「最近のウルトラマン」は頑張っている
『ウルトラマンルーブ』で、登場人物が「最近のウルトラマン」を批判するシーンがあった。
これについて思うところがある。
テレビシリーズの放送を再開した『ウルトラマンギンガ*1』以降のウルトラ戦士はニュージェネレーションと呼ばれている。
1-2クールという短い期間で頑張って番組を作っている。
実際の視聴者の間にも、予算がなかったギンガの印象からか、旧作に頼りきっているという誤解が生まれている可能性がある。
「最近のウルトラマンは」と言う人の中には、ほとんど見ずに言っている人も多いと思うので、最近のウルトラマンを説明したい。
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最近のウルトラマンとは
防衛隊に所属しないことが多い
ウルトラマンの伝統的なプロットは、防衛隊に所属する青年がウルトラマンに変身し、星人や土着の怪獣に立ち向かうというものだ。
しかし、ニュージェネレーションでは、防衛隊に所属していないウルトラマンが多い。
現在放送しているウルトラマンR/B(ルーブ)でも、アパレル店員の青年2人がウルトラマンに変身する。
過去のウルトラマンの力を使う
ニュージェネレーションのウルトラマンは、過去のウルトラマンの力を使って戦うのも特徴的である。
ルーブでも、ウルトラマンの絵が描かれたアイテムを使っている。
よくしゃべる
ウルトラマンゼロ(非ニュージェネ)に人気声優・宮野真守さんが起用されてからは、よくしゃべるウルトラマンが増えた。
ルーブは声優を起用していないが、よくしゃべるし、よくふざける。
基本形を守りつつも新しい風を
デザイン面では、ウルトラマンの基本デザインは守りつつも、カラータイマーの形を変えたり、額や胸に装飾を施したりしている。
ルーブも頭の形を変えているものの、黄色の目・銀色のボディを捨ててはいない。
たまに複眼をなくす仮面ライダーと比べると、初代へのリスペクトは強い。
ここからは特に誤解されていると思う要素を擁護していく。
「インナースペース」で役者とおもちゃの活躍が増えた
従来のウルトラマンでは、人間の役者がウルトラマンに変身したという設定で、戦いのシーンばかりを映していた。
しかし、ニュージェネレーションでは、「インナースペース」と呼ばれる空間が映されている。
インナースペースは、ウルトラマンに変身する人間の役者が存在している体内空間だ。
ロボットでいうコックピットのようなものである。
この表現は評価が分かれている。
表現への主な批判
ロボットのようで、変身している感がない
変身や姿を変えるたびに長いセリフや変身シークエンスが入るので、テンポが悪い
といった声がある。
たしかに、ウルトラマンが人間に化けている場合には、インナースペースの表現は違和感がある。
でも、ウルトラマンと融合しているケースでは、2人が一体化している感があってよいと思う。
長い変身シークエンスに関しては、子どもが変身遊びをするのに重要だ。
従来のウルトラマンは、ウルトラマンの名前を叫ぶだけで変身し、何も言わずに姿が変わっていた。
何もしゃべらない方がかっこいいというのは大人の目線だろう。
アイテムを映す機会ができた
変身後もこの空間の中でウルトラマンの姿を変えたり、必殺技を出したりする。
そのため、昔のウルトラマンに比べて、画面へのおもちゃの出現率が上がった。
ウルトラセブンのように武器を使うことが増えたが、インナースペース内の役者も武器を持つ場合がある。
収集系アイテムが増えた近年のウルトラマンにおいて、インナースペースが果たす役割は大きい。
姿を変えるたびにカードなどのアイテムを使う必要があるので、おもちゃを使う人間の描写は必須なのだ。
最近のウルトラマンでは、生身の役者がいる体内空間「インナースペース」が描写される。
その中で役者がアイテムを使うので、プロモーション効果が強くなった。
旧作ウルトラマンに頼りきりという誤解
ニュージェネレーションがウルトラマンの力が宿ったアイテムを使うことには、批判も多い。
かくいう私も批判していた。
しかし、今は考えを変えはじめている。
ウルトラマンという大きなストーリー
そもそも、ウルトラマンが仮面ライダーやスーパー戦隊と違うのは、シリーズで世界観が統一されていることだ。
M78星雲出身ではないウルトラマンもいるが、みんな戦う仲間である。
旧作の登場人物が助けにきたり、レギュラーとして登場することは他作品より多い。
もともとがそういう世界なので、ウルトラマンの力が込められたアイテムを使うことが多くても問題ないはずだ。
独自の姿・技が増えた
最近ではオリジナルの姿や必殺技も増えている。
ルーブに関しては、先輩ウルトラ戦士の特性を借りることはあっても、あくまでウルトラマンロッソ/ブルの1つの姿として扱われている。
特に、水属性の姿・アクアにはウルトラマンギンガの要素がまったくないので、実質オリジナルと言っても過言ではない。
「マックシェイク森永ミルクキャラメル味」のような感じで、味を借りてはいるけれども、本家の森永ミルクキャラメルには再現できないくらいがちょうどよいのではないか?
ウルトラマン自体のモチーフ化
歴代のウルトラマンは、もはや「レジェンド」ではなくモチーフになっている。
記念としておもちゃを作るのではなく、星座や十二支と同じような立ち位置になったのだ。
おもちゃを通じて、ウルトラマンを覚えてもらう。
そうすることで、ウルトラマンの末長い愛顧につながると考えているのだろう。
もともと、世界観が統一されているので、先輩ウルトラマンの客演のハードルが低い。
先輩ウルトラマンの力も借りるが、独自の姿や技も増えている。
ウルトラマンは星座や十二支のような普遍的なモチーフになっている。
怪獣というキャラクター
新しい怪獣もシリーズの顔に
ニュージェネレーションで登場した新怪獣は早くも、ウルトラシリーズの顔になろうとしている。
ルーブでも、ガーゴルゴンに加え、風の魔王獣マガバッサーの亜種・グエバッサーが登場した。
ギャラクトロン(ルーブには未登場)のように鮮烈な印象を与えた怪獣もおり、旧作を消費し続けるだけではない。
怪獣は主要コンテンツ
旧作怪獣に関しては、昔から再登場があった。
怪獣や星人はもともとシリーズを超えたコンテンツなので、批判するのは筋違いである。
たしかに、旧作怪獣を出すと、製作費の節約にもなる。
だが、怪獣を好きな子どもがいて、ソフビ人形にもなっていることを理解してほしい。
円谷とバンダイにとって、怪獣は主力製品なのだ*2。
ニュージェネレーションの怪獣はファンの間に定着しはじめている。
ウルトラ怪獣や星人はシリーズを超えたキャラクタービジネスだ。
怪獣の「再利用」は咎められるべきことではない。
ニュージェネ流があるから今がある
ウルトラマンというのは、本当は無謀な企画だ。
大きなセットを使って特撮番組を作るのは、コストがかかりすぎる。
だから、ウルトラマンが復活するには半年間の放送、旧作の活用、アイテムの登場時間の向上が不可欠だった。
最近のウルトラマンに文句を言うのは、ウルトラマンが持続可能なコンテンツになってからにしないか?
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