ウルトラマンロッソの夢とウルトラマングルーブの絆
劇場版『ウルトラマンR/B(ルーブ) セレクト! 絆のクリスタル』が公開されている。
家族としてのきょうだいが1人のウルトラマンに合体し、悪の陰謀に立ち向かう。
[rakuten:book:19447342:detail]
ときに、ウルトラマンルーブのテーマはなんだっただろうか?
ひとつは絆。家族や友達との絆を見つめ直す話だった。
そして、もうひとつは「俺色に染め上げろ」である。
この映画では、「俺色に染め上げろ」を自分の夢に向かって進むことだと解釈し、ウルトラマンロッソ/湊カツミの葛藤を描く。
以下は、映画の要旨をかいつまんでいるが、劇中で具体的に何が起こるかにはほとんど触れない。
ウルトラマンR/Bの総決算
今作は、ウルトラマンルーブをまとめるための映画だ。
本編で触れられなかった部分を補足しながら、ルーブの物語をまとめている。
初見の方には難しい部分も多いかもしれない。
湊カツミの夢
さて、テレビ本編で触れていなかったのが、湊カツミが今後どうするのかという話だ。
将来のある弟たちと違い、カツミは家庭のために夢を諦めている。
湊家には母親がおらず、父はアパレルショップを営んでいた。
カツミは大学から野球のスポーツ推薦を受けていたが、家族のため、進学しなかった。
そんなカツミは変身アイテム「ルーブジャイロ」を手にし、ウルトラマンロッソとなった。
怪獣騒動と母の失踪事件が片付いた今、カツミは岐路に立たされる。
家族の絆を見つめ直す
夢だけでは「絆のクリスタル」という副題につながらない。
実は、今作は湊3きょうだいが絆を見つめなおす話でもある。
これまで兄2人の戦いを見守るだけだった湊アサヒ。
特にカツミには家族・妹であるアサヒを守らなければならないという意識が強くあった。
強くなった家族
だが、彼女は亡き美剣サキから変身アイテム「ジャイロ」を託されていた。
アサヒはジャイロを使い、初めて怪獣「グルジオレギーナ」に変身する。
情報解禁されているので書いてしまうが、彼女は「ウルトラウーマングリージョ」にもなる。
母・湊ミオが帰還した今、家族を支えるという建前はなくなり、絆のありようが変わってきている。
そんな中で、湊カツミがどのような結論を出すのかを見届けてほしい。
大迫力! CGによる最終決戦
今作で賛否両論を呼んでいるのが、最終決戦がCGである点だ。
この映画の目玉である「ウルトラマングルーブ」は立ち姿を含め、全てのシーンでCGで描かれる。
ウルトラマンはミニチュア特撮でなければならないと思っているファンも多い。
たしかに、ウルトラマンの生みの親・円谷英二のことを思えば、CGを使わないほうがよいのかもしれない*1。
しかし、ウルトラマンルーブは過去にとらわれず、前に進むことを選んだ。
4人が入り乱れながら、2対2の市街戦をダイナミックに描く。
建物が全然壊れなかったギンガの時代からすれば、大きな進歩と言える。
CGのクオリティの高さ、空を飛べるウルトラマンの設定も相まって、違和感もなかった。
ウルトラマンがCG化することに賛成の方はぜひ劇場に足を運んでいただきたい。
ただし、小さなお子様と鑑賞される方は、画面酔いにご注意願いたい。
ウルトラマンロッソ/湊カツミが将来について考える話。
湊3きょうだいがきょうだいの関係を見つめ直す話。
CGのアクションシーンの評価が分かれている。
ウルトラマンというコンテンツが前に進むために
『ウルトラマンギンガ』から続く、ニュージェネレーションと呼ばれるウルトラマン。
ニュージェネレーションでは財政の健全化を含め、いろいろ試行錯誤してきた。
しゃべるおもちゃや、CGの本格的アクションシーンはウルトラマンが前に進んでいる証拠である。
最近のウルトラマンはミニチュア特撮にも力を入れている。
伝統を尊重しつつも、新しいことに挑戦しているウルトラマンを認めてほしい。
[rakuten:biccamera:12425148:detail]
*1:ミニチュア特撮に力を入れているシーンは、テレビ本編に数多ある。円谷プロが円谷英二へのリスペクトをやめたわけではない。それと、ウルトラマンをCGで描くのは今回が初ではない点にも留意願いたい。