを生放送することも可能である。
意識の高くないユーザーに、ベイブレードのアニメを見るというルーティンを叩き込むことは不可能ではない。
一人っ子家庭も多い現代、テレビなしで世代交代できるかに注目したい。
追記:テレビでYouTubeを見る方法
保護者の方から「スマホやタブレットでしか見られないと困る」という声があったので、追記する。
Apple TVやGoogle Chromecastを使えば、テレビの画面でも動画が見られる。
Wi-Fiさえあれば、スマホやタブレットを子どもに貸す必要はない。
これらはYouTube以外にも、Netflixなどの大人向け動画サイトも見られる。