料理が得意な長男に課された役割は?
第6話は、鷹梁ミナトにスポットを当てる。
伝統的な家庭の出身であるミナト。
彼に求められている役割とは?
(この記事は2019/3/23から上映の劇場編集版を参考にして書かれている。
テレビ本編で変更があるかもしれない点はご容赦願いたい。)
あらすじ:ミナトの帰省
ある日、豪勢な朝食を作ったミナトだったが、みんなに食べてもらえなかった。
そうした中、ミナトは静岡に帰省することに。
久しぶりに一家全員がそろった鷹梁家。
しかし、弟の潮(ウシオ)は、ミナトの帰りをあまり歓迎しなかった。
一方のミナトは、帰郷に対してただならぬ想いを抱いていた。
それは、ミナトの名前の由来に関係していて……
鷹梁ミナト:エーデルローズの食事係
鷹梁ミナトは、背の高さと料理の腕が特徴のプリズムスタァ。
とある理由から、寮のみんなに食事を作っている。
過去作の鷹梁ミナト
『KING OF PRISM by PrettyRhythm』にて、一条シンの苦手な野菜を聞き出す。
独自の調理法で野菜の臭みを消し、苦手を克服させる。
『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』では、シンはすっかりその野菜が好きになっていた。
そして、プリズムキングカップに向けた合宿で、ミナトはカレーを作った。
このカレーは曰く付きだったようで……
コウジとの出会い〜エーデルローズ入学
ミナトも他の高2組と同じく、力があった頃のエーデルローズに入学していた。
静岡で神浜コウジのプリズムショーを見て、感動する。
母はそれを見て願書を送るが、ミナトは東京に行って入学を取り消そうとする。
上京後、うっかり旧校舎に来てしまったミナトは、コウジと再会する*1。
そこでいきなり振舞われたのは、新幹線をかたどった食器に盛られたお子様ランチだった。
コウジの料理を食べたミナトは衝撃のあまり、涙を流す。
そうした経緯からコウジに師事し、プリズムショーを始める。
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神浜コウジ:音楽と料理の天才
神浜コウジはOver the Rainbowのメンバーで、海外でも作曲の仕事を受ける天才アーティスト。
母子家庭の出身であり、家庭では自分が料理をしていた。
もともとエーデルローズに所属していたが、版権の問題で法月仁と対立し、一時脱退した。
Over the Rainbowの結成を機に、復帰している。
KING OF PRISMシリーズでは、彼女のプリズムジャンプを勝手に跳ぶ、(ジャンプの中で)酔っ払った先輩にスッポン鍋を食べさせて歯磨きをするなど、好き放題やっている。
鷹梁ミナト:エーデルローズの寮で料理を作る。
神浜コウジの影響を強く受ける。
その他の用語・前提知識など
静岡県:農業・水産業・グルメの聖地
今回の舞台、静岡県は漁業・農業ともに発展している恵まれた土地である。
特に、カツオの漁獲量は日本一である*2。
劇中でも、ミナトの祖父がカツオを釣っていたようだ。
農業では、茶だけでなくミカンやワサビも有名である。
グルメでも有名なものが多い。
B級グルメの代表格・富士宮焼きそば、みしまコロッケ、黒はんぺんの入った静岡おでん、駿河丼、宇都宮と肩を並べる浜松餃子など。
これほどの環境があるならば、料理人・ミナトが誕生したのにも納得がいく。
参考:
パワーブレックファースト
冒頭でカケルがミナトの朝食を食べなかった理由は、「パワーブレックファースト」だった。
これはバナナやプロテインのことではない。
朝食の場で行われる会議のことだ。
ニュースでは、「ワーキングランチ」という言葉がよく使われる。
これは「パワーランチ」「ランチミーティング」とほぼ同義である。
首脳たちは食事をしながら、政策について議論しているのだ。
朝から量の多い食事・肉料理などを食べる場合も「パワーブレックファースト」と呼ぶようだが、今回は違う。
伝統的な家族:サザエさん・波平役の声優も登場
さて、ここからが本題。
鷹梁家は静岡の港町に居を構える、伝統的な家族だ。
一家は民宿を営んでおり、祖父*3は漁師である。
祖父母役には『サザエさん』の波平役・茶風林さんと、同じくフネ役・寺内よりえさんが抜擢されている。
このことからも、伝統的な家庭を描きたいということが伝わってくる。
伝統的家庭の崩壊
ただ、父が単身赴任し、長男が東京へ出ていくなどしたため、伝統的な家庭の維持に苦慮しているようだ。
今回、母が倒れ、ミナトが呼び戻される。
ミナトは家庭における自分の役割を見つめ直す。
ちなみに、家族には皆、海に関する名前がつけられている。
父の洋、妹の渚など。
ミナトに任せられた役割
食事を作る役割
ミナトがいない間、エーデルローズの食事は誰が作るのか?
ミナト以外のメンバーには、誰ひとりとして料理ができる者がいない。
食事の調理は、「伝統」的には女性の役割だった*4。
エーデルローズではミナトがその役割を担っている。
シンたちはミナトがいなくなったことで、初めてそのありがたさに気づいた。
とはいえ、ミナトの側も食べきれない量の料理を作っている。
料理人が複数いること、できれば全員が料理をすること、食事に参加する人とメニューの合意ができていることはとても大切だ。
ミナトが本当にいなくなったら、エーデルローズはどうなってしまうのか?
家族を支える役割
ミナトがエーデルローズで担っているのは、食事作りだけではない。
食べ物の好き嫌いをなくす、ケンカをやめさせるなど、「伝統」的に母親が担ってきた仕事が多い。
トイレットロールの交換や郵便の仕分けも、ミナトがやっていたらしい。
一方で、家庭では長男・男性として、「家長」「跡継ぎ」が期待されている。
でも、ミナトはどちらかといえば、リーダータイプではない。
そんな彼は「一家の大黒柱」になれるのか?
そうなるために、静岡に帰ってしまうのか?
鷹梁家は「伝統的な家庭」の維持が難しくなっている。
長男のミナトはリーダータイプではないが、一家の長になるのを期待されている。
静岡出身声優も登場! 南條愛乃さん、林鼓子さん
皆さんはお気づきだろうか?
今作の脇役が地方出身声優で固められていることに。
実は、地方出身のキャラクターが登場する回では、なるべくご当地出身の声優に方言を話させている。
3話でタイガの姉・香賀美大空を演じた山本希望さんは青森出身。
5話で津山ミヨを演じた佐藤あずささんも、岡山出身。
そして、6話で鷹梁翼を演じた南條愛乃さん、渚を演じた林鼓子さんは静岡出身だ。
ご当地の出身声優なので、自然に方言を話せている。
世の中には、地方の設定なのに標準語しか話していないアニメもある。
そうした状況で1話に当地の雰囲気を詰め込めているのは、声優や音響監督のおかげでもある。
方言が違うとの指摘も?
とはいっても、方言が違うという声もあるようだ。
これはお芝居あるあるなのだが、ご当地出身の役者がしゃべる方言ほど、現地の人が「間違っている」と感じることが多い。
一方で、同じ都道府県内でも訛りや文法が違ったりする。
劇中の方言が自分の地域の方言とは違う場合もある。
今作は方言のプロモーションビデオではないので、そうした細かな違いは見逃してほしい。
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